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0061.攫われた聖女

「いったいどうなってるの!?」

「俺の知ってるダンジョンの入り口に転移してきました」

「そんな事を聞いてるんじゃないの」

「ここは、あの吸血鬼が居た洞窟の奥から繋がっているダンジョンです」

「うそっ! そんな、本当なの?」

「はい、本当ですよ」


「でも私たちの調査では何も見つからなかったはず」

「その後、俺が発見しました。そこの入り組んだ岩で隠れた入り口があったんです」

「えっ、そんな所に隙間が? 分からないわ、うん、分からなくて当たり前よね」


 と、ミルスは何とか納得していた。



 俺はミルスを連れてダンジョンに入っていく。

 ミルスは広く明るいダンジョン内をしげしげと見回している。


「タカー。おかえりー! その子が聖女なん?」

「きゃー! エルフさんですよねー。すごい綺麗ですー」


 芽衣が、感動して叫んでいる。


「凄い美人ね! お兄ちゃんのスケベ!」


 まあ、スケベなのは仕方ない、そう言うもんだ。

 芽衣の反応は読めてた。


「そうだよ、彼女が聖女様だ」

「[聖女様、お慕い尊敬申し上げるニャ]」


 アンは片膝をついて頭を垂れた。

 えっ実はそんな対応をしないといけない存在なの?

 俺、なんちゃって敬語で話してましたよ?


「[あなたに神のご加護を]」


 ミルスはアンの頭に手を置き神々しく仰った。


「[ここがダンジョンだとすると、強くなれるのね?]」

「[そうだよ、魔物を倒して鍛える事が出来る]」

「[私も強くなりたい]」

「[聖女様。アンにお任せあれニャ。強くなりましょうニャ]」


 アンは槍をミルスに渡し、尻尾を切って飛べなくした蛇を倒すように導いた。


「[えい! 倒したわ。ああ、なんだか体が熱くなってきました]」


 どうやら即レベルアップしたようだ。


「[聖女様これを続けられれば、強くなれますニャ]」

「[頑張るわ]」

「[体の熱が冷めたらまたやるニャ]」


「タカまさか、聖女様とやらを連れてくるとは思わなかったな」


 蛇以外の魔物を殲滅した聖がそう言いながら帰って来た。


「彼女を紹介してくれるかい、タカ」

「おっといけない! 紹介してなかったね。彼女はミルス。アンスラルドの聖女でエルフなんだ。通訳するから自己紹介どうぞ」


「[私は聖女ミルス。よろしくお願いいたします]」

「うちは、美香よろしゅう」

「僕は、聖だ」

「私は妹の杏子です」

「私は杏子の友達の芽衣です」

「[アンは、虎獣人のアンニャ]」


「よし紹介も終わったし鍛えるぞ!」

「おーっ!」


「[皆さんお元気ですねー。自由そうで羨ましいわ]」

「[ミルスも自由に出来るさ]」

「[そうかしら?]」


『タカ様、女性が部屋に入ってきて、変な術をわたくしにかけようとしましたので、気絶させましたが、どういたしましょうか?』

『そちらに行くちょっと待て』


「[ミルス様、女性が部屋に入って来たそうですが、心当たりはございませんか?]」

「[この時間でしたら、教会の給仕をしている。エルザだと思います。たぶん昼食を持って来たんだと思います]」


『ケイ、昼食を持ってきた人か』

『はい、食事らしきものを持っていたのでその様そうです』


「[どうやら、そのエルザさんがあなたに妙な術をかけようとしたらしいので、ここに連れてきます]」

「[えっ! まさか? エルザが]」

「[行ってきます]」


 俺はミルスの部屋に洞窟から転移した。


「タカ様、こちらです」


 そこには、ぱっと見ミルスに見えるケイが居て、その横に中年くらいのおばさんが気絶していた。

 探知で調べると隷属の状態になっていて、誰かに操られているのは間違いなさそうだ。


「タカ殿、右手につけてる腕輪が怪しいビャ」


 なるほど魔力を感じる。魔道具かな。

 他には魔道具らしきものは無しと。


「この腕輪は何だろうか」

「呪いの力を感じるビャ」


 呪いか禍々しいな。

 外して装備屋に聞いてみるかな。


 ハルバの町に飛び、装備屋に聞いてみると。


「お前なんてもん持ち込みやがる。これは人魔がよく使う魔力を感じるぜ。どうやって手に入れた?」


 人魔ってなんだ? 魔人と何か違うのだろうか。


「いや、魔物を倒したら持っていたんだ」

「ふうん、まあいいや兄ちゃんには売り上げに貢献してもらったからな。鑑定には銀貨一枚だ」

「金とるのかよ?」


「当たり前だこんな危なそうなもん、普通は鑑定しねえ」

「ふうん、ではこれで」

「毎度ありい」


 店主は奥に入り何か物々しい魔道具を持ってきた。


「鑑定用の補助魔道具だぜ、仕入れで失敗しないために常備してある。これでなら相当変なもんでも鑑定できるぜ」

「へー」


 鑑定機に魔道具を置き魔力を込めると、文字が表示され始める。


”低級記憶改編の腕輪:短期間の行動を誤認識させる魔法が使えるようになる:何度も同じ人に魔法をかけると精神系の魔法に弱くなる副作用がある”


「これは! かなりやべえもんだ。こんなの持ってると犯罪者扱いされるぜ。壊すことをお勧めする」

「なるほどありがとう。後で壊すことにするよ」

「ああそれがいい」


 店から出るとすぐ路地に入りミルスの部屋へ転移した。


 この腕輪が無くなると、このおばさんが危ないな。

 元通りにして返した方がいいだろう。


「ケイ魔法にかかった振りを頼みたいが、大丈夫か?」

「お任せ有れ。こんな魔法レジスト出来ますし、その上で知らんぷりします」

「すまんが、頼む」


 おばさんに再生魔法をかけ、すぐに洞窟へ転移した。

 状況を皆に説明し、おばさんを解放した旨を伝える。


「[ミルス様、聖水作成は、昼食前に行っていませんでしたか?]」

「[はい、その通りなんです、水の入った樽に魔力を流していました。魔力を消費すると、その、お腹が空くもので、食事が来てから食べるまでの間にやっていましたが]」


「[ではきっと、その作業をしたと誤認識させられていたのでしょう。すると、ただの水が有ることに説明が付きます]」

「[そうですね、私が操られていたんですね]」


 ミルスさんはがっくりと肩を落とした。


「やあ、そう言えば、遅くなってしまったが。昼食を食べに戻ろう」

「さんせいー、お腹が空いたニャ」

「そうだよ、タカいつまで待たせるつもりだったんだい。聖女様もお腹を空かしてるよ」


「[ミルス様も、昼食にしましょう]」

「[あのう、私の事はミルスと呼び捨ててください。教会のお仕事中ではないので聖女様ではありません]」

「[分かった、ミルスこれでいかい?]」

「[はい]」

「[じゃあ、ミルスわが家にご招待します]」


 皆で、家へと転移するのだった

次回更新は金曜日23時になります、よろしくお願いいたします。

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