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0067.司教は斯く戦えり

「聖女様! 私は今までゲブンに操られ、あなた様にとんでもない無礼を働いておりました。平にご容赦を!」


 と食事をテーブルに置き泣き崩れたのであった。


 これは一体! どうしよう?


「私は、ゲブンに操られるまま、あなた様にこの腕輪で使える呪いを毎食運ぶたびに掛けてしまっていました。その為聖水は作られず多方面において私は迷惑を掛けてしまったのです。聖女様、私をお許しください」


 え~っと? こういう場合は。


「エルザ、あなたを許しましょう。神はあなたの味方です」

「ありがとうございます、聖女様。失礼いたします」


 彼女は少し落ち着くと部屋を出て行った。

 聖水を作り、食事も済ませ、まったりしていると。


「ミルス様、裁定者方が到着され、私たちに教会へ来るようにとのことです」


 来ましたね。


「分かりました、準備いたします」


 聖女を示す髪留めを着け、身なりを整えてから、アルバ達と教会へと向かった。

 教会では、裁定者の方々と、賢者様が一人待ち構えていて、私達の到着待ちだったようだ。

 私たちが用意されている椅子に座ると、真ん中に座られている裁定長が口を開いた。


「では、これから裁定の儀を始めます。今回の裁定は、なぜ聖水ではなく水が各地に届いたのか、またその責任は誰にあるかを裁定することに有ります。聖水が水であったことで少なからず被害が出ている。許されざる事だ! 皆は嘘偽りなく申せ。まずは、司教カルロ殿。この件に関しての責任者として調査報告を、どうぞ」


「そこなる、聖女ミルスが聖水作りを怠ったのだ。サインが入っているので聖北騎士団が中身の確認もせず、発送したからだ。わしは彼らを信用していたので、裏切られた気分だ。聖水を確認していただければわかる事だ」


「では、聖女と聖北騎士団が悪いと?」

「そうだ、わしは騙されたのだ」


 いけしゃあしゃあとまたよく言うわ。

 主犯のくせに。


「ふむ、それでは、助祭トーラ殿。何か補足はありますか?」

「はい、我々のほとんどは昨日晩まで司書ゲブンに隷属の呪いを掛けら」

「まった、何をとち狂った事を申しておるのじゃ、こやつの言う事は」


「黙れ! 司教カルロ! 今は、裁定中である! 助祭トーラ殿続きを」

「はい、司教カルロは聖女ミルス様を自分の妾にする為に司書ゲブンと共謀し聖女ミルスを貶めようと画策。我を含む協会の要職者を隷属化しました。聖女ミルスの食事を運ぶ司祭エルザにも隷属の呪いを掛けて、記憶改変の呪いで聖女に聖水を作ったと誤認させることで、聖水を作らせなかったのです。聖北騎士団の皆にも似た呪いを掛け、間違いを誘発させました」


