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閑話 謎の会議02

少し早いですが、準備が終わったので、あげます。

「それでは、生徒会女子部緊急会議を行います。あたくし、議長を務めます。生徒会副会長の谷津ヶ岳 麗香(やつがだけ れいか) 会員番号1番です。今日の議題は、女性の胸をガン見する件です。が、それ以外でも自由に発言されて結構です。意見のある方どうぞ」


「はい」

「どうぞ」


「私、ガン見されたせいで。心臓が高鳴りすぎて死にそうでした」

「私もです」

「私も」

「見られるとキューンとするよね」

「うん、キュン死しそう」


 ふう、あたくしは見ていただいてないわ。

 うらやましい。


 そういう、あたくしも彼と出会ってからもう長いわね。


 幼稚園の年少さんの頃だった。

 当時のあたくしは親が金持ちで権力が有るため、皆がへこへこしてくるのに慣れ増長しておりましたわ。

 今思い起こせばすごく恥ずかしいですわ。


 その日もあたくしは言う事を聞かない友達に腹を立てて、叩いて泣かしていました。

 先生方も親が怖いのか、誰もあたくしを注意しません。


 どう見てもあたくしが悪かったのに。


 丁度、幼年組と合流してお遊戯をやっているときでしたので、一つ下の彼も一緒にいたのです。

 彼は躊躇なく私と叩かれて泣いている友達の間に入り。


「れいかちゃんが悪い! ちゃんとあやまれ!」


 しかし、その頃のあたくしは手に負えないほどの暴れ者でしたから。


「じゃまよどいて!」


 べちべちと、彼を叩きましたわ。


 あたくしは叩きなれているので中々威力のあるビンタなのです。

 今まで泣かない者はいなかったのに、彼は泣くどころか燃えるまなこであたくしを見据え。


「れいかちゃん! ひとはどんなに強くても、えらくても、あやまれないのはひととしてさいあくです! わるいことをしたのは、わかってますよね!」


 あたくしは人を馬鹿にしていました。

 特にその頃は同い年位の子を馬鹿だと見下していました。


 しかし、この時あたくしは心の中まで見透かされている事に仰天し、彼の燃える瞳にキュンときて惚れてしまいました。


 と、ここまではどこにでもころがる、まあ、よくある幼少期の初恋の出来事。

 いい思い出かすっかり忘れて終わるはずでした。


 しかし、そこからが違ったのです。

 なんと! 彼を思慕の気持ちを持って見ると光輝いて見え直視できないのです。

 視界に映る程度では光らないのですがね。


 それはその時一緒にいて彼に助けてもらい惚れた友達も一緒でした。


 思慕をもって声を掛けようとすると、心臓が大きくときめきすぎて誰も声を掛けられませんし、ラブレターを書くことも許されません。

 心臓麻痺で死にそうになります。

 あたくしみたいな、少々の事では動じない人間でもです。


 思慕は募るのみです。


 その上にです。

 その初恋にも似た強い恋心は長い片思いの期間にも負けずロックされ他の男の子は友達以上には思えなくなります。


 彼以外の男の人には、あっ! あの人かっこいいなとか素敵だな、などとも思えません。

 あたくしも初恋から今まで想いは変わらず他に好きな方は出来ません。


 恋は冷めるといいますが冷めるどころかより熱く増していきます。

 なぜなんですかねえ? 


 あたくしのみならず会のみんながそうなんですから彼はまるで化け物です。

 吸血鬼の魅了か何かなんですかね? この状態は? 


 この切ない思いから解放されたいような絶対忘れたくないような葛藤も続きます。


 もちろん、あの、その……一人でのごにょごにょも出来ません。


 彼にしか発情できないのに彼を思うと辛くなり発散できない! 

 それでも偶には体調や気分によって躰が敏感になって、ちょっと擦れたりするのも気持ちよかったりして、盛り上がったりしても、彼を思いながらやりたい! 


