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0056.奇跡の生還

感想もお待ちしております。

 俺たちはレンタカーで、観光に出ることになったが。


「さすがに僕はそこまで離れる事は出来ないので行けない。気を付けて行って来るんだぞ。夕方には帰って来いよ。それと、何かあったら電話するのですぐ来てほしい!」


 瑪瑙さんは観光をしないようだ。


「ハムドの事は任せた」

「正直、話も出来ないので心配だが、昼飯は出してやるよ」


 よかったなハム、昼食は食べられるようだぞ。

 俺は[昼食です]とあちらの字で書いた紙を(めのうさん)に渡しておいた。


「さあ出発やー」


 美香(あそうさん)が張り切っている。


 大丈夫とは言っていたが、本当に運転できるんだろうな? こちらも不安だ。


 レンタル出来て美香が運転できそうな車は5人乗りだった為、ケイは姿を消して天井にいてもらうことになった。


「すまない、ケイ」

「実は車内より周りが見られて広いので快適です。謝っていただく事はありません」


 そう言ってくれたが、俺は心の中でもう一度謝っておいた。


 アンは助手席に収まり。

 俺は妹と芽衣(ゆうきさん)に挟まれ後部席へ。

 流石にちょっと肩身が狭いな。


 案の定、美香は初心者で運転席を出来るだけ前に寄せ前のめりで運転を始める。

 背が高いので手足のおさまりが悪そうだな。

 その冷や汗を流しながら運転する様は見ていてとても怖い。


 ブゥォッン、キッ


「ひっ!」


 キュールルル、ウォン、ストン


「きゃっ!」


 キーーー、ギュワン、ブロロロ、キーーー


「いや~あたる~~!」


 急ハンドルに急ブレーキ、急発進、車がゴトガタと揺れるたび妹と芽衣が抱き付いてきて、遠慮なく腕に胸が押し付けられる。

 お子様相手だが俺の淫欲はそんなのは関係ないとばかりに黙っていない。


「そっち当たる!」


 などと声が上がり、古くてぼろい今にも崩れ落ちそうなジェットコースターにでも乗っている気分だ。


 両腕に縋り付く二人の胸の感触に耐えるのが、つっ辛い! 

 まさかこんな危機に見舞われようとは? 


 何故か二人の手は俺のみぞおちあたりからお腹を行ったり来たりして、危なく触られそうだ! 

 ギリギリの所まで迫り躊躇しているようにも見える。


 もしかしてワザと触ろうとしている? と思った。


 だが二人とも流石に触ってはこなかった。


 道はカーナビがあるので、迷う事は数回しかなかったし、何かに当たることはギリギリ無かったのでほっとした。


 観光地は史跡が多くそう言った所には薄い人が多くいたため、俺はとてもゆっくりリラックスと言った具合にはなれない。


「タカ様、皆自我のない姿さえ保てない方が多いみたいなので、放置しても悪影響があるだけの様です。わたくしが駆除して回りましょうか?」


 ケイが気を利かせようとして進言してくる。


「いや、そこまでしなくてもいいよ」


 今はどうあれ皆苦しんで亡くなった末の姿だ。

 無理に成仏させるのも間違っているような気がする。


 悪霊になっているのなら話は別なのだろうが、邪な感じはしない。

 聖が居たらどう対処したのだろうかな。


「お兄ちゃん! あれ買って!」


 妹が指さす先には、ハブ酒があった。


 いったいあれを買ってどうするつもりなんだ? 妹は。


「お父ちゃんのお土産にどうかと思って」


 あービックリした。

 あれが飲みたいのかと思ってしまった。

 そりゃそうだよね。


「父さん、そんなにお酒好きだっけ」


「そう言えばそうね」


「パパは、お酒好きだからどうしようかな」


 芽衣(ゆうきさん)は、そう言ってハブの入っていない方のお酒を見ている。


 そうだよな、ハブが丸まま入っているお酒は気合入った好事家でないと飲めなそうだ。

 あれってハブが腐ったりしないのだろうか?


 皆お土産も買い、ほくほく顔で観光を終えホテルに帰着だ。

 美香も終盤には落ち着いて運転できるようになっていて帰りはさほどのスリルを感じることは無かった。


「ふう、生きて帰れてよかった!」


 何かを達成したかのような感動が沸いてくる。





 アンとハムが感激の声を上げる恥ずかしい夕食が終わり聖が声を掛けてきた。


「どうやら、小悪魔を捕捉したみたいなの。一緒に近くまで来てもらえる」


「分かった。ケイ、アンそれとハムも一緒がいいか?」

「ええ、そうしてもらえると助かる」

「じゃあ三人とも行くぞ、[ハムも大丈夫だよな]」

「[任せてくれ、吾輩の知識を披露するよ]」


 俺たちは着替えて、現場近くに向かう。


「[タカたちはまた、凄い装備をもっているんだねえ。それは高いぞ! 家が買える。とても羨ましいよ]」


 若気の至りです。

 許してやってください。


 そこは、岩張った海岸沿いで広い空間が有る所だった。

 岩陰に隠れて見ていると、何枚もの札が宙に浮き、輝いている。

 どうやら聖属性の力で囲んでいるようだ。


 こう言うのを結界って言うんだっけ。


「[ほほう、凄く少ない魔力であれほどの出力を維持できるとは! その上に魔法属性の変換までされている。非常に興味があるなあ]」


 ハムの目が輝いてる。


「[あれは秘伝だそうだから盗んだりするなよ]」

「[分かった、分かった。自重するよ]」


 多少離れた所から見ているが、視力がよくなっているせいで様子が分かる。

 小悪魔、文字通りの子供(幼稚園児くらいの大きさ)の悪魔が聖属性の光を浴びて苦しんでいた。


 子供が苦しんでいる姿はそれが悪魔であっても、見ているのがつらい。


「あまり苦しめずに早く終わることは出来ないのか?」

「僕にはよく分からないよ」


「[それは、無理そうだね。あの光では小悪魔を滅せはしないし、小悪魔もどうやら疲弊していて異界へ転移できなさそうだ]」


 ハムが代わりに述べてくれた。


「どうやら、逃げてはくれない様だ。僕が神馬を召還して滅ぼすしかないか」


 そうだな、あの神馬なら勝てそうだ。


 しかし、俺の本能が久しぶりに囁く。

 あれは、眷属に出来るぞ! してしまえ! と。


 小悪魔はすっかり力を無くし、動けなくなっている。


「聖、どうやらあの小悪魔、俺の眷属に出来そうだ。皆を下がらせることはできるか?」

「あれを眷属にか」

「ああ、弱っているようだからな」

「分かった、やって見る」


 聖は結界を張っている一人に声を掛けた。


「お父様、あの悪魔は弱っていて転移出来ない様です。後は私でやります。危ないので下がっていてください。急急如律令、十六方簡易結界」


 皆が張っている結界の中に聖が放った札が結界を作る。


「そうか聖。確かに我々にはこれ以上無理だな。皆限界だ。我々はここまでだ。下がらせてもらう。後は頼むぞ! 皆撤退!」


 瑪瑙家の方々は皆疲れ切った様子で撤退していった。


 本当に限界だったようだ。

 こちらの人の魔力は、魔力を持っている人でも総じて小さい。

 そんな悪条件で小悪魔を見つけ閉じ込めるのは大変だっただろう。


 お疲れ様。

 手柄を横取りする様で申し訳ないが、やらせてもらう。

次回更新は火曜日23時になります、よろしくお願いいたします。

楽しんでいただければ幸いです。

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