0077.魔法の基礎を学ぶ
次の日、ミルスを迎えに行くと彼女は魔法の本を多数抱えていた。
同じ本も何冊か用意してあるみたいなので、俺も抱えるだけ抱えて一緒に転移する。
「沢山抱えてきてくれた所悪いんだけど。うちら、まだ字が読めるほどにはなってないねん」
と、皆を代表して美香が言う。
「じゃあ、文字の習得もかねて俺が読もう」
「私も読みますので交代でやりましょう」
「まずは初級魔法と書いてある本から、表紙はこんなやつだ」
本の中身は簡単な自然属性の魔法の使い方と解説だったので、俺には使えない魔法ばかりだ。
しかし、皆には有益だったので好評だった。
ふむ、なんか学校の先生になって授業でもしてるようで楽しいぞ。
まあ本を読んでるだけで俺も理解してる訳では無いのだが。
質問が有っても答えられない。
皆であーでもないこーでもないと新しい事を試していく。
ミルスも実はあまり知らなかった。
「本は有ったんだけど、聖水が作れればそれでいいかなと思って読んでなかったの」
照れるミルスも可愛いな。
そう言えば、こんなかわいい子たちが俺の周りにいて好意を示してくれてる。
まあ、魅了を使ったりしたとか、眷属にしたりとか、鬼畜な感じだし。
もう進路変更不可能だろう。
俺もうこのまま流れに任せて、現状を楽しんでしまおうかな?
何も考えず彼女達とムフフな世界へ!
そう考えると脳裏に彼女達のセクシーな姿が次々と思い浮かび、俺をめくるめく淫欲の世界にいざなう。
ああ。また欲望に支配され意識が保てない!
「タカ? どうしたの?」
ミルスがいち早くタカの異常に気付いた。
「あかん! 意識がとんどる! 何を考えたのか知らんけど? 淫欲で理性が飛ばされたようやな。ギンギンになっとうよ」
「タカから邪悪を感じるわ! こんなの良くないわ! ねえ、これはいったいどうすれば?」
「ミルス様、兄ちゃんをスッキリさせればいいニャ。アンに任せるニャ!」
「どうしたらいいか分からないけど私もやるわ!」
「ならアンと一緒にするニャ。ここをこうするニャ」
「えっ! そっそんな所を? 恥ずかしい……いえ、そんな事を言ってる場合じゃなさそうね。やるわ!」
「うちらもやるで!」
「まったくタカは仕方ないなぁ。僕に任せな」
「杏ちゃん、わっ私……」
「芽衣、無理しなくていいわ。私たちに任せて。そうね見ないほうがいいわ。あっちに行っていて」
「いえ、……私も逃げないわ」
「ガウ、わたくし達の出番はなさそうね」
「そうだビャ。でもケイの計画もこのぶんなら行けそうだビャ」
「そうね。うふふふ」
ケイは静かにその様子を見守り微笑むのだった。
「うっ!」
……あれ? 俺はいったい?
ああ、そうそうこのまま欲望に流されるかどうかだっけ?
いや、それは破滅フラグじゃないか?
いや、どうだろう?
