異常
皆もかなり疲弊したようで、その場に座り込んでしまった。
ルイは、他の⽣徒の様⼦を⾒に⾏った。彼らは、軽く怪我をしているようだった。ルイは、ハルを呼び彼らに回復魔法を使⽤するように頼んだ。
疲れ果てていた皆が彼らのもとに集まり、作戦会議をすることになった。
A級のワイバーンが出現するのは明らかに異常事態だった。
傷を負った彼ら同様に、普通の⽣徒たちだったら全滅があり得るからだ。そんな場所に学校は侵⼊許可を出すわけがなかった。
「君たちはどうする?」
そう彼らに切り出したのはカイトだった。
「・・・」
彼らは悩んでいたが、結論はなかなかでなかった。
「ここで先⽣たちを呼ぶ⽅がいい。」
カイトは、彼らがなかなか答えを出ていない様⼦を⾒て、⾃ら伝えることにした。先⽣を呼ぶために⼿渡された先光を打ち上げる必要がある。ただ、⼀度光線を打ち明けてしまうと、この実習はギブアップになってしまうのだ。
確かに彼らのレベルを考えると A級が出現するここに居させることは、あまりお勧めは出来なかった。
「それより A級の魔物がいることを伝えたほうがいいでしょ。」
レナの発⾔はごもっともだ。ルイ⾃⾝もこの実習⾃体が中⽌となるようにすべきだと思った。
「俺たちは、A級の魔物がいても勝てたんだ。このまま A級の話はせず実習を続けよう。」
「カイト、さすがにそれは反対だ。」
ルイは、全員を守るという役割があるためあまり無茶をさせるわけにはいかなかった。A 級に勝てたという事実はあっても、それは偶然でしかなかった。特に、⾃分無しで彼らが再び相まみえたら必ず負けるだろう。
「でもルイ、俺たちは勝てたんだぜ・」
カイトは、どうしても続けたい様⼦だった。しかし、彼の⾔葉に頷く者はいなかった。
カイト以外の他全員が反対したことで、先⽣を呼び A級モンスターについて話すこととなった。
「とりあえずみんなで固まっている⽅が良いから先⽣が来るまでここに居よう。」
ここに居る全員がその意⾒に納得した。若⼲1名は乗り気ではなかったが、他の全員の意
⾒に素直に従ってくれた。
―ヒュー
異常事態を⽰す『⻩⾊』の先光を打ち上げ、先⽣たちが来るのを待った。
光線は、地⾯に置いておくことで直線状に光が発するものだ。しかも、地⾯に刺さるようになっているので、簡単には倒れない仕組みだった。
ルイは、荷物を先ほどの場所に置き忘れていることを思い出した。ここに居ても⾃分たちの荷物を回収できていない状態だった。
「俺、荷物取ってくるよ。」
ルイはそう⾔い残し、荷物を置いてきた場所まで戻った。
レナはルイの何かをつかみたかったようで、彼がひとりで⾏かせることを⽌めなかった。ルイは、A級の雑⿂の魔物なんかは相⼿にならず、⼀瞬でとどめを刺していった。ただ、A 級の魔物の出現が多いことに違和感があった。
ルイは、⾶び出してから15分ほどでみんなが置いてきたすべての荷物を持ってきた。皆
ルイは、全⾝が⾎に染まり帰ってきたことで、皆を驚かせてしまった。
「ルイ君どうしたの?」
「C 級の魔物がいて倒してきたんだよ。」
ルイは、上⼿く誤魔化したつもりだったが、レナは何やら怪しげにこちらを⾒ていた。
先⽣を待つこと30分が過ぎていった。 先⽣たちは、⾶⾏魔法を使い5分以内でどの場所でも来る予定だったが、全く来る様⼦がなかった。正直、光線を上げている場所にすぐに来ないのは如何なものかと思っていた。
ただ、⾷料も⼤量にあり、皆くつろぎながら先⽣を待つことが出来た。
この状態での基本的な監視は、ルイとレナが務めた。彼らはこの中で⼀番魔物の発⾒が早かったからだ。
