0068.劣悪魔との戦い
「ガウ、タカ様が向かった人型劣悪魔はやばいわ。出来るだけ早く倒してお助けしなければ」
「人型は劣悪魔の割には強い奴ビャ。急ぐビャ!」
「二手に分かれ挟み撃ちにしましょう」
「分かったビャ」
むうっ、この鳥型劣化悪魔とやらは素早い!
簡単には捉えられない。
やっと近づき焼失魔法を放つも避けられ、くちばしから炎の球を飛ばしてくる。
あのくらい食らっても大したことはありませんが、タカ様から魔力を余分に頂くことになる。
今タカ様の負担は増やしたくはありません。
しかし、いつもより回避に気取られ、攻撃も精度が出ない。
くっ、急がねばならないのに二人掛かりで苦戦するなんて。
ガウの悪魔砲とやらは、出力を絞って連射することで当たってはいるが、与えるダメージは少ない。
このままでも倒せるとは思うが早く倒したい。
こいつが素早いのがいけない。
どうにかできないものかしら?
『ガウ、相談があるのですが、……は出来ると思いますか?』
『試してみないと解らないビャ。これからテストするビャ』
わたくし達は互いの魔力を同調させつつ、鳥型劣悪魔を追いかけるのでした。
アンは猿型劣悪魔と闘い始めたニャ。
こいつはなかなかやるニャ!
アンの攻撃が当たらないニャ。
もちろん、アンには掠らせもしないニャ。
アンは前への攻撃は得意だけど、猿型は右へ左へとアンを翻弄するニャ。
時々風の魔法で切り裂いてくるので気が抜けないニャ。
当たりさえすれば大ダメージを入れれそうなのに難しいニャ。
でも、ダンジョンでは出来ない、いい訓練になるニャ。
右左右右避ける猿の癖も見えて来て段々猿の動きにもなれて来たニャ。
そこニャっ! 今、アンの蹴りがかすったニャどんどん行くニャ。
「ニャニャニャニャー」
パンチの連打がやっとかすり始めたニャ。
少しずつダメージを与えてるが、これじゃあ倒せないニャ。
そこでアンは思い出したニャ。
地下街での蝙蝠との戦いを!
そう、焼失魔法を体に纏わせるニャ。
焼失の炎を纏った攻撃がかする度、猿の動きが悪くなっていくニャ。
「キッキキー!」
猿はたまらなくなって距離をとったニャ。
それ! 逃げる先に焼失魔法を発生させると、避ける事も出来ずに突っ込み右腕が焼失したニャ。
「キキー!」
驚いて動きの止まった猿の腹に蹴りがまともに入り突き抜けたニャ。
「キッキッキ」
焼失の炎は燃え盛り猿を包んでいったニャ。
「キ! キーー~」
猿型劣悪魔は鳴きながら消えていったニャ。
ポキは、ケイと魔力を同調させ増幅していくビャ。
しかし、鳥型は素早すぎて魔法が発動できる位置に中々入らないビャ。
猿型の劣悪魔が消滅していくのを感じるビャ。
流石はアン! 人虎なのは伊達じゃないビャ。
格闘戦で人虎に勝つには相当な魔力差がないと無理ビャ。
それは、タカ殿も同じビャ。
タカ殿は少々では負けることはないビャ。
比稀な種族特性で非常に負けにくいビャ。
でもあの人型劣悪魔は、劣悪魔の中では最強に近い実力を持つビャ。
万が一が有るかもしれないビャ。
ポキは今まで焦るなんて感情は持ち合わせていなかったビャ。
初めて焦る経験をさせてもらうビャ。
「遠雷」
アンが放った魔法が、鳥型の鼻先を掠めたビャ。
鳥型は驚きスピードが落ちていい位置に入ったビャ。
その隙に!
