魔王と悲しい勇者
「遂にお前を倒す時が来たぞ!魔王!思えばここまで辛い旅だった!戦士が仲間になった時はめちゃくちゃ嬉しかったのに1個目の街で出会った女の子と恋に落ちパーティを抜けた!僧侶が仲間になってくれたらなと思ったら風俗店通いのクズ野郎だった!僧侶辞めちまえって思った!
魔法使いとは仲が良くて最高の親友と思っていた!なのに……さっき戦った最後の四天王戦で戦った毒の使い手との戦いで敵に魅了されて裏切られた!そして俺が殺した!わかるかこの気持ちが!」
「いや……その……長かったから最初の戦士が恋してパーティ抜けたとこまでしか聞いてないの……なんかごめんなさい」
「嘘だろ……俺の魂の叫びを聞いていなかったと言うのか!この残虐非道な魔王め!」
「ふっはっはっは!そうだ!私は第六代目魔王だ!よく来たな勇者ひょ!」
あっ今噛んだな魔王……大事なとこなのに……
「ちょっと待って!言い直させて!」
泣いて懇願されたよ。色々大丈夫かこの魔王……
「っていけないいけない、あ〜まぁ大事なとこだからないいよ、うん」
「ありがとう!じゃあ言うね。 ふっはっはっはっは!よく来たな!ひゅうしゃよ!……」
泣き目だよ……可愛いなこの魔王。よく見たら顔可愛いし、それでいて紫の髪がいいアクセントだしてるし、
背が小さいのが俺のロリコン魂に刺さってるし……
「急に黙らないで!もういい!特大魔法打つもん!『地獄の誘い』!」
「ちょっいきなり打つなよ!『アンチマジックソード』!……ふぅ、とりあえず階段降りてこい!話はそれからだろ、普通!」
「う〜わかったよ!…………ぐべ」
階段で転んだよこの魔王、ほんとに魔王?
「う〜……これでいいでしょ!さぁ、やるよ!」
「いやなんか俺もうやる気ないんだが……なんのために魔王倒しに来たのか忘れたし……なぁなんで俺魔王倒しに来たんだろな。仲間に裏切られるし、駆け落ちされるし、最初は良い奴かと思ったらクズ野郎だったし。国から補助金出るかと思ったらそもそも聖剣抜いただけなんだろ?とか言われて金貰えてないし、教会から認められないと金貰えないとかおかしいだろ!もう生きてる意味すらわかんないんだ……」
「えっと……せめて戦う前に今までの話聞かせてよ?」
「あぁ、俺はさ割と小さい街で生まれたんだよ。それでさガキの頃よく昔の勇者の話を聞かされたんだよ。俺の村は昔、勇者に助けてもらったんだそうだ。それでな俺も勇者のような弱き者を助けて人々の生活を脅かす魔物や魔族を倒す正義の人になりたいと思ったんだ。よくある話だよ。それで王都まで聖剣を引きに行った。そして聖剣を引いて勇者になったと思ったよ。けど現実は違った。教会が決めた勇者は既にいて、俺は聖剣を引いただけの偽物だって言われて補助金は貰えなかった。だから無一文で王都をでて、魔物を食って、野宿して、それでも道で出会った戦士は仲間になってくれてその後魔法使いが仲間になってくれた。けど戦士は次の街で助けた女の子と恋に落ちて……そのまま素敵な一夜を過ごしたみたいでな、そのままお幸せにって感じだったよ。次に僧侶、こいつは危ないところを救って貰ってな、凄い良い奴だったと思ったよ。けどそいつはたまたまいた自分のお気に入りの女に良いとこを見せたかっただけで、仲間に誘ったら弱い勇者に着いていく気はないのそもそも近寄るな言われるし、しかも近所の子供を殴ったり蹴ったりするところを見てしまうしで単なるクズ野郎だとわかったよ。
最後に魔法使い、こいつとは話が会うし、好みが一緒で仲が良かった。なのにさっきの戦いで敵の甘い言葉で簡単に裏切った。俺を殺せば一夜いい思いをさせてやる、と言われてな!正直これが一番のショックだった……」
「色々悲しい事があったんだね。あと気になるのはなんで私を殺そうと思っただね、そこを教えてよ」
魔王は心が開いたのか、それとも同情してくれたのか話し方が和らいでいた
「単に俺が勇者だからだよ。人々の生活を脅かす奴を倒さないといけないから……けど俺はもう魔王、お前のことを殺せやしない。だって俺の話を一回目はともかくちゃんと聞いてくれたんだ。そんな優しいお前を俺は殺せない」
「そっか……ならどうする?私に殺されるか、それとも私の配下になるか、それとも逃げ出すか、選択肢をあげよう」
ガタン! 扉が開く音がした
「魔王!殺しに来たぞ!俺たちが!って誰だ、その男は!」
教会に指定されてる勇者がタイミング悪く来た。許さん!