先⽣がなかなか来ないことで、皆不安な気持ちが段々募っていった。そんな時、上空から声が聞こえた。
その声は⼀瞬で地上まで降り、こちらに来た。
「遅れてごめんね。」
現れたのは、俺たちクラスの担当教員だった。
「何かあったんですか?」
「⼀番近場の皆が集まる場所の草原に B 級の魔物が現れたんだ。それで多くの者が傷を負ってしまってその⼈たちを回復するのに時間がかかってしまって。」
「それで君たちはどうしたの? 特にルイ君は⾎だらけで・」
「先⽣をお呼びしたのは、A級の魔物のワイバーンが出現しました。」
「A級の魔物ですか?」
「そんなはずありませんよ。この森は厳重に管理されています。B級の魔物はいますがA級の魔物は確認されていません。」
「先⽣、疑っているなら、倒したワイバーンを⾒に⾏く?」
先⽣とレナとステラが⼀緒に先ほど戦っていた場所まで⾒に⾏くことになった。ルイは、荷物を取りに⾏ったとき倒してきたモンスターが⾒つからないか⼼配になった。ワイバーンの位置とは少し離れているが、10体以上倒してきたから知られてしまう可能性もあった。
「俺も⾏くよ。」
「ルイ君は、ここを監視していてもらわないと。」
レナにそう⾔われ、仕⽅なくその場で滞在することになった。
先⽣たちはすぐに戻ってきた。帰ってきたレナはこちらに何も⾔わなかったので、ルイはばれなかったと思っていた。
先⽣は、帰ってきてすぐに緊急事態という⽂⾔を⼝にした。A 級のワイバーンが現れることがなく、緊急警告をするのに値するそうだ。そのため先⽣は、独⾃で持っている緊急事態を⽰す、⿊の光線を⽤意した。
これが打ち上がったら各グループは、灰⾊の光線を上げ⾃分たちの居場所を知らせる必要があった。そして、先⽣が駆け付けるまでその場で待機をする必要がある。
― ヒュウー
先⽣は、⿊の光線を発し、実習の終了となった。さらに、⽣徒たちの灰⾊の光線を待つこととなった。
少し待っていると居場所を⽰す光線ではなく、⾃⾝の緊急を⽰す⾚の光線が複数放たれた。
「緊急を知らせる光線が幾つも?」
先⽣が⼀番早く気づき、対応策を決める必要があった。
ただ、緊急を知らせる光線なので、すぐにでも⾏動を起こすしかなかった。
先⽣はふとこちらを⾒ると、何かをひらめいた顔をしていた。
「ルイ君。あなたの実⼒を鑑みて、⽣徒たちの対応をお願いできますか? 私は、他の⽣
徒たちとここに居る⽣徒たちを合流し終えたら、他の⽣徒たちの対応に回ります。」
「分かりました。」
ルイも緊急性を理解していた。少しでも⼿伝えるなら、という事で了承した。
「なぜルイだけ⾏かせるんですか?」
カイトは少し不服そうな様⼦だった。強さを求めるカイトにとって、同級⽣で⾃分より強いやつがいるという事を認めたくなかった。
「ルイが強いからよ。 ルイ早く⾏って。」
彼⼥はカイトを抑えてくれていた。ルイは、彼⼥に背中を押され、即座に⾶び出した。
「なぜルイが強いとわかる?」
カイトは、ルイがいなくなった途端不満を漏らしていた。
「彼は、私でも感づかない魔物の感知をしているの。 A 級を倒せたのも彼のお陰が⼤きい。」
「さらに、A 級のモンスターを⾒に⾏った時に、私たちが倒していない魔物が複数倒れていた。たぶんルイが倒したものだと思う。」「ルイ君は別として私たちもすぐに移動します。」
先⽣の指⽰のもと、ルイとは別⾏動で他の⽣徒たちと合流するように動き始めた。
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