『転移』
をケイと二人で発動し間に居る鳥型を転移に巻き込んだビャ。
ケイとポキの転移方法は原理から違うビャ。
普通は同調連携などできないビャ。
だが、特異なタカ殿の眷属で有る我らには、それが可能だった。
先ほどまでのテストで確認できたビャ。
行先は洞窟そう狭い洞窟ビャ。
ここでは、こいつがいかに素早くても悪魔砲を避ける事は出来ないビャ。
ポキが悪魔砲の溜めに入ったのを見て、ケイはタカ殿の所へ転移していく。
そう、これを最大で撃つと、ケイも巻き込むかもしれないビャ。
では死ね!
激しい光を出して悪魔砲がさく裂したビャ。
むろんそこには劣悪魔など影も形も残ってはいないビャ。
ある程度接近したところで俺は遠雷の魔法を放つ。
しかし、溜めが少し長いせいか軽くかわされた。
遠雷は魔力使用量が大きいので、魔力がグッと減った気がする。
失敗したなあ。
こちらが飛べないと見て、奴は高く上昇し上から魔法を俺に向かって降り注ぐ。
俺は仕方なく蝙蝠に姿を変え舞い上がりながら、超音波カッターを連射するのだった。
おおーダンジョンで飛ぶのと違って大空へ舞い上がるの楽しい!
あちこちが痛くなければ最高なんだが。
「なんだと! 貴様吸血蝙蝠なのか? 吸血鬼がなぜ我々の邪魔をするのか?」
”うるせー、俺は吸血蝙蝠なんかじゃない”
「吸血蝙蝠でないお前は何者なんだ?」
”それは、俺が教えてほしいわー”
「真面目に答えろ! 悪魔たる我が聞いているんだぞ」
さらに攻撃が激しくなり。
体に無数の穴が開き治っていく。
”分かんねーっていってるだろ! 痛いぞ、この劣悪魔!”
焼失魔法と聖光漸の射程に入ったので、聖光漸を飛ばすが、当たってもほとんどダメージが入った様子がない。
それならと焼失魔法をあちこちにセットするが。
かすった所で避けられてしまう。
かすった位ではダメージがあまり入らない。
「我は悪魔だ! 劣悪魔ではない。聖魔法を操る不気味で不遜な蝙蝠め!」
焼失魔法は魔力差が有る程度以上開いて魔法耐性の高い奴にはとたん効きが悪くなるな。
超音波カッターでも小さい傷しか入れられない。
「なぜだ? 確かに吸血鬼は強い。だがその強さは強烈な弱点が有るからこその強さのはずだ。貴様なぜその程度の魔力量位で日中に我と外で戦闘できるのだ? なぜ滅ばないのだ? 貴様の存在は理不尽だ。存在自体が許されざるものだ!」
劣悪魔は翼を翻し逃げようとする。
だが俺の方が速い!
逃げられるものか。
“遠雷”
俺の前に魔力が圧縮され輝き始め限度に達したとき、高熱の熱線が放たれ劣悪魔を貫いた。
ここまで近寄れば避けられまい! って遠距離攻撃の意味があまりない攻撃だなあおい。
「お前が生きたいのも分かるが、人には害でしかない存在だ。すまないが死んでくれ」
俺は人の姿に戻り、遠雷を食らい落ちてくる劣悪魔を羽交い絞めにして捕まえた。
「何をするつもりだ? 放せ! 我は悪魔ぞ! こんなことで滅びてたまるか! もっと! もっと人を殺し楽しむのだ。だから放せ! このくそ蝙蝠が!」
「生気吸収」
「がっ! がが! 放せ! 放せ」
バチバチッと奴の魔力が生気吸収に抵抗を行うも、レジスト出来ず俺に吸われていく。
「我が消える? 吸われて消える! だと~、そんな事があるわけ……あるはずが…………」
そんな言葉を残し、劣悪魔は消えていった。
体が熱くなり煙が今まで見たこともない程出ている。
ああ、こいつ強かったんだな。
よく勝てたな俺。
気絶しそうな中、体を何とか霧水化することに成功した。
何故かって? 落ちた時のダメージが最も少ない気がするからだよ。
次回更新は月曜日になります、よろしくお願いいたします。
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