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1話:プロローグ

短編の長編版になります。

色々穴もあったので、全体的に加筆しています。

 自分が転生者だと気付いたのは魔法学院でヒロインを正面からちゃんと見た時だった。

 何処かで見た事あるなぁとは思っていたので、ああやっぱり、と納得しかない。


 前世で好きだった乙女ゲーム「運命の魔法は貴方と花開く」の世界は、タイトル通り魔法があり、魔法と魔法を使った技術が発展している。

 そして舞台となっているのは何処の国にも属さない魔法学院で、大陸の中心にあり4つの国に囲まれている特殊な環境にある都市国家だ。

 一定以上の魔力のある人は試験を受けて、合格するとこの学園に入学でき、3年間寄宿生活しながら様々な事を学べる。この学院の卒業は大変なので、卒業生の将来は約束されているというエリート学院。

 魔力がある人は基本四大元素である風火水土か光闇のどれかになるのだけど、主人公は無属性で始まる。

 攻略対象は各属性ごとに居て、誰か一人と親しくなるとその属性になり、みんなと一定以上仲良くなると全属性、全員との親密度が低いと無属性のまま危険だからと魔力を封印される。

 悪役令嬢とかは無いので、そこは安心だしちゃんと学生として勉強しないといけないゲームだったので、そういう意味でも安心だ。

 ただし、攻略対象だけでなく、各国の貴族や王族も居るのでそこは、本当に要注意だから気を抜けない場所でもある。


 それにしても、ヒロイン可愛いわぁ。ふわふわのピンクブロンドにオレンジサファイアのようなキラキラした濃い橙の瞳。

 とはいえ、向こうも転生者だったら怖いから距離を取りつつ様子見をしよう。誰狙いかも気になるしね。


 私自身はお助けキャラでもなくただのモブだ。私も一応魔法学園を囲む4つの国の内、東のレイシナ王国の貴族ではあるが、男爵家の娘なので平民と正直大して変わらない。

 属性は光で回復は余り得意ではないけど、洗浄とか浄化は得意だから私は領地の土壌改良や防御の為に魔法薬や魔道具の勉強を専攻している。

 そして、ヒロインが魔法薬を爆発させているのをちょいちょい見かける。


「きゃあ!」


 可愛い悲鳴と共にぼふっとまた爆発した音が聞こえ、振り返るとやはりヒロインのルイーゼさんだった。

 周りももう慣れたもので、あちゃあ、としか思わないが今日は珍しく攻略対象サポートがいない。他に誰も動かなそうなので、仕方ないから行くか、関わる気は余り無かったんだけどなぁ(涙。


「大丈夫?怪我はない?」

「は、はい!ごめんなさい……」

「気にしないで、貴方魔力制御苦手なんでしょ?

 まずは片付けましょう。あなたは先に手を洗ってきてね、私はここを浄化して無害化するから」

「はいっ!」


 その後はヒロインと片付けをして、改めて魔法薬の実験の再開の準備をしている所に攻略対象が来た。

 どうやらこいつサボってたようだ。


「ごめん!ルイーゼちゃん!」

「アランさん……」

「パートナーが来たようだから、後は大丈夫かしら?」

「はい、ありがとうございました!」


 私も自分の席に戻り作り終えてある魔法薬のレポートの続きを書く。

 アランとルイーゼは見ないようにする。


 無事授業が終わり、私もレポートを提出してホッと一息つく。攻略対象は手際が良く、もうレポートの提出も終えたようでヒロインと一緒に出て行ったを確認して、逆方向の曲がり角を曲がってやっと気が抜けた。


「はあ、緊張したなぁ。関わる気無かったんだけど仕方ないよね、特に(アラン)は怖いから……」

「ええ〜!それは心外だなあ?オレ、女の子には優しいと思うんだけど?」

「っ!!」


 壁を背にしていた私の死角、曲がり角の所からひょっこりと顔を出しているアラン。

 このアラン・ガーランド、一見派手な見た目にチャラい女たらしだが、本来は黒髪の暗殺者な上にヤンデレではなく、病んでる。

 選択肢を間違えるとすぐ殺されると言うヤバさ。前世では推しだったけど!!!

 自分の命を賭けのチップにした選択肢なんて選びたくないんだよ!!


 とは言え、この状況は良くない。脂汗が出る。


「ご、ごめんなさい!!悪気は無かったんだけど、失礼でしたよね……」

「うん、ちょっと傷付いちゃったなぁ。ねえ、なんでオレが怖いの?」

「え、ええと……。言わないとダメ?」

「うん♪」


 あー、目がガチだわ。これ白状しない限り逃げられない。


「その目です。

 誰と居る時も笑ってても目が笑ってないし、今は聞き出すまで逃がさないって言ってます」

「!!……それは、気を付けなきゃいけないねえ。

 うん、いい事を教えて貰ったよ、ありがとう」

「いいえ、失礼な事を言って申し訳ありませんでした」


 そう言って頭を下げてから私は去ろうとしたら、またしてもアランに腕を掴まれた。


「まだ、なにか?」

「うん。いい事を教えて貰ったから何かお礼したいな」

「えっ、いえいえ!そもそも私が失礼な事を言ったのが悪いので!!」


 ヤバいヤバい!早く逃げなきゃ!!

 顔絶対に引きつってるけど知らん!!!!逃亡しなきゃ!!


「ふぅん?」

「あ、あの、離して……」

「うーん。ヤだ」

「いや、やだって子供じゃないんだし、もう良いでしょ?!」

「それが素かぁ〜。リリアナ・ローズウッド男爵令嬢」


 アランの目が獲物を見付けた猫科の動物のように細まる。警戒どころではなく、即逃亡しても無理かも。


「わ、私のようなしがない男爵家の者も把握しているの?」

「オレ、平民だもん。お貴族サマに失礼があったらいけないでしょ?」

「我が家は貴族と言っても底辺なので、お気になさらず。

 あの、授業に遅れそうなので本当にもう行きたいんですが……」

「うん、仕方ないね。また、夜、カフェテリアでね?」

「えっ!!」


 呼び止める間もなく、アランは行ってしまった。

 これは行くべきか、部屋に引きこもるべきか……。どちらの方が彼の気を引かないか。


「逃げたら、追いかけられるよね?行ったら行ったで、何を聞かれるんだろう……。

 ってやば!!授業!!!」


 次の授業の教授は厳しくて有名な先生なので、遅刻は厳禁なのだ。

 本来貴族令嬢としてははしたないが、背に腹は代えられない!と全力ダッシュで走った…… そりゃもう必死で。


 なんとか、先生が来る前ギリギリで滑り込めた事。

 だが、先生に見られていて授業の後にお説教を食らったので、セーフだったのかアウトだったのか……。




 そして、慌てて走る私は、アランがまだ観察していた事に全く気付かなかった。

読んでいただきありがとうございます。

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