閑話 謎の会議04
「それで、佐藤さん、鈴木さん、M.Hさんと仲良くなってみて、どうでしたか?」
それは、彼に近づく方法を探るための大切な、実験を彼女たちに委ねていて、途中経過を聞いている時だった。
「はい、症状はかなり改善されまして、多少であれば思慕を持って彼と普通に会話することが可能になりました」
「おおっ! それはそれは良い結果ですね」
「いえ、しかし熱い気持ちを込め視線を送ると光輝き。愛の言葉を少しでも囁こうとすると心臓がバクバクするのは残念ながら変わりません。それは、鈴木さんも同じでしたよね」
「はい、私も~試してみたのですが無理でした~。その上にすっごく濡れてしまって~どっしょもなくなります~」
「あたしも耐えられなくって何度かトイレに駆け込んじゃいました」
「私も耐えられなくって~何度かやってしまいました~」
「がっ学校でか? それで出来たのか?」
二人は真っ赤になって頷く。
「そっそうか。済まないそこまでさせてしまって」
「いいえ、気持ちよかったのでよかったです」
「私もです~。スッキリしました~。でも、もっともっとって欲も出てきます~」
その言葉に周りの皆も色めき立つ。
そうか出来るのか。
それでもいい知らせだ。
皆ずっと寸止めの状態だからな。
色めき立つのも仕方ないか。
あたくしもM.Hさんと仲良くしてみたくなるわ。
「……う~む、進歩はあったみたいだが、この方法では告白とかは無理なのだろうか?」
先行きの行き詰まり感に周りはしんと静まり返る。
「わたくし、前回の会議からこの会議を拝見させていただきましたが。皆さん、タカ様、いえ、彼の事が好きでハーレムが有れば入りたい者の集まりで間違いありませんか?」
ふいに、頭の中に響くような声が聞こえ、あたくしたちの前に何の前兆もなく一人の少女が現れた。
「…………、お嬢さんどうやってここに入ってきたのかな? お姉ちゃんたち大切な話の途中だから外に出てもらえる?」
そう言って、先生が彼女の手を掴もうとしたが、透き通ってつかめない。
「……!?」
「何も聞かず。わたくしをここから追い出してもよいのですか? わたくしには問題点を解決できるかも知れない案が二つも有ると言うのに」
あたくしには、目の前で起こった不思議な現象よりも彼女の言葉が突き刺さった。
「あなたには解決案があると?」
「その前にわたくしの質問に答えてもらえるかしら。あなた方はタカ様、木戸貴志様を愛する者! ハーレムに入ってもかまわない者の集まりですか?」
あたくしは先生と目を一瞬見合わせ、そして、考えた。
確かに透き通る少女が突然真ん中に現れるといった怪現象には驚いたが。
考えてみれば昨今は吸血鬼が跋扈する事件が起こるくらいだ。
こういった超常的存在がいても不思議ではない。
そう自分に言い聞かせ、震え逃げたい衝動にかられながらも目前の彼女の質問に応えようとした。
するとすぐ心臓がバクバク言い始める。
「はい、我らは、木戸貴志君を、くっ、うぐぐ」
ああ、しっ死ぬ! 心臓が今にも破裂しそうだ!
「おい、谷津ヶ岳、無理をするな!」
「なるほど、よくよく精査しないと分からないほどの少量の神気に生気が反発作用を起こして自家中毒を起こしていますね。わたくしが神気を押えます」
彼女があたくしに手をかざし、淡い光が見えたとたんだった。
あたくしの心臓は普通の鼓動に戻っていた。
「はっ、楽になった。あたくしたちは、木戸貴志を愛する者の、あわよくばハーレムに入りたい集団です!」
いっ言えた。
今まで、思慕を込めれば、名前さえ、言葉に出すのはもちろん、書くことも許されなかったと言うのに、愛を宣言できるとは。
あたくしの、目からは涙があふれていました。
「言えた! 言えたんだ! あたくし」
「それは、よかったですね。わたくしは御条恵子。見ての通り幽霊です。ケイとお覚え下さい。以後お見知りおきを」
見事なカーテシーを決め“幽霊”彼女はそう言った。
しかし、そのはっきりと見える姿はとても幽霊とは思えない。
淡々と語るその姿は決して我々に親身に相談に乗る風には見えない。
しかし、だからこそそこに真実味を感じる。
「ケイさん、あなたはこの症状を治せるのですか?」
「いえ、わたくしではなく、今のタカ様なら治せると思います。あなた方の中にあるタカ様の神気を取り除くか、融合すれば治ります」
「その、彼の神気とやらは何かわからないが、彼の物ならあたくしは融合したい!」
「まだ、わたくしの独断で動いていますので、この先は、そうですね、タカ様が光り輝いて見える件などは特にタカ様に説明し許可をもらってからとなります。また、わたくしを見てもらえばわかるかと思いますが。普通の状況じゃ無くなります。危険も有ります。詳細を聞いたからには絶対に秘密を守らねばいけません」
あたくしたちには幽霊であるケイが天使に見えたのだった。
まあ、秘密を守る事にも自信がある。
出来て10年、今までこの被害者の会の存在が外部に漏れることなど無かったのだから。
「あたくしたちは必ず! 秘密を守ります」
「ではまず、あなたにお話ししましょう」
あたくしたちは隣の部屋に移動した。
「この話はとても危険です。それと他の皆さんにはタカ様の神気を受け入れるか確認してから、あなたの判断で伝えてください」
「はい」
「まずは、タカ様の神気があなた方に入っているのを説明しますわ」
そうです、そこが分からない。
「人は、恋愛を始めようとするとき、自分の気を、そう皆が持っている気を生気と呼びますが、それを相手に渡そうとし、相手が呼応した時だけお互いに受け入れ融合させます。生気をちゃんと交換できれば両想いとなります。タカ様も普通の方だったので、いいなと思った相手に自分の気を送った。ただ、彼は神気を持っていた。あなた方は神気をも受け入れたが、その神気が反発してしまって自分の生気をタカ様に送れなかった。それだけですわ」
「なるほど、で、神気は融合できなかったと? 生気を送れなかったあたくし達が振った形に近いと?」
「そうです。生気の方だけ融合し神気は扱えないので、そのまま残る事になってます。今のタカ様なら生気に難なく融合し生気に神気を調和できますが、その頃は力が無かったので仕方ありません」
受け入れてしまった気。
そう生気であれば融合同化して情愛になるなり、反発して嫌いになって追い出すなり、完全同化して忘れるなりできますが、神気だと何もできずそのまま残り続け恋のままです。
「あたくしたちが受け入れてしまっていたのですね」
「そうです。それから、現在のタカ様ですが……」
彼女の話は驚きとともに合点がいく話だった。
確かに危険だ。
あたくしは慎重に、一人ずつ確認を取りながら皆に伝える決意を固めた。
「タカ様の許可をいただきに帰ります。が、すぐに戻ってきますので待っていてください」
彼女はそう言うと、ふっと姿が見えなくなった。
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