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君がいるから時は流れる  作者: 雨霧 雅
2/5

暴動

「君はどこにでも行けるのに物好きだね。」


ノアールは鳥にそっと手を差し出した。とても綺麗で自然と心惹かれ触れてみたいと思ったのだ。

鳥は部屋の中をぐるりと飛び回り、ノアールが差し出した手に乗ったのだった。


「僕はとても汚れている。触れているだけで君も汚してしまうかもしれない。

でも少しだけでいいから綺麗な君との時間をくれないかい。」


ノアールの喋り方は、まるで物語を読んでいるかのようにセリフ染みたものだった。

本の読み方は訪れていた教師が放つ暴言や暴力により強制的に読めるようになったが、

ノアールは他の人とまともに会話したことがなく、向けられる言葉は暴言か嫌味の混じったものばかりだったため、本の中からお気に入りの喋り方を真似するようにしていた。


鳥は言葉を理解したかのように肩まで移動しくつろぎ始めた。

ノアールは肩に乗る小さな鳥の温もりにこれまで感じたことのない感情を味わっていた。


「ありがとう・・君は小さいけれど暖かいんだね」


それから時々鳥が遊びに来るようになった。

ふらっと来て肩で少し休み帰っていくだけだが、鳥がくると空腹が和らぎ体の傷が少しだけ痛くなくなるような気がして、ノアールにとって大切な時間となっていた。


------------------------------------


一方その頃、故郷を奪われ連日人間に従属化されていく仲間達をみて多くの恨みが溜まり史上最強の魔王が生まれた。

魔族は怒り狂っておりまずは首輪を開発したアルペーン王国に復讐するため、侵略を始めた。


アルペーン王国は従属化させた奴隷を使いいつものように戦っていたが、魔王は戦いに敗れ死んでいったものも全てアンデットに変えることでどんどん勢力を増し膨大な数の兵を引き連れていた。

倒しても倒してもアンデットになり蘇って来るため、だんだんとアルペーン王国は戦に負けていくのだった。


他国はどうせアルペーン王国が勝つだろうと最初は傍観していたが、敗戦が続いている様子を見て急慌てて対策会議を始めたようだ。しかしみな自分のことしか考えておらず話し合いは進んでいない。

そんな中これ以上恨みを買わないよう首輪を廃止し奴隷を慌てて解放した国もあったが、開放した途端その家族であろう様々な種族が現れ暴れまわり滅びたようだ。

魔王の侵略を見てどの種族もこの機会に自分の仲間を取り返すべく動き始めており、対策ができないまま他の国でも戦が起きていた。


ついにアルペーン王国は8割を侵略され残すは王都だけとなってしまった。

アルペーン王国の者はみな高飛車で奴隷に酷い扱いをする事が当たり前となっていたため、これ以上恨みを買いたくない他国とっては亡命を受け入れたくはない。逃げる場所もなく溜め込んだ金銭を使いなんとか自分たちだけでも助かろうと必死にいろいろな道具や腕に自信のあるものを雇っていた。だが、みな奴隷を手放すという考えはないようで、更に魔族へのあたりが強くなった。

奴隷にされている者たちの恨みもどんどん膨らんで行きそれにより魔王の力もどんどん強くなる。


一人の者が言い放つ。


「王族が奴隷の首輪を配ったせいでこうなったんだ!!王族をを殺して魔王に差し出そう!

そうすれば我らは助けてもらえるかもしれない!」


皆喜んで首輪であらゆる種族を奴隷にしていたくせに自分たちのことは棚に上げて責任転換しているのだった。賛同した者たち集まり自分に都合がいいことを並べ正義を語り王城へと向かっていった。


------------------------------------


王族のもとに門番の男が報告にやって来る。


「王よ!既に国のほとんどが魔族の手に落ちており残すは王都のみとなりました。魔王は王都のすぐ傍まで迫っている状況でございます。


「なんだと!王都には大量の武器や道具を持った貴族や商人がいたな・・そいつらに首輪をつけて戦わせろ!武器や道具は取り上げてわしらを守ることを最優先にするのだ!!」


「王都の貴族や商人、平民などその大量の武器や道具をもって王城へと向かっております!」


「わしらを守るつもりじゃな。命令されなくとも動くとはな」


「恐れながら、王族のせいでこうなったのだから王族をを殺して魔王に魔王に差し出すと申しております・・。皆、王族を差し出すことで自分は助かると思っているようでございます。」


「なんじゃと!?」


「まぁ!なんてことなの!早く安全な場所へ行きましょう。」


「お母様、僕の奴隷は連れて行ってもいい?やっと従順になってきたんだ」


「もちろんよ、可愛い息子たち」


「塔に王族がいるだろうアイツを使え。何としてでもわしらが逃げる時間を稼ぐのだ!こんな時のために飼っていたのだから」


王は門番や残したいらない奴隷達にそう言い放つと王族とそれぞれがお気に入りの奴隷を連れて王城の秘密部屋と逃げていくのだった。その部屋にはこれまで集めたあらゆる武器や道具や食料が揃っており、道具による結界も施されているためこの国で一番安全な場所なのだ。


面白いと思ったらレビューいただけると嬉しいです!

のんびり更新していきますのでよろしくお願いいたします。

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