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第1章3 海甲の星冠

 王宮に来て3日が経った日。

 アストとベレニケは一緒に王宮の廊下の掃除をしていた。

「なあ、ベレニケ。」

「ん?なに?」

「なんでずっと俺に付き纏ってくるんだ?便所に行く時は扉の前で俺が出てくるまでずっと待ってるし、寝る時はしれっと俺と一緒のベッドで寝てるし。」

「それはミーもよく分からないけど、何故かアストに引き寄せられるからかな。」

「それって俺の事が好きって事ー!?」

「絶対ないね。」

「食い気味!そこはお世辞でも好きって言ってくれよー。」

 そんなやりとりをしていた次の瞬間、突然『パリンッ!』という甲高い音が響き渡り、アストとベレニケが歩いていたすぐ横の窓が割れ、蟹の大男が飛び出してきた。


「お、お前は!」

「よお、久しぶりだな。アストだったっけ?俺は海甲の星冠を授かりし者プレセペだ。」

「せ、星冠!?う、うそ…」とベレニケが目を見開いて驚いていた。

 アストは星冠というものがなんなのか知らないので驚くポイントがわからない。

「その星冠ってなんなんだ?」

「う、うん。星冠を授かりし者は世界に12人いて、ミーが読んだ本には『昔、偽の創造神は射手座、乙女座、獅子座の星冠を授かりし者と一緒に人々に歴史上で最も大規模な災厄をもたらした。それを三天の英雄と呼ばれる双子座、天秤座、蠍座の星冠を授かりし者と真の創造神によって阻止され、三天の災厄は逃亡し、偽の創造神は地下に封印された。』と本には書かれてあったの。星冠を授かった者は規格外な力を手に入れ、世界を凌駕するとも書かれていたよ。」

「じゃあ、プレセペは強い…。」

「うん、ミーたちじゃ勝てないと思う。」


「なんでプレセペはここに来た?ヘルクレスに仕返しに来たの?」

「ちげーよ。俺はこの王宮に天浄の星冠を授かった者が現れたと聞いたから来たんだよ。」

「え?え…?て、て、天浄の…星冠?」

「?ああ、そうだよ。だからそいつを始末しに来たんだ。」

「アトリックスは?あ、あとりっく…す…。」涙目になりながらベレニケが言った。

「知ってるのか。そいつは蠍座の星冠のやつによって殺されたよ。」

「母‥様…。」

「水甲の一閃!」プレセペの右腕のハサミから水が閃光の如く放たれた。

「よくも母様を!!!水境の盾!」ベレニケの前方を水色の半透明な壁がプレセペの攻撃を防いだ。

 その2人の攻防を間近で見ていたアストは死がすぐそばに来ている事が分かり、足が震えていて動けなかった。平和な日本で生まれ育ったアストにとって、恐怖で動けない十分な理由だった。

「八つ当たりしてんじゃねえよ!」と言い、ベレニケを飛び越え、右腕を青く光らせながらアストに向かって振りかざしている。

「しまっ…!」とベレニケは声を上げるがもう間に合わない。

「お前は…。」

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