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ニホン国にはいるものの…

長年ニホン国の政権を握り、不正に金を溜め込み続けたジコウ党議員たち、すべてを暴かれ、税金滞納汚職ほかほかで国外追放をまぬかれるための条件とは

3月に入り、桃の節句だのホワイトデーだの卒業式だの何やら花がある行事が続くニホン国。

どこもかしこも春の兆しに浮かれているかというとそうでもない地域があった。

「わーん、なんでこんなことにいい、こんな南東北の汚染地区でこんなこと、やってられんよおお」

と叫んでいるのは元ニホン国与党ジコウ党国会議員ゼコウ氏。作業服姿で頭にヘルメット、顔は専用マスクで覆われ、周囲にはコンクリートの瓦礫の山、そこに腰かけているが、うまくバランスが取れず、ふらふらしている。

「し、ゼコウさん、ドローンが来てるんだから。俺らもう、議員どころかに、ニホン国民ですらないんだ、サボっているところがバレたら、どんな目に遭わされるか」

傍で怯えているのは、同じく元議員ハギュウダン。他にも何人か、中年、若手の元議員たちや、以前、ジコウ党の御用学者だの贔屓タレントだの、寿司とも仲間似非ジャーナリストだのと揶揄された人々が瓦礫の山を片付けている。

「だってハギュウダンさん、ワ、私ら一応議員だったんだよ、そ、それが自動申告とかになったばかりに。ひ、秘書も裏切って、い、いくら命令だからってひ、酷い」

「その、ゼコウさん。やっぱりあれはなんとしてでも、たとえ下野することになっても止めるべきだったんだああ。あのジコウ党裏金問題で、本来なら雑収入として、申告しなければいけないもろもろを長年黙っていたのを、スンズキ財務大臣が納税は個人の判断とか馬鹿いうから、さらに批判を浴びちまったんだ」

「だいたい、ハギュウダンさん、あんたがのらりくらりと追及をかわして、しかもロクに記帳もしていないいい加減極まりない収支報告書だのをだしたから、国民感情に火に油注いで、申告ボイコットだのが起きて、あんな騒ぎになったんじゃないか。だから、それを納めるためにマイマイナンバーカードですべての収支を記録して議員自動申告にってキジダダ総理が提案せざるを得なかったんだろう」

「そ、それが悪手だったんだよ。だいたいマイマイナンバーカードが普及率最低、議員ですら取得してないからって、金の出入りを全部あのカードでなんてやったら、丸裸にされちまうってなんでわかんなかったんだよ」

「た、確かにタンス預金ですら、申告しないと持ってかれるって、家屋敷どころか、先祖伝来の田畑、親、妻名義のアパートまで突き止められ、子供の給食費の振込、こづかいですら明らかにされるとはなあ。データ化をロクにしてないかと思ってたら、電子化の波で全部データにされてたんだなあ。してないのは国有地か、地区の共有地ってことで、地代取ろうとしたら、即座に国税だかの黒服に取り押さえられたって叔父があわてふためいていた」

「その時点で、気が付くべきだったんだよ、ゼコウさん。秘書たちだって、きちんと記帳しないと資格はく奪、俺らと同じ戸籍はく奪といわれてたらしいし、そこまでされれば逃げようがない。“隠し収入が取りざたされて大騒ぎになったのだから、アナタ方議員の収支は1円たりとも明らかに、面倒ならばこのカードでって”、いわれりゃ、ロクに考えない若手の奴らは飛びつくよ。共産ニッポンとかレイワンとか野党どもが個人への信頼を損なうのではとか言ってたけど、逆にあいつらは何のおとがめないどころか、タンムラ委員長なんて、無駄金を使わず、野党党首の鑑、いや家政と預かってきただけあってすばらしいとか、絶賛されちまうんだからな」

「まあコーアンが何年かけてもチリすら見つけるの困難な党だからな。ち、チクショウあいつら、議員自動申告が決まってから標的を俺らにしやがって、アイツらあっという間にいろいろみつけたし、やっぱり優秀なのか」

「優秀過ぎるから、アベノ元総理やらガース前総理の無茶苦茶な命令に長年鬱屈してたんだろうな。ほぼ潔白な人間を無駄に追い掛けさせられて、真っ黒確定なのに見逃さざるを得なかった。その真っ黒な奴らを今度は堂々と追及できる、思う存分能力を発揮して本来の仕事がやれるとなって、汚職上司まで地に落としやがった」

「やっぱ、あの公安トップを引き込んでたのか、ハギュウダンさん。あの夫婦そろって、今じゃ俺らと同じ、原発廃炉作業ドローンの命令でフクイチ原発他の廃炉作業に災害の後の片づけ。国外追放を免れるためとはいえ、一生底辺仕事とは、しかもため込んでた金も土地もぜーんぶ取り上げ」