「タイミング悪いから出直してくれ『遠距離爆発』 『ハイパーウィング』 よしこれでおっけー」
俺は、遠距離爆発で壁をぶち壊して、ハイパーウィングで遠くまで飛ばした。
「俺は……お前に殺してもらうよ」
「いやいや、その前にツッコませて!?さっきの絶対教会に指定されてたやつだよね!なんで飛ばすのさ!?普通に考えて勇者の君が飛ばしちゃダメでしょ!?なんで!?なんで飛ばしたの!?」
「いや、単純にタイミングが悪かったから……選択肢選ぶ重要な時に入ってくるなんて明らかにおかしいでしょ」
「いやそうだけども!そうなんだけども!……はぁその選択に後悔は……」
「はぁはぁ……いきなりなんて酷いだろ!ともかく俺達が!魔王、お前を殺す!」
あ、扉閉めるの忘れてた……というか本当にタイミング悪いなこの勇者……って俺も一応勇者か
「はぁ、一回帰ってくれ、王都にな!『強制送還』!」
俺は強制送還で勇者御一行を王都に送った。もうこれで邪魔は来ないだろう
「あ、すまん。さっきのセリフもう1回頼む」
「…………もういっその事魔王軍入らない?」
何言ってんだろこの魔王……
「いやいやいや……入る気なんかないよ。せめて最後くらい勇者として死にたいんだ」
「そっか……なら戦おうか!」
遂に……俺の旅は終わりを迎える、最後くらいは楽しもうかな……
「じゃあ、いくよ!『ダークフィールド』『暗黒界』」
ダークフィールドでこの部屋一体が闇に包まれ暗黒界で闇魔法の威力を上げた
「『アンチマジックフィールド』『マジックキャンセル』!『ブレイブアタック』」
アンチマジックフィールドで闇を消し払い、暗黒界をマジックキャンセルで無くし、ブレイブアタックで魔王に攻撃する
「『闇圧力』」
「グハッ……『聖剣解放』!」
闇圧力を腹に直接受けたが耐え俺は聖剣の真の力を解放した。
「きて!ダークネス!」
魔王はそう叫ぶと手に鎌が握られていた。
「おい、魔法が主流じゃなかったのか?」
「残念だけど鎌の方が得意だよ!『材料変化』」
気づいたら魔王の鎌が何か柔らかい素材?に変わっていた。
「なんでもありかよ!『一閃』!」
一閃で斬れれば良かったと思ったが……
「そんなんじゃ届かないよ!」
柔らかい素材が何かわかった……単なる金属だ。ただ、魔力で覆われてる、つまり魔力で熱して溶かし、それを魔力で形を保っている状態って事だ。
「凄い魔力操作だな!『魔刃』!」
目の前での魔刃、守り切れるわけがない
「ぐっ……今のは効いたよぉ流石勇者だね。『闇風大車輪』」
「うおっ!?危ないな。だが、縦長なら避けられるんだよ!ついでだ、くらえ!『ホリーランス』×30!」
本来ならできないはずの重複魔法も聖剣の力があれば簡単なのだ
「残念だけど、全部届かないよ」
なっ!?全て吸収された!?まさか、あの状態の中に空間魔法で空間をつくり、触れたものをその空間に送って無力化しているのか!?そんなこと、あってたまるかよ……
「遊びは終わりだよ。私が魔王たる由縁見せてあげよう。「死者の鎌」」
俺は突然現れた鎌によって切られた。
「ははは、結局やられるのかよ。まぁ今までで一番……楽し……かっ……たよ……」
そして俺の目はゆっくりとじてい……かなかった!?
「残念だけど、私の守護霊となって働いて貰うよ。死者の鎌は切ったものを支配下におけるんだよね〜という訳でこれからよろしくね。貴方のせいで配下み〜んないなくなっちゃったし!」
はぁ〜これが俺の旅の結末か……まぁいいか
「へいへい、じゃあこれからよろしくな、魔王様」
この時の魔王はやがて倒されるが歴史書には災厄の魔王と書かれており、魔王の死に際に謎の男と手を繋ぎ
空へ上がって行ったと倒した勇者は言ったとされている。
「だってさ、直樹」
「へ〜そいかいな。まぁそんなロマンチックな話があったっていいだろいや」
「そうだね〜ってうわ!?……いててて……」
「全く、紗奈はドジだな〜相変わらず」
「しょうがないじゃん!けどまさか私達?というか私の最後がこうなっているんだなんてな〜驚きだよ」
「そうだな……まぁいいじゃんか、過去のことなんて」
「そうだね〜ってやばい!学校に遅刻するよ!」
「それはやばいな!?ほら、どうせお前コケるんだがら乗れ!」
「酷いね!?」
お終い
後書きちゃん「あっ他の作品でも私って出るんだ」
作者「多分自分が書く小説には全部出るよ。代役も」
代役ちゃん「そうなんです!?初めて知りました……」
作者「今言ったからね。仕方ない、仕方ない。という訳で他の作品もぜひ、読んでくだい!」