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生まれ変わったら、そこは忍びの里でした(転生忍者奮闘記)  作者: らる鳥
二章

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 僕は側近候補として若様に仕えてるけれど、里を取り仕切る長、頭領からの指示があれば、優先すべきはそちらとなる。

 具体的に言うと、任務が命じられれば若様のお世話よりもそちらに行かなきゃならないって事だ。

 いずれ若様が上忍として里の運営に関わるようになれば、頭領からではなく、若様から任務を命じられるようになるのかもしれないが、それにはまだもう少しかかるだろう。


 さて、そういう訳で今日の任務は、食い詰めた賊に扮してある行商人を襲う事。

 前回の妖怪退治と違って、今回は公にはできない類の任務なので、依頼人等は教えられない。

 ただ襲う予定の行商人は若く、才気に任せて目立つ商いをしていたというから、それを目障りに思った同業者、それも忍びを雇える程の商会辺りが依頼人なのだろうとの察しは付く。


 食い詰めた賊というのは、継ぐ田畑がなく、村を追い出された農家の三男や四男が、町でも仕事を見付けられずに食うに困って、似た者同士が集まって賊になるというケースが多いという。

 また天候が悪く不作だったり、戦で田畑を焼かれた村が、生きる為に村ぐるみで追い剥ぎをする場合もあるんだとか。

 後は、戦から逃げ出した脱走兵が故郷にも帰れず、賊となって旅人を襲ったり。

 いずれにしても食い詰めた賊とはそういった連中なので、忍術はもちろん、武芸者のように気を操る事もない。

 故に今回の任務では、当然ながら忍術の使用は禁止である。

 僕がこの任務に選ばれたのも、年若く見える者が混じる方が、食うに困った村の仕業に思われ易いからとの事だった。


 それから、もう一つ。

 今回の任務で班を率いる中忍から禁じられた事がある。

 それは、襲う対象である行商人の殺害だ。


 正直、これはちょっと意外だったので、僕はそれを即座に了解はしたが、中忍に一応理由を問う。

 証拠を残さぬように確実に殺せって言われるならともかく、殺すなって理由はわからない。

 いや、別に誰かを殺したい訳じゃないから、その指示はありがたくはあるんだけれども、まだまだこの世界での知識が足りぬ僕は、こうした機会に少しでも物事を知っておくべきだと思ったから。


 余計な事に興味を持つなと叱責されるかとも思ったが、班を率いる中忍は頷き、あっさりと理由を教えてくれた。

 なんでも今回の任務である、食い詰めた賊に扮して襲うなんて真似ができるのは、狙う行商人がどこの忍びの里にも、通行の安全を保障されていないからだという。

 僕らの里の名は浮雲といい、そこに属する忍びは浮雲の忍び、或いは雲忍と呼ばれるそうだけれど、他にも忍びの里はある。


 この世界で成功している商人は、その多くが何れかの忍びの里に街道の通行、商売の安全を依頼して、契約を交わしているそうだ。

 いずれかの忍びの里がその商人の通行の安全を保障すれば、他の忍びの里もその商人には手を出し辛い。

 何故なら安全を保障された商人に手を出せば、その安全を保障した忍びの里の面子を潰す事になってしまう。

 面子を潰された忍びの里はそれを放置すれば、そんな弱気な里の忍びを雇う依頼主がいなくなるので、全力で報復をせざるを得なくなる。

 つまりは、そう、忍びの里同士の全面戦争に繋がりかねない。


 忍びは、任務で他の里の忍びと争う事も珍しくはないが、全面戦争となるとまた話は違う。

 負ければ里は滅びるし、勝っても少なからぬ被害が里に出る。

 結局、誰も得をしないし、その隙を更に別の里に突かれてしまう恐れすらあった。


 まぁ、ちょっと話が逸れたけれど、忍びの里との契約には、かなり大きな効果があるのだ。

 恐らく今回の行商人は、街道で襲われる商人の少なさから、忍びの里にそれを依頼する金銭を惜しんで、不要だと判断したんだろうけれど、それは明確に誤った判断である。


 しかし余程の阿呆でない限り、一度痛い目を見れば次からはどこかの忍びの里と契約する事を惜しまぬ筈だし、才覚はあるとの話だったので、商売を一度潰されても殺さなければ再起は可能だと判断されたのだろう。

 その契約相手が、浮雲の里であれば重畳、そうでなくとも忍びに依頼をする商人が増える事は望ましい。

 逆に行商人を殺してしまうと、縁者や取引相手、その才覚を買っていた後援者等の恨みが、浮雲の里に向きかねなかった。

 僕らが完璧に偽装をして任務をこなしても、依頼人が何かの拍子にそれを漏らしたりしないとも限らないから。


 ……そして任務自体は、特にどうという事もなく終わる。

 強いて言うなら、班の人数が十人もいたのと、移動や待ち時間が長かったのと、食い詰め者に扮する為にわざわざ汚れなきゃいけないのが幾らか不快だったくらいか。

 しかしそれは、忍びなんてやってたら些細な事だ。

 食い詰め者に扮して忍術を禁じられても、忍びの技術が使えなくなる訳じゃないので、行商人の動向を把握して待ち伏せ、襲って荷を運ぶ牛を奪うのは実に容易かった。

 余禄として、里に持ち帰れば足がつくからと売り払った荷運びの牛や、荷の反物の代金のうち幾らかは任務の参加者に分け与えられたので、美味しい依頼ではあったんだなぁと思う。



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みかじめ料ですね
マッチョポンプ
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