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0070.口は災いの元

「おい! 聖。学校でハーレムはないだろう。あの場ではあいつらをけむに巻いてやったが、明日には噂が広がってるぞ!」


 冬二とショウを何とか誤魔化して帰ってきたが、学校であれほど騒いだんだ。

 噂にならないはずはない。


 のほほんと当人が家に来ていたので問い詰めてやる。


「またそんな大げさな! 家のお父様だって沢山妾が居るからハーレムみたいなもんだし、僕には知らない兄妹が居る位、沢山いるぞ。そんな大した事でもないだろう?」


 きっとそれは、優秀な陰陽師を生み出すための種馬みたいな物じゃないだろうか? 

 とても限定的で特殊な世界だよ。


「そんな事はないぞ! 世間一般的にはハーレムなんて極悪でしかないぞ。ひどい噂が立つかもしれん。それを苦に俺が自殺でもしたらどうしてくれる!」

「そんな事はわたくしが許しません。タカ様を責める者はわたくしが取り殺してごらんに入れます。まずは手始めにこの女からどうでしょうか?」


 そう言ってケイが聖を睨んだ。


「ひええ、タカが自殺なんて、そんな弱くはないよね? ね? ケイさん、そんな事しないよね! ね!」


 聖の顔は恐怖に引きつりながらも無理やりなスマイルを浮かべている。


「そんな噂が広まったら、うちらも気軽にここには来れんくなるやろ。なんでそんなこと言ったんや?」


 いつもとは違う厳し目の口調でぎろりと睨み美香が聖を攻める。


「聖さんって口が軽いんですね!」


 いつもはほんわかな芽衣も厳しい。


「お兄ちゃんの敵は私の敵だぞ!」


 おおっ! 妹まで。


「では、聖さんお覚悟を」


 ケイが! 無慈悲にも生気吸収を発動しかけてる。

 いかん、これはちょっとシャレにならない。


「しええ! 許してください! 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


 ぷっ、陰陽師が南無阿弥陀仏って! くっくく、吹き出してしまいそうだ。


 これ以上聖を追い詰める事もないだろう。

 反省しただろうし。

 反省したよねきっと! いや聖の事だから分からないか。


「待った! もういいよ。どの位、噂になるかは分からないけど。聖も反省したよな?」

「はい、反省ちました。許ひてくらしゃい!」


 半泣きになってる。

 まあ、確かにケイは怖いだろう。

 いつの間にか、アンとガウが聖の後ろに回ってるし。


 チームワーク良いな。


 いくら聖でも絶対逃げられない。

 式神など蹴散らかされる。

 ちょっとやり過ぎたかも知れないが、ケイはどこまで本気なのだろうか?


「タカ様がそうおっしゃるなら。聖さん、命拾いいたしましたね。わたくしは、タカ様に仇なす者をたとえ友達でも親族でも決して許しません。覚えておいてください」

「はい、もうしません!」


 ケイが参戦したことで、かなりきついお仕置きになってしまったが、責めたところで性格は変わらないだろう。


 少しでも気を付けるようになってくれればよいな。


 ただ、気を付けるに越したことはない。

 今日から俺が転移で送り迎えする事にしよう。

 そうだ! 迎えに行く時間など都合を知るための連絡を取るためには、皆のスマホの番号を交換しなければな。


 実は今まで噂になってない方が奇跡だったのかもしれない。

 夕食時、母さんにそのことを聞いてみると。


「ああ、そのことね。実は噂になりかけたことが有ったのよ、私じゃあ何を言っても逆効果にしかなりそうになかったので、どうしようかと思っていたら。はす向かいの荒瀬の奥さんが、“あそこは妹さんがいるのだから、女性が集まっても不思議はないんじゃあないですか? 大袈裟ですよ。大袈裟(失笑)”と言って火消しをしてくださったのよ」


 との事だった。


 怖え! マジ近所の方々怖えよ!

 はす向かいの奥さんを軽く魅了した過去の俺グッジョブ。


「明日からはわたくしが、タカ様に憑いていきます。妹君の警護はガウあなたに任せます」

「分かったビャ。しっかり守るビャ」

「アン暇ニャ。何かしたいニャ」

「アンちゃん、もうちょっと待ってね。中学校への編入手続きがもう少しで終わるから」

「やったニャ! キョウちゃんと一緒に通えるニャ!」


「それとこれ、遅くなったけど耳を隠せる簡単には取れないヘアバンドと、尻尾を隠せるスカート。これを着けたら外を歩けるわよ」

「お母ちゃん、ありがとうニャ」


 ふう、良かった。

 アンはずっと家で留守番だったので、気になってはいたんだ。

 それも多少は解決しそうで何より。


「アンちゃん、それならうちと一緒に。時々大学に行こうや」

「アンも行っていいニャ?」

「ああ、大学はいろんな奴が出入りしとるさかい問題ないで」

「やったーニャ!」

「じゃあ、さっそく明日一緒に行こうな!」


 アンと約束を取り付けてほくほく顔の美香だった。


 翌日、学校の傍まで来ると、あちらこちらから俺の噂が聞こえてくる。


「(木戸君ってハーレム作ってるって噂を聞いたわよ)」

「(うん、私も聞いたわ)」

「(木戸の野郎調子に乗りやがって何がハーレムだ!)」

「(なら、お前直接文句言って来いよ)」

「(いや、あいつは危ない!ハッキリ言って怖い。表立って敵対すべきじゃない)」

「(なら言うなよ)」

「(木戸君って、噂ないから男の子好きなのかと思ってたよ)」

「(そうよね、私も思ってた。でもノーマルなら私も……(ハーレムに入れてくれるかしら?)って冗談よ冗談)」


 離れたところで小声で噂しているのが、耳がいいせいで聞こえてくる。

 噂広まるの早いな!


 しかし、ホモだと思われてるとか、嘘だと言ってよ。

 そんな様子をケイが忙しそうに見て回っている。


「この方5点とこの方6点これなら候補に入れても良さそうですね。悪口を言ってるのはこの方」


 ケイが謎のメモ帳にチェックをしている。


 何の点数だ? 頼むから取り殺したりしないでくれよ。

 そんな事をしたらケイが悪霊になってしまう。


「大丈夫ですよ、タカ様。ほぼ何もしません。もし目に余るような方が居たら……すこーし、ポルターガイストでも起こして懲らしめるかもしれません」


 それもどうなんだろう。

 トラウマになるぞ?


 学校に着くと噂はさらに多くなってくる。

 ケイは飛び回って色々メモをして回っている。


 俺は聖徳太子じゃないので所々しか分からないが、ハーレム言ってる人は多そうだ。


 教室に着くと、クラスの女性のリーダー格で中々に美人な佐藤さんが声を掛けてきた。


「木戸君おはよう」

「おはよう佐藤さん」

「(木戸君は、ハーレム要員募集中だと、まことしやかに噂が流れているんだが、本当かい?)」

「(いや、そんな事実はありません。モテない俺にハーレムなんて! 有るわけないじゃないですか)」

「ふむそうか、皆にはそう伝えよう。(残念だな)」


 残念って、そんなに皆で俺をつるし上げたかったのか?




 残念なタカは、学校内に一大ハーレムを作る機会を失うのだった。

 だがケイがいろいろと画策しているのでいつかまた、このムーブメントが来るのかもしれない。

 ちなみにタカは、後ろから殴られても、刺されても、トラックにひかれてバラバラになっても平気だ。

 ちっ、この野郎。

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