代表会議
リオは X 所属ではないため、家で留守番をしていることになった。そして、俺とティーとエリさんの3⼈で向かうことになった。
代表会議の会場は⾏ったこともない場所だった。それは、外観がすべて⾦で出来ている城だった。内部は、壁画が多く存在し⾼価な装飾が多くあり王宮の内部に似た造りをしていた。流⽯に神族の代表たちが集まる場所だけはあった。
ティーニアにある部屋に案内された。
そこには、円卓状に机があり、10席の椅⼦が設けられていた。
そこには、7名着席しており、全員肌で感じるほど強いと思えるオーラを放っていた。
「みんな揃っているね、珍しい!」
「皆気になっていると思うんだけど、この⼦が誰なのか紹介するね。」
いきなりティーニアによる紹介が始まった。ただ⽴っているだけで、全てティーニアが話してくれた。
「この⼦は、ルイ君。」
「私はこの⼦を抜け番の7位に任命したいと思っているの。」
周りを⾒渡したが、納得していない様⼦の者は誰⼀⼈いなかった。
「はじめまして、ルイです。」
挨拶をすると静まり返ったその状況に少し恥ずかしくなってしまった。
このまま⽬⽴っているのも嫌だったので、ティーニアに⾃分はどうすればよいか尋ねた。ティーニアは、空いている席を指さし「あそこの椅⼦に座っておいて。」と⾔ったので、彼⼥の指⽰通り席に着いた。
席に着くや否や隣の席の男がこちらをずっと睨んでいた。
彼はこちらに愚痴をこぼし、会議が始まらなかった。
「なんでこの代表会議に参加してやがる?」
「元⼈間のくせして、この神聖な会議を汚すな。」
彼の⾔葉は、はっきりとこちらに敵意むき出しだった。まあ、こんなやつを相⼿にするのも⾯倒だから放っておいた。
その瞬間、彼は⽴ち上がり、ルイの胸ぐらをつかんだ。
「サトルやめなさい。」
彼はとっさに⼿を離し、席に戻っていった。
だが、ここまでやられて何もしないわけにはいかない、漢のプライドが許さなかった。
ルイは、⽴ち上がり彼の席まで⾏き同じように胸ぐらをつかんだ。
― テメエ
ルイは彼の怒りを買った。
「ティーニアさん、こいつと⼀戦やらせてください。こいつを潰します。」
ティーニアは困惑していたが、彼を⼊れるにあたって彼の実⼒を知ってもらう⽅が⼀番⼿っ取り早かった。
「ルイはどうなの?」
「いいよ。 不届きものを排除するには最⾼の機会だしね。」
彼がここまで相⼿を煽る⾔い⽅をしたのは初めてだった。優しかった彼の尾を踏んでしまった。
「分かったわ。 私がその試合持ちましょう。そして、ここにいる全員が⾒届け⼈となるわ。」
ルイとサトルを除く8名で会議が開かれた。
内容は、ステージの選択とバトル条件の確認だった。
「皆さんに聞きますステージは何処がいいと思いますか?」
草原、荒野、極寒地、砂漠、⽕⼭帯、のステージを尋ねていきますので、挙⼿性でお願いいたします。
草原4票、荒野0票、極寒地1票、砂漠1票、⽕⼭帯2票という結果になった。
「草原ステージに決定いたします。」
基本的にすべて使⽤してよいというルールで⾏います。
「魔法具の制限は5つまで。武器の使⽤は有り。魔法はエクセプション魔法を含むすべての魔法の使⽤可能。この条件で⼤丈夫でしょうか?」
全員が頷きこの条件での決闘が決まった。
「このまま、皆さんを移動させてしまうのでこの部屋から出ないようにお願いいたします。」
『転移魔法 発動。』