と最近俺は色々な誘惑に負けそうでこんな事が頭の中で渦巻いているのだった。
俺も男だよ! そんなに無防備だとどこで暴走するか分かんないよ。
もう俺が下種な男なのは仕方ないと諦めてしまったのだ。
いかん、今は魔法の勉強に集中しなければ。
胸ばかりチラ見していてはいかん。
色即是空、空即是色、煩悩よ退散せよ。
ミルスが本を読み続けているので耳を傾けると。
「次は障壁や結界の魔法についてです」
ふむ、便利そうだな。
「次のような種類が有ります。魔法障壁、物理障壁、呪術結界、隠蔽結界、転移結界。まずは魔法結界からの説明です」
物理障壁なんか使えると良さそうだよね。
物理障壁で風を防げれば、吹雪も大丈夫なはず。
難し気な用語が続くので割愛するが。
結果これは自然属性を基準とした魔法書だったので、俺には使えそうも無かった。
アンなら使えると思うが。
俺が使っている隠蔽結界は聖属性と魔属性のハイブリッドなので、他の魔法もそんな感じで使えたらいいな。
魔属性や聖属性の誰かが使っている時に魔力の流れを見る事さえ出来れば真似できるのに。
「おっ出来た出来たで! ちっさい火から大っきい炎まで自由自在や!」
場所をダンジョンに移動して実践を伴った魔法勉強会の続きを行っている最中である。
俺は聖属性の魔法書が有ったのでそれを読んでいるが、聖属性に物理障壁が見つからない。
ふむ、転移魔法が載っているな。
ほほー原理が違う。
なになに、自らを光と化して探知先に移動する。
間に障害物があると転移不可。
なるほど光だからな、まっすぐ進むわけだな。
まてよ、ちょっと前のページに載っていた光反射の魔法を先に仕掛ける事で曲がって障害物をよければいいんじゃねーかな。
試してみる価値が有りそうだ。
まずは体の光化、そう難しくないな。
吸血鬼は体を変化させるのが得意だからな。
まあ、ほんとの吸血鬼は光にはなれそうもない気がするが。
なれば滅びそうで。
そして、反射の魔法を張って移動。
ドカアアン!
グラグラグラ。
反射魔法の展開が遅れて壁に衝突した。
声を上げる事も出来ず、痛みすら感じないほどばらばらになる。
しかし、得意の再生能力で少し時間がかかったが再生できた。
そりゃあ、魔法書には書いていないはずだな。
普通は失敗すれば死んでしまう。
「おいおい、凄い音がしたな、大丈夫なのか?」
「ああ、聖、新しい魔法に失敗したんだ。でも、もう大丈夫」
「大丈夫ってほんまか、凄く揺れたで」
「美香、それが、新しい転移の魔法を試していて、ほぼ光速であそこの壁に突っ込んでしまって、あはは」
「あははじゃないよお兄ちゃん! 光速で突っ込むなんて大丈夫なわけが無いでしょう! 頑丈なダンジョンの壁に穴が開いてるわよ!」
「うん、どうもすごく細かな粒子になるくらい粉砕されたみたいなんだが、再生出来たみたいだ」
「あきれた、再生力だな。物理の力でタカをどうこうするのは無理なんだな」
うん、魔力が枯渇するまで粉砕され続ければ分からないけどね。
出来るようになるまで訓練するとするか。
魔法書の光転移説明の最後に書いてある。
”尚、この呪文は大変危険であるため、ダンジョン内での修得を絶対とし、超短距離から練習し慣れてから長距離を移動すべし”
なるほど、説明は最後まで読まないといけないね。
自然属性にも電化することによる転移方法があるみたいで、アンとケイ、ガウがすぐ出来るようになった。
電化は光化より少しだけ遅いみたいなんだが人間に知覚できるほどの差はない。
しかし、方向転換や減速は光よりかなり簡単らしかった。
俺も自然属性使いたいよ。
自然属性なので皆も鍛えて行けば出来るようになるんだろうなあ。
ほぼ不可視だが双方とも光るので完全不可視とはいかない。
今度は短距離からじっくり練習し反射の魔法もタイミングをしっかりつかんだ。
そのかいあって第二層の突破に1秒もかからなくなったんだ。
第一層から第三層出口まで行っても数秒だ。
アン達は少しだけ遅れて到着する。
なんでも減速しないと曲がれないそうだ。
だが、第四層は違った。
吹き荒れる雪のせいで俺は転移できない。
仕方ないのでアンの転移で一緒に移動して最初に遭難しかけた場所までなら行き帰り出来る事を確認した。
でも、まあ、これなら第四層も越えることが出来るだろう。
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