0073.封印されし記憶 1
「ほお、この三人も中々強いな。くふふっ。人虎の娘、俺と腕試ししないか」
「アンはアンニャ」
「あの~、そう言うの止めてもらえますか」
「ふふふ、悪い悪い。マリー皆、邪悪では無いな。特にそこの白黒」
「ガウですビャ」
「ガウかな。元小悪魔と言ったが、今はなんか半分天使だよな」
「そうなし。あちしも安堵したなし」
「なら、調査任務終了。あちらの魔獣狩りに戻ろうぜ!」
「もう、シンディはんときたら。まあ、裏もとれましたし帰りますなしか。タカはん。フレッドは賢者だったなし。記憶の封印が解ければいろいろ便利かもなし。まあ頑張りなし」
「おっと! 忘れる所だった。これを、タカに渡しておこう。蒼天の剣パーティ紋章だ。俺達蒼天の剣の審査に合格した証になる。これを見せれば大抵の所では、何の根拠もなしに疑われたりしないよ」
俺は四角い金属プレートを受け取った。
「ありがとうございます」
「プレートに魔力を流しておけ。そうそう、協力ありがとう! ではまたな」
そう言うと彼女らは、即去っていった。
かっこいいな。
「あの二人はたぶん、現在人類最強ビャ。逆らわないのは正解だったビャ」
二人とも若いのに凄いな!
そう言えばフレッドの記憶が俺の中に有るんだっけ。
どれどれ。
おっこれか! 確かに一部封印が解けかけてるな。
これなら俺にでも解けるかもしれない。
ふむ、こうかな? おおっ! 少しだけ解けてきたな。
「おい、お前ら! ブラドの森に見つかった洞窟を調査するんだってのは止めときな! もっと上の階級に任せるんだ! あそこは胡散臭い。この依頼は少し変だ! 中堅をちょっと脱した位のお前らには手に負えない場合があると言っているだろ!」
おや、最初に思い浮かぶ顔はシンディさんだ。
何か怒っているな。
「でも私達、依頼をもう、受けてしまって」
誰だこいつ?
「まあまあ、ふたりとも、もう協会で決まったことなんだから替えられないんだよ」
おっ、この声。
こいつはフレッドじゃないか。
あっそうか。
フレッドの記憶なんだから、フレッドは見えないよな。
「だがな!」
「もうおよしなし、シンディはん。彼らも立派な協会所属のパーティなし。忠告はしたなし。後は彼らの責任なし」
「くっ、お前ら死なずに帰って来いよ!」
「シンディさん、マリーさんありがとうございます。しっかり調査してまいります!」
そう言って彼らは三人で調査に向かった。
フレッドの記憶によると、彼らは勇者協会の勇者イムス、賢者フレッド、聖巫女メリッサの3人で”漆黒の槍”と言うパーティを組んでいるようだ。
シンディ達はマリーの予見でこの任務は想定外に危険かもと出たので止めに来ていたようだった。
つまり、実力階級に見合わない依頼だと言っているのだ。
しかし、協会が吟味し出した依頼を一度受けたら依頼は断るのが難しいらしく、危険程度の予見では覆らない。
そうフレッド達は考えていたようだ。
勇者協会の依頼はすべからず危険で当たり前。
皆その危険を退けて依頼をこなすのだ。
だからこそ協会は尊敬され慕われるのだ。
ブラドの森はアンデッドが多いので有名だからこの森ではメリッサとフレッドが大活躍する。
勇者と賢者や聖巫女では一度に倒せる数が違う。
「聖光」
メリッサの強力な魔法で次々とアンデッドは消えていく、残りの魔獣をイムスが受け持ち。
交代でフレッドが聖光を打つ、そんな感じで余裕をもってブラドの森を攻略していくのだった。
「ふう、ひと段落付いたかな? 大分来たよな? そろそろ報告の場所も近いんだが」
「そうだね、邪気が強すぎて探知しづらいけどやって見るよ」
「頼む、フレッド」
フレッドは探知が得意な賢者。
「あっちの方向にそれらしい洞窟の入り口が有るよ。奥は、う~ん。かなり深い。全容は分からないな」
「なあ、ちょっと聞いてみるんだけど、フレッドはどの位まで賢者やるつもりなんだい」
「後30年は頑張って、60歳になるくらいで止めて故郷に錦を飾ろうかと。70歳くらいまでに結婚できるといいな」
「そうだな、我々は中々老けはしないけど、危険だからなあ。大体皆50から80歳くらいで止めて故郷に帰るよな。主力格はいつまでも若いし強いから500年以上現役を続ける人もいるらしいけど。俺も、ふむ60歳くらいで引退か、そうしようかな。メリッサは?」
「そうねえ、私は帰る所も無いし、協会で受付でもしようかしら?」
「そうか、メリッサは孤児院出身だったな。すまん」
「いいのよ、町で暴れた悪魔が悪いんだから。もっと強くなって悪魔なんかすべて滅してやる。ふっふっふっふ」
なんか怖い子だなメリッサ。
暗く妖艶に哂うメリッサに男二人も引いてるよ。
てか、老けないってマジかよ……。
まさか、俺全く老けないとか無いよね。
寿命なんてないとかないよね。
あかん怖くなってきた。
「大丈夫ですタカ様、わたくしとガウはいつまでもお供いたします」
なるほど、そう言う意味か。
人虎のアンも長生きそうだよな。
一人じゃないならさみしくはない。きっとな。
「ここが、例の洞窟か? 何の変哲もないな」
「報告では中はアンデッドだらけだったそうよ。発見したパーティ倒せるメンバーが聖人一人だったので入ってすぐに逃げたらしいわ」
「それは正解ですね。中はゾンビの巣ですよ。先ほどまで出てたスケルトンやウィルオウィスプの比じゃない危険度だ」
「ま、その位なら私たちの敵じゃないよね」
「だな。しかし、他にも何かいるかもしれない。気を付けていくぞ!」
「了解」
「分かったわ」
「ねえ、さっきからタカが全然反応しなくなったんだけど。どうなってるのか分かる?」
「ミルス様。タカ様は先ほどマリーさんが言われていたフレッドの記憶封印を解き始めたようです」
「なかなか強固な封印ビャ、タカ殿も開封に全力を傾けているのビャ。これじゃあ周りに反応する余裕も無いビャ」
「にいちゃんは頑張ってるニャ」
「ふうん、速く終わらないかしら」
「ここにいても誰かが来たら困りますので、わたくしたちはダンジョンに行きます」
「タカが開封終わったら。私もそちらに行きたいわ」
「分かったビャ。伝えるビャ」
「では行きます」
ケイ達三人はタカを連れて、ダンジョンに転移していった。
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