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⑧デストロイモード(殺意の塊)




バックから取り出したドレスアーマーが光を帯びる。


「くそっ油断しちまった。 殺す殺す殺す! 噛み殺してやる! ドレスアップ! 狂乱の狼(ワイルドウルフ)


 ドレスアーマーを身に着ける女ハンター。

 灰色の毛皮、鋭い爪、立派な尻尾……まさに狼。

 かなり強そうな雰囲気はある。


 ルナが持っているドレスアーマー……ラッキーラビット以上の凄みと威圧がある。


「俺の持つドレスアーマー、狂乱の狼は評価Bランクの装備だ! お前如きヒヨっ子は相手にならねえ」


 Bランクだと!?


 ルナの持つドレスアーマーは評価Cランク。

 どうあがいても絶望的な状況。

 勝ち目なんてあるのか?


「ランクなんて関係ない! ()れすあっぷ!幸運の兎(ラッキーラビット)



「生意気言ってんじゃねー! ウサギが狼に勝てるわけないだろうがっ」


 確かに相手の言うとおりだが、ルナからただならぬ怒りを感じる。

 もしかしたら、この勝負勝てるような……そんな期待を抱かせる。


「分からねえなら、分からせてやる! 体術ストライク・クロウ」


 両手に付いた鉤爪を少し伸ばして、物凄いスピードでルナの横を通り過ぎて行く。


「うぅぅ」


 通過した時に鉤爪を当てていたのだろう、ルナが低い声を漏らす……ダメージを受けているようだ。


 その証拠にラッキーラビットの鎧に少しだけヒビが入っている。


「ルナ!」


 信じて黙って見ててあげたいが、つい心配になって声をかけてしまった。

 

「大丈夫! 負けない! 魔術……ラビットハンマー」


 ウサギちゃんのマークが入った大きいハンマーを瞬時に作り出した。


 そうか! 大きい武器なら当てやすいのか!


 いけールナ! こてんぱんに、殺っちまえ。


 ……何か俺も気合みたいな熱みたいな物が溢れてくる。

 

 自分の大事な人が闘ってるのを見ると、こういう気持ちになるのか。


「ルナ頑張れー」


「うん、お兄様見てて、ルナ頑張る!」


 両手でハンマーを振り回し、攻撃するが、中々敵には命中しない。

 やはりスピードが厄介で、何度攻撃しても回避されてしまう。


「大きいからって当たるわけねえだろ、トロいんだよノロマが! 秘術……ハウリングボイス ガオぉぉぉ!!!」


 ぅぅううう!?


 俺の方にまで、威嚇するような咆哮がっ!


 一瞬だが身体の動きが止まる。


 これが狙いか!


「うぅぅ」


「怯んだな! この技で終わりにしてやる! 『狼』の奥義……【ウルフ・デッド・クロウ】」


 目で捉えられない程の超高速で動き、四方八方から爪の斬撃が飛んでくる。


 これじゃルナは避けられない……


「きゃあぁぁ!?」


 全ての爪の斬撃を身に受けてしまった。

 ドレスアーマーが半分ほど砕かれ、倒れてしまうルナ。


「はぁ、はぁ、はぁ……終わったな。 後はお前だけだ」


 息を切らしながら睨見つけてくる女ハンターは鉤爪を俺の方に向ける。

 

「俺に恥かかせたお前を、血みどろのボロボロになるまで刻んでやる」


「いや! お前は俺を傷つけられない」

 

「はぁー? お前何言ってんだ? 仲間が殺られて頭が狂ったか」


 ちがう……そうじゃない! 


 まだルナは殺られていない!


 ここからが本当の勝負だ。


「ぐぅぅぅ……まだやれる。 ルナは負けないぃ、お兄様を傷つける奴は絶対に許さない!!!」


 歯を食いしばり、立ち上がるルナ。

 多分、立ってるのがやっとの状態。

 それでも俺を守るために、懸命に立ち上がる。


「ちっ! だったらこれで終わらせてやるよ。 体術っっううう!? し、しまった。 奥義を使ったせいで技が打てねえ……ぐっ」


 奥義の反動なのか、それで息切れしていたわけか。

 今が絶好のチャンスだ……ここを逃す手はない!


「くそがっ! でも技が使えなくても、お前の攻撃は俺には当たらねえ! この勝負は俺の勝ちだ!!!」


「あたらないなら、当てればいい! 体術……ムーンウォーク」


 出た分身する技。


 十体に分身したルナが、女ハンターを取り囲みボッコボコにしていく。


 これなら、女ハンターがいくら速くても逃げられない。

 逃げ場を封じられたせいで、全部の攻撃を受け、ドレスアーマーがボロボロになっていく。


「殺す! お兄様の敵は確実に殺す!!!」


「ひぃぃ〜 まっ待ってくれ……」


 殺意の塊……まさに今のルナにピッタリの言葉。

 

 ルナはポジティブな時もあれば、ネガティブモードの時もあり、精神的な波が激しい。

 

 うーん……何かいい呼び方ないかな?……殺意の塊……殺す……デストロイ!


 うん、怒った時のルナをデストロイモードと名付けよう!


 デストロイモードのルナの猛攻にドレスアーマーを全部壊される。

 それでもまだ攻撃を辞めようとしないルナ。

 敵を執拗に攻める。


 腹、顔、腹、顔、顔、顔、顔の順に殴っていく。


 ボロボロの女ハンターの顔が腫れ上がり血だらけになっていく。

 本当にブサイクな顔になったな。


 いやいや、冷静に考えてる場合じゃない。

 さすがに不味いか……そろそろ止めないと。


「ごめんなさい! ごめんなさい! もう許じでぐださい……」


「アバズレ……てめえは確実に殺す! 死んで償え……『ウサギ』の奥義……」


「待ったルナ! 駄目だこれ以上は……」




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