床に魔法陣が現れ、この部屋の⼈や椅⼦机など全てを転移魔法で移動させた。彼⼥は、⼈だけではなくこの部屋を移動させるその魔法⼒は規格外だった。彼⼥の魔法に驚かないあたり、彼⼥との付き合いの⻑さが伺えた。
「両者準備して。」
「ルイ、これを受け取って。」
そうティーニアに⼿渡されたのは、⼀つのネックレスだった。ひもと⽯が付いているだけの簡素なものであったが、魔⼒が溢れてくるような代物だった。「これは、君の吸収している魔⼒を少しは補填してくれる物だから。」
ジェラルドはその光景を睨みつけているだけだった。ただ、⾃分と違って装飾品を沢⼭つけているようでこちらに⼝出しは出来ない様⼦だった。
ルイは、異空間から杖とローブを取り出した。⺟の形⾒の杖を装備した。そして、ティーニアが卒業祝いにくれた⽩⾊のローブを装着し、準備が完了した。
ルイは⽩基調の服装であるのに対して、サトルは⿊基調でまとめ上げていた。
彼は、動きやすそうなタンクトップに短パンで、杖は持っていなかった。彼はグローブを装着しており、素⼿での戦いを予感させた。彼の、指にはリングが5つはめられており、魔⼒を⾼める魔道具だと予測ができた。
準備が終わると、お互いが10メートルほどの距離をとり相対するように構えた。お互いに準備が完了しティーニアに合図を送った。
「始め」
ティーニアの合図とともに試合が始まった。
ルイは、魔法を構成した。
「⽔魔法 ウォーターボール」「雷魔法 漏電」
⽔魔法のウォーターボールと雷魔法を組み合わせ、電気を含んだウォーターボールがサトルに向かった。
「⼟魔法 ⼟壁」サトルは⼟魔法を使⽤しルイの魔法を防いだ。
「最上級 ⽕魔法 イフリート」サトルは、グローブに⽕属性を付与した。
彼は接近戦を望みルイに急接近してきた。
ルイは、サトルの接近を防ぐため「草魔法 新緑」「⽕魔法 爆炎」を使⽤し、辺り⼀帯
を焦げて焼け落ちた⽊と炎で埋め尽くし直線距離で進むことを困難にした。
「⾶⾏魔法」ルイは上空からサトルの様⼦を確認しようと空⾼く上がった。
下からルイに向けて⽕の⽟が無数に⾶んできた。「氷魔法 氷の壁」を展開し彼の魔法を容易に防いだ。ただ、サトルはそれを隠れ蓑にし、ルイへ近づくことが出来た。
サトルの⽕属性を纏った拳はルイの腹部に⼊った。その衝撃でルイは地⾯に打ち付けられた。ルイは、不覚にも攻撃を⾷らってしまった。少し、真剣な表情をした。油断をしてい
たわけではないが気を引き締めた。「回復魔法」施し、少し現状を回復した。
「広範囲⼟魔法 マッドショット」「⽔魔法 雷魔法 複合魔法 ⽔雷砲」そして、「草魔法 結び」
ルイは、サトルの居場所を⾒失ってしまったため、空中に泥をぶちまけた。彼の場所だけ泥が防御魔法により残り場所を特定した。彼の防御魔法を壊すため、強⼒な攻撃魔法を放ち、彼の防御魔法が解けた瞬間を狙い草魔法で四肢を縛り上げた。
ルイは、「氷魔法 氷の剣」を数⼗個⽣成し、サトルに向け⾶ばした。さすがにサトルは避けることが出来ず、数本の氷の剣を⾷らってしまった。ただ、ルイも魔⼒の連続使⽤で魔⼒精度を⽋き、サトルに刺さった氷の剣は消えてしまった。
サトルはそのまま地⾯に落ちていった。
ルイはサトルの状況を注視しながら、少しその場で休息を取った。互いにお互いの様⼦を伺い1分ほど静寂な時間が続いた。
再開は、サトルの魔法からだった。「最上級⽕魔法 煉獄」「最上級氷魔法 コキュートス」彼は最上級魔法の煉獄でルイのいる場所を焼き尽くし、最上級魔法でルイを凍らせた。
