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第1章5 種のようなもの

「がああぁぁぁ!!!」

 アストは今日まで生きてきた中で想像もできないほどの『痛み』が脳の思考を停止させる。

 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて。そう思いながら意識が暗闇へと引き摺り込まれる。

「ミーがアストの治療をする!スピカ様はプレセペの足止めをお願いします!」

「わかったわ!」と言い、スピカはプレセペに両手を向ける。次の瞬間、スピカの両手から白光が放たれる。

「聖光撃!」

 プレセペが防御する間もなく白光に包まれる。白光はおさまったが、プレセペは蒸気を出しているだけでほぼほぼ無傷だ。

「流石に今のは焦ったぜ。だが星冠を授かったばかりのお前に完全体の俺の甲羅は壊されない!」

「ど、どうしよう…」


 誰かが、ものすごいスピードで王宮へ走ってきていた。

「水刃!」プレセペが右腕のハサミを振った瞬間、水の刃がスピカに向かって飛んでくる。

「スピカ様!」とかっこいい声が聞こえた。

『キンッ』

 水刃がスピカに届くことはなかった。届く前にプレセペが侵入してきた窓からスマートに入り、青髪の人間の剣が防いだのだ。

「ヘルクレス!」2人の声が同時に響いた。

「スピカ様!お怪我は!?ミ、ベレニケも!大丈夫か!?」

「ええ、大丈夫よ!」「平気!」

 スピカはベレニケが誰なのか分からなかったが、今はそれどころじゃないと思い触れないことにした。

「よかった。蟹座の相手は私に任せて、倒れているアストを連れて逃げて下さい!」

「うん!」と言い、2人はアストを抱えてその場所から遠ざかった。

「何故!お前がいるぅ!今日は任務があって王宮にいないんじゃないのか!」

「やはりそれを狙っていたか。任務は早急に終わらせてきた。王宮での危険信号を察知し、ここまで走ってきた。」

「クソが!水甲の一せ…ん?」

 プレセペが技を打とうとした瞬間、目の前にヘルクレスの姿はなく、右目と左目の視界がズレていることに気がつく。そして、ヘルクレスが剣を鞘にしまうと

「ああぁぁぁ!!!」

 プレセペが真っ二つに切り伏せられた。そして、死骸は蒸発し、その場から消えた。プレセペは死んだのだ。

「スピカ様たちの安否を確認せねば!」と勢いよく走り出した。

 プレセペが消えた瞬間、意識がまだ暗闇だったアストは何かの種のようなものが植えられたような気がした。


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