「仕方ないだろう、ゼコウさん、まあ俺は世襲じゃないけど、世襲のしかも難題も続いた奴らはもっとひどい。サンカイ四世なんて、一族全員、結果的にここにくることになったんだ。老体のサンカイさんでさえ、清掃作業、箒も持ったことないって言ったら、雑巾がけからやらされてるよ、若い監督官に」

「子供達だって酷い目に遭ってるだろ。コネでいい大学だの就職先だの見つけてた子弟は若いから、もっと放射線量の多いところに働かせられてんだろ、まあオオイズミ議員もだけど」

「ああ、あの有名妻は今や飯炊き、寮の下働きだ。タワマンセレブから一気に落ちまくって、子供も取り上げか。まあ、養子に出した方がいいだろうよ、こんな汚染地区じゃ、逆にアブナイ。俺らの孫は無事かなあ」

「さあな。俺のところは幸か不幸かまだ孫はいなかった。しかし、子孫なんて、こんなところで残せるのか。学校すらなく、オマケに無戸籍」

「それは…、しかしミズタとか、ちょっとアレな議員たちは病院で治療受けてるんだろ、それなら、最低子供ぐらいは保護してもらえるんじゃ」

“そこの二人休憩は終わりです、そろそろ働かないと”

頭上のドローンから発せられた声に思わず、気を付けの姿勢になる二人。

「は、はい、直ちに取り掛かります、(う、もっとひどいとこに行かされるのは嫌だ)」

「やります、やります(サンカイ四世だのは炉心部分に行かされて、今病院だ、そんな目に遭いたくない)」

と、作業に渋々戻る二人だった。


「ドウデスカネ、元議員たちは」

「あ、米国の…、まあまあ働いてますよ。無戸籍とはいえ、あまりひどい扱いはできませんけどねえ。まあ、追放の代わりに労働契約結んでますから。酷いようですけど、これでもアイツらが放置したブラック企業だの、ダケナカの派遣会社だの、技能実習生だのとの契約よりはよっぽどマシですけどね、きっちり休憩取らせてますし」

「ソウデスネ、一応ニホン国の法律全部守ってマスネ。8時間労働、週1日休暇、とはいえ汚染地区。」

「彼らが汚染地域でないって言ってましたから、大丈夫でしょ。トンデンの会長一家も今頃、そんなこと言うんじゃなかったって、ど真ん中で水処理させられて反省してるかもしれませんがね。まあ、お望みのデータはきちんと渡しますので、あとはよしなに」

「ええ、汚染の身体への影響データや廃炉の作業データ以外に、ネトキョクウと呼ばれるレイシストの精神疾患治療薬データもお願いシマス。ステイツでも、ドランプ大統領候補率いるナントカアノンらが蔓延っていますので、治療にツカワナイト。ま、アノ大統領は他にもタクサン治療ヒツヨウデスケドネ」

「ええ、脳腸相関関係も、我々の研究でかなり進みました。あのネトキョクウの姫といわれたミズタ元議員や、掛け声だけオバサン議員ガタヤマなどは、投薬、食事、生活改善療法でかなりマトモになりまして、今やいい寮母さんになりました。ガタヤマ議員などは高齢元議員のヘルパーをしつつ、瓦礫運搬もこなすという働きぶりでして。まあ、多少、脳電極装置もつかいましたが」

「トコロデ議員自動申告は続くのですか。世界に類を見ないやり方として、どうなるか、ステイツの経済学者も注目…」

「いえ、それが、共産、レイワン連合政府では反対票多数で継続否決です、自動申告は楽でいいという意見もありましたが、やはり自らやるのが筋であり、議員の役目でもあろうと。国税局の職員も震えあがりまして。職員たちもやがては自分らにも当てはめられると気が付きましたからねえ、どこぞの与党議員たちよりは賢いようで。ま、どうせ今の議員たちは前からきっちり申告してましたしね、議員自主申告に戻りそうですよ」

「納税の義務、チャント果たしますか。憲法順守、ヨカッタンデスネ」

「ええ、私共AIアンドロイドとしても、人々に別のよりよいサポートが出来そうです」

「ソウデスネ、私も当たらないくせに被害甚大、子供まで犠牲になるようなドローン攻撃システムなんぞより、平和的にナンタラアノンを治療するシステムで使われるほうがよいですよ」

と、アメリカ製ドローンは幾分朗らかな口調で空高く去っていった。


どこぞの国では言い訳しつつ国民だけにはメチャクチャな負担を強いてるようですが、国民の方もいつまでも井戸端会議やら、下の職員、順職員に文句たれるんでしょうか。実際に自分で行動しないとAIにしはいされちゃいそうですねえ

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