ただルイの魔法特化の防御魔法は固く彼の最上級魔法では破れず、攻撃は届かなかなかった。
― チッ
サトルは、魔法の技術はルイの⽅が上という事を認識し、魔法攻撃ではなく物理的技に変えた。
「転移魔法」
転移魔法を使⽤し、サトルはルイが場所を特定できないように何度も使⽤し場所を変えていった。
転移魔法は、⼀度⾏ったことがある場所にしか⾏くことは出来ない。そのため、このフィールドを熟知しているサトルの⽅がここに初めて来たルイよりも転移場所が多く優位を取れている。転移魔法は、距離と転移する物の範囲で魔⼒量が⼤きく変化する。このフィールド内の距離で転移するなら複数回使⽤も容易であった。
サトルの物理的な攻撃がルイを襲った。彼の炎を纏った拳は物理と魔法技の2つが重なっているため、ルイの防御壁を突破し複数回の拳と蹴りが⼊った。
「炎魔法 爆炎」ルイはサトルの接近を防ぐため⾃⾝の周りを炎で覆った。
ルイは、爆炎の魔⼒⾃⾝の魔⼒からではなく、杖の魔⼒での起動に切り替え発動した。その間に、膨⼤な魔⼒を⼀気にため込み魔法を発動した。
「炎魔法 業⽕」「岩魔法 ロックガン」
「雷魔法 落雷」「氷魔法 アイスブレード」
ルイの攻撃魔法と同時にサトルもわずかな魔⼒で、魔法を発動していた。雷魔法で彼の防
御魔法を半壊させ、氷の剣で防御魔法を貫通し腹部を貫通していた。
だが、サトルは残り僅かな魔⼒でルイを攻撃してしまったため、防御魔法が発動できず彼の攻撃を全て⾷らってしまった。
炎魔法の業⽕でサトルを炎で焼き尽くし、岩魔法ロックガンで岩を連発し何発もの⽯がサトルの体を傷つけた。
サトルはその場で動けなくなり、倒れる⼨前だった。
「再⽣魔法」
ルイは再⽣魔法を使い腹部の傷を治した。そして、サトルが限界なのを感じ最後の⼒を籠め拳で殴り⾶ばした。
その場にサトルは倒れ込み動く気配がなかった。ルイも、再⽣魔法を使⽤したため、魔⼒消費量が激しくその場に座り込んでしまった。
倒されたサトルは、そのまま起き上がる様⼦がなかった。
「試合終了 勝者 ルイ」
ティーニアは、サトルの状況を鑑み試合を終らせた。サトルは、体傷だらけになり⽕傷の跡が深く残っていた。
「エリ サトルの治療をお願い。」
エリは、サトルの傍に寄り魔法を発動した。
「回復魔法」
サトルの体は、段々と修復し傷跡などはなくなっていった。
ティーニアは、気絶をしているルイの体を魔術で運んでくれた。
⽬が覚めると、ベッドの上で休んでいた。豪華な部屋に⼀⼈きりだった。丸きり痛みは消えており、最後結果がどうなったのかが分からなかった。
ティーは、⽬覚めてから30分程度で⾒舞いに来てくれた。
「ティー結果はどうなった?」
「ルイの勝ちだよ。」
ルイは、嬉しさが込み上げてきた。サトルへの嫌悪感などを無くして、本気の戦いで誰かに勝てたことがうれしかった。
「ルイ、体調が治っているなら正式を紹介するよ。」
「俺の試合⾒てどうだった? 皆認めてくれた?」
ルイは、⼦供らしく誰かに認めてもらいたい気持ちが強かった。
「皆認めているよ。あの試合を⾒せられたら誰も⽂句⾔えないよ」
―ヨッシャ
感情が⾼まり思わず声が漏れてしまった。それを聞きティーニアがニコニコしながらこちらを⾒てきた。
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