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0057.また会う日まで

 それにしても、瑪瑙家の方々は皆、本当に帰ってしまった。

 聖に聞くと。


「ああ、秘密の助っ人が居るので、僕がやる時にはこちらを探らず帰るように言っておいたんだ。もちろん僕が誰とこちらに来たかも調べないようには言ってあるよ」


 なるほど、でも気になってしまうんじゃあないかな。


「あの、吸血鬼達を倒したのが僕だけじゃあないと皆知っているからね。いや僕が言ったんじゃあないよ。皆マスクマンの事を覚えていただけで。ただ、あの吸血鬼達を一蹴出来る者たちと敵対したくなく、出来たら共闘したいと思っているようだから邪魔はしないと思うよ」


 なるほど。


 探知にも何もかからないし、安心して事に掛かるとしよう。


 近づいてみると、保育園児程度の大きさの全身真っ黒の毛に覆われていて、猛禽類の黒い羽をもち頭に角が一本ある小悪魔が泣いていた。


「ビビビ、ビィー、ビィー」

「言葉は分かるか」


 声を掛けてみるが。


「ビィービィー」


 脅えるばかりで分かっていない様だ。

 もっと近寄り手を伸ばすと。


「ガビィー」


 と咬み付かれた。


 ごきいっ!


 前腕の骨が砕けたが千切れるまではない。

 痛みに耐えながら噛み付かれてない方の手で頭をなで魔力を送り込んでやる。


 すると、小悪魔の意思が流れ込んできて。


”殺せ! 殺す! 死ね! 潰れろ! 殺せ! 殺す! 死ね! 潰れろ!”


 と悪意の塊で有ることが分かった。


 気を抜けば逆に侵食されそうだ。

 これで弱っているとは、悪魔とはどんなに強い種族なんだろうか?

 悪意を押さえつけ真意を探していくが、ほぼ悪意で埋まっている。


”死ね! 全て死ね! 生き物は許さない! 消えろ!”


 さらに強い悪意にさらされ、俺の心が恐怖に負けそうになるが、気力で押し返す。


 見つけた! 奥底にあるこいつの意識。


”ここはどこビャ? 帰れないビャ。 攻撃されるビャ。 怖いビャ! 帰りたいビャ!”


 その意志に、大丈夫だ救ってやる!


 と気力と魔力を流し込み魂に統合していく。

 悪意も削除できそうだ。


”だいじょうビャか? 殺さないビャ?”


 ああ殺さない。

 その代わり俺の眷属に成れ!


 悪意の圧力が下がっていく。


”ポキの事殺さないなら、強き魂に従うビャ。強き者よ、ポキに名前ビャ”


 名前か? そうだな。

 ガウビィだ、それでいいか。


”分かったビャ。ポキはガウビィ、ガウとお呼ビャ下さい。ご主人様”


 俺の事はタカと呼んでくれ。


”分かりました。タカ殿”


 ガウの悪意が急速になくなり、腕を咬むのを止め腕が再生していく。


”ポキはガウビィ悪魔になるものだったビャ。今は半神半魔としてタカ殿に忠誠を終生誓うものビャ”


 なんだって半神半魔ってなんだ。


 いや、今は置いておいて、汝の忠誠を受けよう。


”有りがたき幸せビャ”


 ケイと同じようにつながりが出来ていくのを感じる。


 ガウが光り始めた。

 一体何が起こるんだ?


 光が収まると、真っ黒だったガウの毛並みがシマウマのように白が混ざる。

 何と頭の角が一本から二本になりその上に天使の輪が出来る。

 そして顔の毛が少なくなり多少人に近いちょっとかわいい感じの物となった。


 ええー! 変化に付いて行けない! なんだよ、天使の輪って?


「一段上の存在にはなれましたが、体や魔力の改変に力をとられ過ぎ魔力が足りなくて、前より弱くはなってしまいましビャ。タカ殿」


 そういうガウを見ると確かに魔力量が減ってしまっている。


「でも、聖属性はもう弱点じゃないビャ」


 なるほど分からん。


「おーい、タカ大丈夫か? 一体何が有った?」

「大丈夫だ。眷属化は無事終わったよ」


「[いったいなんだ? 今のは、何が起こったのだ? 有りえん! 悪魔の眷属化など人類には無理だ! 吾輩には全く理解できない。魔人族最高の英知を誇るこの吾輩がだ! こんなことが有っていいのか? まだまだ生命は神秘に包まれている。いや、面白い! こんなことが有りうるから長い人生も面白い! 面白いぞ! わははは]」


「[長い人生ってお前いくつなんだ?]」

「[吾輩か? 吾輩はな526歳だ。魔人族はな800年は生きるぞ。わははは]」


 800年て、信じられないほど長生きだな。


「[じゃあ、皆の者、名残惜しいが吾輩も仕事があるでな。帰りたいのじゃが?]」

「[ああ、魔力放出だったね]」


 キーン!


 ハムが親指でコインを弾き俺の所へ飛ばしてきた。


「[帰る前にそれを渡しておく。タカ、落ち着いたら我がゲレナンド王国に来い。それが有れば身分証明になろう。魔力を通しておけ]」


 俺はコインに魔力を浴びせると変色した。


「[そうだ、それでいい。もう他の者には使えん。それは、もちろん他の国でも使えるぞ。タカはどこの国に行くことが有るのか?]」


 ちらとアンを見る、ルックパスだ。


「[ボード王国ニャ]」


 そうか、それがあの国の名前か。


「[なんだ、田舎だな。もちろんボード王国でも通じる身分証明だ。便利に使え]」


 なんでそんな物を気軽にくれるんだ。

 怪しい奴。

 そうこうしている間に皆が魔力を放出し始める。


「[じゃあ、さらばだ。また会おう!]」


 そう言いながら、ハムドは転移していった。

 騒がしい奴だったが憎めない奴だったな。

 きっと、また会おう。


「少し寂しい別れが済んだところで。さて、新しい仲間の紹介だ! 2番目の眷属、半神半魔のガウビィだ」

「えっと、ポキ、ガウビィよろしくビャ」

「わたくしが1番眷属のケイです。よろしく」

「僕は聖、降魔師だ。追い込んだりしてすまなかったね」


「ポキは、ただの小悪魔だったから、いたずらとか、殺すかとか、迷惑をかける事しか考えてなかったし、仕方なかったビャ」


「で、タカ。半神半魔って何?」

「さあ? 俺にもよくわからん」

「分からんってアンタが言ったんでしょうに」


「アンは人虎のアンニャ」

「皆さんよろしく、ガウと呼んでくださいビャ」


 ガウビィが仲間に加わったのであった。


「僕は、報告に行ってくるから、皆は先に帰っていてくれ」


「そう言えば、ガウの姿って普通の人にはどう見えているのかな?」

「発見されてなければ、見つかりたくない人には見えなく出来るビャ。でも悪さしたりしようとすると、気配が漏れ発見されやすくなるビャ」


 それはまた便利だな。


「悪魔はそうして、無警戒の人に近づいて殺すビャ。発見されても、もう遅いビャ」


 それは怖い。


「ポキはもう悪魔じゃないからしないビャ」

「とりあえずは俺たち以外には見えないようになっていてくれるか」

「了解ビャ」


 なにせ、ガウは目立つ。


 大きさこそ幼児並みだが、天使の輪っかも、羽も、角も、色合いも、とても衆人環視には耐えられない。


 逆に小さいから着ぐるみにも見えないし。

 そうだなバレそうな時はぬいぐるみと言う事に出来ないだろうか?

次回更新は金曜日23時になります、よろしくお願いいたします。

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