 しかし心臓がバクバクし痛くなってそれどころではなくなってしまうため出来ない。

 となってしまう。


 性欲も鬱憤もたまっていきます。

 これも恥を忍んで皆に聞いてみても同じようでした。


 こんなのが続くとよけいにこじらせてしまう。

 あたくしたちはもう普通の状態ではいられません。


 こんなのおかしいです! あり得ません! あたくしだけならともかく。

 会の皆共通なのです。


 彼のことをすこしいいなって思うぐらいならロックもされず告白できない程度で済むのは僥倖でしょう。


 もはや犠牲者とか被害者と言うしかありません。

 皆辛いのです。

 彼に非が全くなくてもです。


 そう、彼は助けただけ、正義を施行しただけなのですから。

 あたくし達は口説かれたわけではなく、勝手に惚れているだけなのだから。


 しかも、彼はひどく惚れられやすいのです。

 人の事は言えませんが。

 ちょっと助けただけで惚れられてしまいます。


 そして、何と言う事でしょう。

 いつからか、彼は人助けを趣味にしてしまいました。


 惚れてしまったのに見る事すらできない、新しく恋をする事で治す、なんて事も出来ない。

 どうにもする事ができず苦しむ犠牲者が町中に増える一方です。


 そのせいで破局するカップルも後を絶たず。

 旅行者なども含め県外、いえ、日本中にいえ、もっと広く世界中に拡散され始めました。

 大変なことになってしまいました。


 会の誰もが忘れることができずこの状態であれば、もし彼と付き合えるとなっても独り占めはできません。

 辛さがわかりすぎるから。


 皆が愛してもらえる方策を選ぶ。

 それが皆と話し合った上での結論です。

 その時彼にはどんな手段をとったとしても責任を取ってもらいますよ。


 辛い思いの対処療法としては出来るだけ思慕の心を出さず平静に見れば見ることが出来、話すことも出来る。

 しかし、至難の業です。

 映像なら思慕の念を多少ぶつけながら見ることが出来る。

 位でした。


 そうですね妹の友達として会えば、多少なら思慕を示してもなんとかOKでした。


 なぜ妹の杏子さんと一緒なら大丈夫なのか? 

 検証は進めているものの分かりません。


 そして現在M.Hさんをはじめ数人の女性が彼のそばで大丈夫な件が分かっています。

 なのでまずはこの学校に居るM.Hさんを調査中です。


 彼に何か変化でも起きているのかしら? 

 なんにしても突破口になってくれればいいのですが。


 今、被害者を減らす方法は残念ながらあたくし達にはありません。


 あたくし達は、彼が助けると被害者が増える事を知りながらも、彼の楽しみである人助けの邪魔をする事なんかできないのです。


 しかし、あたくしは、そう言った彼女たちを救いたいと思い、被害者の会を立ち上げました。

 なぜか、出会えば被害者同士には得も言えないシンパシーが発生するので間違えなく見つける事が可能でした。


 彼に惚れてしまっているが故に、彼を責める気持ちも起きません。


 その彼が胸をガン見して回るのです。

 被害者が増えないかとても心配です。


「他に無いようであれば主議題に移ります。報告を」

「はい、どうも彼は、数人の女性を伴って沖縄に行ったようです」


 羨ましい限りですね。


「それで?」

「そこから推測するに、きっと同伴の彼女らは水着で胸を見せつけた上で彼が見ても全く拒否の反応しなかった。のではないか? と考えられます」


「なるほど」

「それで、彼は、自分が胸をガン見しても気づかれないと誤解したのでは?」


 なるほど、あたくし達会員も胸をガン見されたくらいでは拒否反応を示さないでしょう。

 すると誤解しても仕方ないかもですね。

 男はその拒否反応を見て悪いなと思うらしいですから。


「そうですか。それなら、実行班」

「はい」

「彼の友達に彼が胸を見て回っていることをリークしなさい。彼にバレていることを気づかせるのです」

「はい、分かりました」


「他には何かありませんか……では今回の緊急会議を終わります……ふう」


 あたくしは、ふと、なんとなく会議室にいる皆を見まわしてみた。


 ああ、被害者は可愛い娘ばかりです。

 って……まさか、選んでませんかねえ。


 そう考えると。

 なんと、選ばれたことに対する恍惚と快感が広がってしまいます。

 ああ、惚れた者の不安と幸せここに在り。

全くの謎のまま引っ張ろうかとも思いましたが。間延びしそうなのでやめましたw

続けて、登場人物2も上げる予定です

その次の更新は火曜日23時になります、よろしくお願いいたします。

楽しんでいただければ幸いです。

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[一言] この子にはどうにかしてくっついて欲しいな。 いい子すぎるw
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