城塞
「転移魔法」
そこは、フリスタの街とは違いまだ⽇は⾼く明るかった。⾒渡す限りあたり⼀帯森林で覆われて、その中に⼀軒まるで魔⼥の家とでも⾔え様城が⽴っていた。城としてはそこまで⼤きいものではなく、地⽅に存在する城塞のような造りをしていた。家を総観していると
2〜3⼈は必要そうな重厚な⽊の扉があった。
扉の前に⽴ち重厚な扉をどうやって開けるか悩んでいると、ティーニアが魔法を使い簡単に開けてくれた。落ち着いた様相の外壁とは異なり、内装は⽩基調で明るく光がともり、豪邸といっても差⽀えがなかった。
奥からメイドの格好をした⼥性が現れた。
「おかえりなさいませ、ティーニア様、ルイ様」
ルイがこの⼥性は誰かと尋ねる前にティーニアが紹介をしてくれた。
「この⼥性はリオさん。この家の管理を⼀切お任せしているの。私が居ない時とかは、リオちゃんが⾯倒を⾒てくれるから。」
凄く落ち着いている様⼦のリオさんは、⾃分よりティーニアよりだいぶ背が低く、150㎝ぐらいだろうか。また、きれいと⾔うより可愛らしい⼥性で、ティーニアより⺟性をくすぐられるような⽅だった。
「リオさんよろしくお願いします。」「リオ・クリスティーナと申します。今後ともよろしくお願いいたします。」
「リオと気軽に及びください。」
ルイはこんな綺麗な⽅と⼀緒に暮らせることは嬉しかった。
「お願いします。」
ルイは、意気込んで挨拶をした。これからお世話になっていく義⺟やリオさんそしてこの家への挨拶だった。
「ルイ様ご案内いたします。」
リオは広々とした家を案内して回った。何処の場所も⾼価な装飾と⾼級そうな様相だった。ただ、ルイの寝室だけはシンプルな作りで⾒た⽬も落ち着いており、ゆっくり⼼を休められる空間であった。
この部屋の造りは、ティーニアの意向だった。今までの環境とはまるっきり違う空間に慣れていないルイに少し寄り添っていた。寝室には1つのベッドしか置かれていなく、ベッドは柔らかすぎず固すぎない完璧な状態を保ったマットレスに⼿で押すと跳ね返りがある柔らかな⽻⽑布団だった。
試しに横たわってみると疲れていたこともあり、気が抜けて深い眠りに誘われた。
「おはようございます」
深い眠りから起き、寝ぼけ眼をこすると⽬の前にリオさんが⽴っていた。
―お・
ルイは驚きのあまりベッドから落ちてしまった。
「リオさんがなぜここに?」
「朝⾷の⽤意ができました。起こすのも野暮化と思ったのですが、料理が冷めてしまっては勿体ないので。」
「ありがとうございます」
リビングに⾏くとテーブル⼀杯に料理が並べられていた。
⾁料理や⿂料理まで朝⾷というには量が少し多いような気がした。
朝から働かない頭をフル稼働させてティーニアの話を聞いていた。
「ところでなんでこんな⼭の中に来たの?」
「そ・れ・は・これからルイ君は私と⼀緒に、この⼭で修業を積むため。」
疑問をぶつける暇もなく義⺟は話を続けた。
「ルイ君はこのままでは周りを危険にさらす可能性があるの。」
「・・・」
ルイは、突然の宣告に全く実感が湧かなく困惑してしまった。今まで普通だった⾃分が
⼈を危険にさらす可能性があるという事。
ルイは⼾惑いながら尋ねた。
「なんで僕は危険な存在なの?」
ティーニアは、これまでになく真剣な眼差しで慎重に答えてくれた。
「ルイ君の魔⼒量は優れているの。魔⼒の放出と魔⼒制御が出来ないと魔⼒の暴⾛が起きるかもしれないんだ。」
「他の神族たちはどうしているの?」
「神の種族はね、君みたいに魔⼒量が多い⼦が沢⼭居るんだ。だから、基本は魔法学園での授業。そして、完全な寮制を⽤いて管理しているんだ。」
「若い内から特に魔⼒が多い⼦は、私たちみたいに魔法⼠が付いて、誰もいない地で暮らすんだ。」
「じゃあ僕もその若い内から魔⼒が⾼いって事?」
「そうだよ。」
ルイは、⾃分が他の者より魔⼒が⾼いことへの嬉しさを感じてはいたが、他の⽣徒たちと⼀緒に学園に通いたいと思う気持ちもあった。
「学校には⾏けないの?」
「学校に⾏きたいんだ〜 修⾏が早く終われば学校に⾏けるかもね。」
養⺟のその⼀⾔にルイは希望を持った。今まで学校というものに通ったことはなく、友
達と呼べる存在もいなかった。友達との憧れの学校⽣活を夢⾒ていた。