13話
神騎士が異世界を謳歌する
13話
宿に向かって歩いていると不意に携帯が鳴りだした。
秘石で出来た液晶には<ミリア>の文字が浮かび上がっている。
「(ミストさん?今どちらにいますか?
私たちは装備の採寸などが終わって宿を探しているところです。
まだ宿はとってないですよね?)」
ミリアは幾分弾んだ声で電話(?)越しに話している。
「ああ。まだ宿はとっていないな。俺も今宿のある方に歩いているんだが、今どのあたりだ?シーナも一緒か?」
「(はい。隣にいますよ。今は丁度酒場の前辺りにいます。酒場の2階の宿は空いているようなんですがどうしますか?)」
「そこで構わないから3日ほど部屋を確保して貰えるか?
俺の方でも色々あって3日ほどこの街に滞在しなければならなくなった。」
「(あ、ミストさんこっちです!)」
50mほど先で手を振るミリアの姿が見えた。隣でシーナも手を挙げてこちらに合図している。
俺も軽く手を挙げて答え二人に合流した。
「実はドワーフの爺さんに捕まってしまって。この通り佩いていた剣も爺さんに取り上げられてしまったよ。何やら昔から俺の剣を探していたらしくてな。どうしても鍛えたいと懇願されて渡してしまった。
丸腰で歩くのはどうも気分がソワソワするよ。」
そう言いながら俺は二人に自分の腰の辺りを指し示して丸腰であることを見せた。
「ミストは剣がなくても魔法があるから十分じゃないか。ミストの実力を知っている私としては、とてもじゃないが今のミストにでも喧嘩を売る気にはならないな。」
シーナはそういうとミリアと頷きあっていた。
しばらく歩くと宿兼酒場である<大樹の止まり木>に到着した。早速3人で中に入ると既に酒場は様々な格好をした冒険者達で賑わっていた。