0063.教会の事情
「[私を魅了した事実は消えませんので、……責任はとってね]」
「うちも、おねがいや」
と、美香はミルスの尻馬に乗って責任とれと俺をいじってくる。
「私にもです」
と、芽衣も美香にすかさず追随した。
「妹にでも、取れるよね」
いや、取れないって!
妹とは無理です。
「ぐぬぬ」
とは、聖。
なぜか、好きな相手でも責任取れと言われると引いてしまうわー。
男なら当然だよね! この年で責任が重すぎる。
そう責任が重すぎるから引いてしまうのだ!
決して遊びたいからじゃあないのだ! と思う。
いや、これが修羅場と言う奴なのか? 重すぎる。
「そうだ、あちらはどうなっているかな?」
「あっ、お兄ちゃん逃げた!」
『ケイどんな様子だ?』
『こちらは、問題ありません。責任なんか関係ありません。どこまでも憑いて行きます』
あれっ? しかし、回り込まれてしまった。
『ガウはどうだ?』
『何も変化ないビャ、ガウも離れませんビャ』
なんでわかるの君たち。
「アンもずうっと一緒だニャ」
離れたところにいる二人まで。
君たちどうやってコミュニケーションをとったの。
「うふふふ」
女は不思議だ。
まあガウは無性だけど。
「ねえ、ミルス。私たちで言葉の勉強しましょう」
「[アンも付き合うニャ]」
「[そうですね、皆さまとはお話をする必要がありそうですし]」
アンもいるし、仲良くやれそうだから、まあ、こっちはこれでいいだろう。
「俺は、教会側に探りを入れてくるから」
「行ってらっしゃい」
俺はミルスの部屋に転移する。
「お帰りなさいませ、タカ様。先ほどおばさんが、昼食を提げに来た所です。食事はガウに飲み込んでもらいました」
なるほど食べるんじゃなくて飲み込んだのか。
「俺は教会に忍び込んでくるので、後を任せた」
「はい、お気を付けて」
俺は教会と聖北騎士団本部の間の狭い空間に転移し、教会の床下に霧水化して忍び込んだ。
そう言えばこの能力役に立つのは初めての様な気が。
最も魔力が大きい者がいるところに向かって進んでいく。
途中ネズミやら何やらいたが、全部生気吸収してミイラ化させておいた。
この下にいるな。
天井に小さい穴をあけ覗いてみるとそこには、禿げていて小柄なおっさんが執務している。
探知で調べてみると、吸血蝙蝠達と同じような魔力を感じたが、あとは、数値の様な物、つまり執務の内容がぼんやり伝わって来るだけだった。
執務中は何も分からないなこれは。
しばらくは集中して執務をしているようで何も分からない状況が続く。
「ゲブン様、こちらをお持ちしました」
女が書類をもって、部屋に入って来た。
「そこへ置いておけ。その後全裸待機。発情でもしていろ」
「はっ」
入って来た女は隷属の状態だ。
「あ……。いっいやあ、あああ、あふん、うふん」
「ふん、さんざんワシをバカにするからそんな目に遭う。ふははは!」
どうやら、こいつが隷属化の犯人らしい。
「司教のバカ位扱いやすければよかったものを」
”教会の奴らに仕返ししてやる”大体そんなことを考えているようだ。
ふむ、こいつが元凶なのかなと考えていると、空いている窓から梟が入ってきて、ゲブンは足に付いている手紙らしき物を読み終わったら火魔法で燃やし。
「力をいただきし主よ仰せのままに。お前ももういい。服を着て下がれ」
と言い執務に戻っていった。
おや、黒幕が他に居るのかな?
これは面倒なことになったなあ。よし次を見に行こう。
次は最も悪意が大きい感じがするところに向かった。
天井裏から覗いてみると。
脂ぎっていて太り気味で、少し老けた中年と言った言葉がよく似合うおっさんだった。
豪華な衣装で偉い人だと分かるそいつは状態異常など無かった。
いや病気は有ったよ、成人病と言うやつなら。
そいつはとても若い女を膝に座らせ両手で形のいい胸を揉みほぐしている。
こいつもか!
「あっ、あっ、あっ」
その娘も隷属状態だ。
こんなのを連続で俺に見せるなんて、淫欲が盛り上がってきて俺は何もしなくても暴発しそうだ。
丁度部下の様な雰囲気の奴と話をしていたので聞いてみる。
「それで先方は、何と言ってきているんだ?」
「水を聖水と謀って送って来るとは何事だ、裁定者を送るので、司教に説明させろ。と言って来てます」
「何だと、聖水を送った聖北騎士団ではなく、わしにか?」
「はい」
「おかしいぞ! 聖北騎士団の権威をつぶすために、策を弄したと言うのになぜ、わしが、責められるのか?」
部下の男は答えない。
「ゲブンを呼べ、あやつが、作戦を上申してきたのじゃ」
「はい、分かりました」
どうやら、この司教、ゲブンの言う通りバカなのだろうか。
自分が管理責任を負う地区の関連業務に支障が有れば、その地区の最高責任者に責任が掛かって来るのは当たり前じゃあないのか。
確か聖北騎士団は教会所属のはずなんだろう? ゲブンがやってきたぞ。
「司教様ご機嫌麗しゅうございます。その女はお気に召したでしょうか?」
「女の事なんか今はどうでもいい。話が違うではないか? 聖水が送られなければ、聖北騎士団の権威が無くなって、ミルスを守れなくなるはずじゃあなかったのか? わしに説明を求めてきたぞ!」
下手をすればミルスが死ぬところだったけどね。
まあ、俺はそのせいで助かったと言えば言えるけど。
しかし、そんな事をすればあちこちで危険にさらされる人々がいる事は考えないのであろうか?
「説明してやればいいではないですか。聖北騎士団が聖水を横流し、しているせいで水が届いたのだと。悪いのは聖北騎士団だと。裁定者は教会内の揉め事を解決するために、大きな権力を教皇様から預かってまいります。その彼らに聖女のサインの入った聖水を見せ、聖女は役立たずと説明してやりなさい。きっと聖女は解雇となり貴方様の自由になるでしょう」
「な、なるほどその手が! いやわしも分かっておったぞ。ただの確認じゃ。下がってよし」
いやいや、すでにその説明自体つじつまが合ってないだろ! 気づけよ。
「ははっ」
ゲブンの顔には、この馬鹿がと分かり易く浮かんでいるが、それはいいのか?
なるほど事情は分かったが聖北騎士団が危ないな。
まずは水を全て聖水にしないといけない。
その上でどうするか?
部屋の外で小さくつぶやくゲブンの声が聞こえる。
「(くっくっく、そんなことをすれば聖北騎士団は解体。お前は責任を取らされて解雇だがな。くっくっく。しかし、聖北騎士団の連中を隷属できれば、こんなまどろっこしい手を使わんでも良かったのにな。くそ忌々しい騎士団め)」
俺は、皆と相談するために帰ることにした。
ちなみに、初めの方の「ぐぬぬ」は聖です。分かりにくくてすみません。_(._.)_
次回更新は金曜日23時になります、よろしくお願いいたします。
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