第1章9 国王の許可
二人は手を握り続けている。スピカはそもそも離したくないし、アストは自分からやめたらスピカがまた泣くのではないかと心配で握手をやめられないのだ。そこでようやくミアリスが
「じゃあ、握手はこれまでにしよっか。国王様に伝えに行くよ。」
と、言いアストにウインクする。それを見て、アストは内心すこしイラッとしたが、助けてくれたことに感謝することにした。スピカは少し残念そうに
「はーい。」
と返事をした。
王室の扉の前、ミアリスがアストに言った。
「国王様は威圧の星を授かっているから気をつけて。」
「えっ?威圧?」
と、アストが聞き返したがミアリスからの返事はなく、
「国王様、失礼します。」
と言い、王室へ入っていった。スピカも後に続いた。
「お父様失礼します。」
「失礼します。」
「やあ。君がアスト君かい?娘から聞いたよ。」
「は、はい!初めましてアストです。」
と、先生に対するような挨拶をしたためアストは額から汗を流した。
「私はラクバト王国の国王サジテリアスだ。」
自己紹介だけなのに、相手の威圧感に押され、アストは声が震えている。そこで、ミアリスが本題に入った。
「ミーとスピカ様とアストで蠍座を探す旅に出たいと思いました。それに関して許可をいただきたく、ここへ参りました。」
「そうなのお父様。お願い!」
「私は娘が天浄の星冠を授かったと聞き、まだ混乱しているのだ。すぐ答えが出せず申し訳ないが答えは一週間後にしてほしい。」
と、サジテリアスがミアリスにいった。
「了解いたしました。では一週間後、またここえ来させていただきます。」
「あぁ、わかった。」
「失礼しました。」
「お父様、失礼しました。」
と、二人が言う。それを聞き、声を震わせながらもアストも後に続く。
「し、失礼しました。」
ギギギーと王室の扉が閉まった。瞬間、アストの口から大きな吐息が溢れ、体の力が抜けていくのがわかった。
「はぁぁ。」
「アスト、大丈夫?」
と、ミアリスが心配そうにいった。
「あぁ。思ってた以上の威圧感だったぜ。」
「初めてだとびっくりするよね。ごめん伝えるのが扉の前で。」
「本当だよ。何してくれてんだ?」
と笑いながらミアリスに言う。
「大丈夫じゃなかったら、私がおんぶしてあげるから安心して!」
と、スピカが背中を向けてくる。
「だ、大丈夫かな。遠慮しておくよ。」
「そう?わかったわ。でも、おんぶされたくなったらいつでも言ってね。」
「お、おう。」
と、アストは困り顔だ。
「じゃあ、一週間後にまた来るとして、今から昼食を食べて今日はゆっくりしよっか。」
「そうしましょ。」
「そうだな。」
と、アストとスピカが口を揃えて言う。
その日から一週間経った日。アストは剣の振り方程度しか習っていないが、何事も基礎が大事とよく言うので頑張っている。スピカは新しい技を編み出したりと、楽しんでいるらしい。ミアリスは光魔法を使う技を1つ編み出し、アストに見せてくれた。綺麗でかっこよく、自分にもっと魔素があったらなとつくづく思った。アストとスピカはある程度仲良くなり、普通に喋っているだけならアストも気にしないようになった。しかし、たまにボディータッチをしてくるので、嫌だが、我慢できるようにはなった。
そして今日は再び王室へ行き、許可をもらう日だ。
「緊張してきたー。」
「大丈夫よ。お父様優しいから。」
と、アストを勇気づけてくれるスピカ。
「失礼します。」
と、ミアリスが王室のドアを開け、ミアリスに続いて、スピカ、アストと続けて入っていく。
「来たか。先週の君たちの申し出の答えは…」
三人、息を呑む。
「許可を出すことにする。スピカがどうしても行きたいと言うのでな。」
それを聞き、ミアリスが
「ありがとうございます!」
と、感謝を述べ、スピカはガッツポーズをしている。
「アスト君。スピカを任せたぞ。」
不意にそう言われ、心の中で飛び跳ねる。そして、唇を震わせながらも
「はい。」
と返事をするのだった。