「嘘だっ!、そんなっ事はない! 誰かこの痴れ者をつまみ出せ!」


 流石はタカだ。

 隷属がちゃんと解けてる。


「では、その司書ゲブンと司祭エルザを連れてまいれ」

「ああ、裁定長、それが本当なら司書の方。そいつは人魔である可能性が高いので俺も一緒に行くわ」

「では、賢者サリウスよろしく頼む」

「はいはーい任しといてー、じゃあ、一緒に行こうか」


 賢者様は騎士二人と共にゲブン達を連れに行った。


「(こんなバカな! 何でこうなったんだ?)」


 司教は頭を抱えてぶつぶつ言っている。

 少し待つと、縛られ、魔封の首輪を付けられたゲブンを連れて賢者様が帰って来た。


 魔封の首輪を付けられると首輪が有効な一定期間魔法が使えなくなる。

 だが、あまり魔力が大きい者には使えない。

 便利なようで今一つの魔道具だっけ。


「裁定長。こいつがゲブンで人魔に違いないわ」

「くそっ、離せ! 何をする!」


 その後に付いてエルザが入って来た。


「これが、呪いの腕輪です。ご確認ください」


 エルザが腕輪を裁定長に差し出す。


「ふむ、間違いないなこれは人魔がよく作る呪いの魔道具だ。ここまで出張ってきたが、これ以上聞くこともないな。容疑者カルロとゲブンを引き立てろ。本院で調べ上げる」

「ははっ」

「止めてくれ! 嘘だ! そんなはずはないんだ。昨日までは何もなかったのにー!」


 カルロ司教が取り押さえられ、縛られ、魔封の首輪を首に掛けられた。


 それまで、ぐったりとしていたゲブンが突然、大きな声で叫んだ。


「バオン様! このゲブンめにお助けを」

「むっ、ゲブン。バオンとは誰だ?」


 賢者サリウスはゲブンに詰め寄る。


「バオン様は悪魔でいらっしゃる。ワシを強くしてくれたのじゃ!」

「お前、自ら堕ちて人魔になったんじゃ。ちっ、まずいな悪魔が関わっているとなると、勇者協会主力でないと抑える事も出来んぞ」


「はっはっは、脅えるが良い。バオン様はすぐそこまで来られているぞ! わっはっはっは」

「わしは悪魔など聞いておらんぞ? ゲブン騙しおったな!」


 あれっ? タカたちは劣悪魔って言ってなかったっけ。

 でも、ここで訂正するわけにもいかないわね、変に勘繰られてしまう。


「すぐに勇者協会に連絡を!」

「分かったサリウス。応援が来るまで頼めるか?」

「相手が悪魔だと手に余るが、これでも勇者協会に選ばれし賢者だ。やれるところまでやってやる。なに主力は足も速い。すぐやって来るさ。(近くに何人かいらっしゃればだがな)」


「この二人を牢へ連れていけ」

「はっ! こっちにこい!」

「いやだー! わしは何も知らなんだんだー! ほんとーなんだー!」

「くっくっく。どうせお前らは誰も助からん。くっくっくっく。ワシだけは助かるのだよ。わっはっはっはっはっは」

「うるさい! こいつらを早く連れていけ」


「おい、おとなしくしろっ!」

「ぐわー、止めろ! 離せ~! わしは司教ぞ! やめろーやめてくれーわああ~!」


 司教は力の限り暴れるが、魔力を封じられた、ただの運動不足デブジジイに何が出来るわけでもなく引きずられていく。

 そう、ああ見えてあの司教にも司教にふさわしい魔力だけはあったのだ。

 だが封じられてしまえばなんてこともない。


「わっはっはっはっはっはっは~~」


 ゲブンは引きずられながらもドヤ顔の笑いは止まらなかった。


「賢者様。私達聖北騎士団もお供します」

「わかった。すまないが一緒に行こう」


 サリウス様と我ら聖北騎士団は外に向かって走り出した。


 裁定者の騎士は容疑者のゲブンが居たりする為、裁定者の護衛任務を優先させ居残りだ。


「ミルス殿。これから周囲の探索する。俺に聖北騎士団をお貸しください」

「はい、分かりました。アルバ。賢者様に従い探索隊の班分けを」

「はい、ミルス様」


 私たちが班分けを行っていると。


 ドオオンンー!


「な、なんだ? どこでなにが爆発した?」


 遠くから戦闘音が轟く。

 ああ、もしかしてタカ達と劣化悪魔達と遭遇戦闘が始まったのかしら?


 タカ無事に帰ってきて。

 こちらは狙い通りうまくいったよ。

 私は静かに神への祈りをささげる。





 遠くに黒に近いおどろおどろしい紫色のいかにも悪魔的な風体の奴らが3体程見えてきた。

 羽のある人型、鳥型、猿型とバラエティーに富んだ連中がニヤニヤしながら山の頂上の少し下あたりにたむろしている。


 奴らは近づく俺達を発見し、即、火力の高そうな攻撃魔法を打ち込んできた。


 相当大きな音を立て辺り一面吹き飛んだ。


 直撃は避けたが、体中ボロボロになったぞ! 

 すぐに再生が始まったので俺達も反撃にでる。


 敵もこちらが無事と見るや散開した。


「ケイとガウは鳥形を、アンは猿型を、やれるか?」

「お任せ下さい」

「やるビャ」

「アンにお任せニャ」

「人型は俺がやる!」


「グワォオオーー!」


 アンは猛々しく吠え人虎化し、猿型に向かっていく。

 俺は黒い翼をもつ人型に向かって駆け出した。


 ズビー! ズビー!


 人型の劣悪魔は熱線魔法を俺に打ち込みつつ、空へと舞い上がっていく。


 そんな攻撃を俺は避けられる筈もなく、何とか頭や心臓への直撃を避けて食らいながらも、お互いが接近していく。

次回更新は金曜日になります、よろしくお願いいたします。

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