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0055.ハムの味

明日がお休みなので1日早く投稿しました。

 ハムドと言う肌緑の異世界人が突然声を掛けて来ていた。

 彼は宿無しなので俺は瑪瑙さんに事情を説明し協力を取り付けたことを言う。


「瑪瑙さん……と言う訳で協力を取り付けたのだが」

「で、そいつはこれからどうするの? 協力してもらうのはいいとしても、ここで野宿でもするの?」

「そうやなー、その肌の色じゃあ人々の前には出られんなー」


 麻生さんが横で聞いていたみたいだ。


「[そうか、肌の色な~]」

「[なんだ、肌の色が問題なのか?]」

「[こっちの世界には居ない色なんでな]」

「[そんなのは簡単だ! 魔法でどうとでもなる]」


 ハムドは自信満々に笑っている。


「[へーそれは凄いね]」

「[ほらこの通り]」


 彼は目の前で俺達と変わらない肌色になっていた。


「[ふふふ、これはね、光魔法の応用なのさ。跳ね返る光のスペクトルをね、ちょっと変えるのさ]」

「[へー詳しいんだね]」

「[吾輩は魔人族の魔法研究家だぜ。その位出来なくてどうする]」


「[いや、こちらには魔法があまりないからね、一部の専門家以外はほとんど知らないんだよ]」

「[まあ、解らんでもないな。ここには魔力がほとんどない。住人は魔力を持ってない奴らばっかりだった。魔力の少ない吾輩でも無敵感を味わえたよ。まあ、アンタらは違うがな]」


 ハムはピッと自然にウインクをする。

 いや俺にその気はないからな。


「じゃあ、瑪瑙さん。ハムドの部屋ってとってもらっても?」

「ええ、いいわ、今更一人くらい増えても問題ないでしょ。ただ今晩の食事はないよ」


「[ハムド、部屋はあるが食事はないってよ]」

「[吾輩、何日も何も食べてないのだ。そう言わず何か食べさせてほしい]」


 ハムドは懇願するようにすがってくる。


「[わっわかったよ、コンビニで弁当でも買おう]」

「[ありがとう、心の友よ]」


 ハムドは泣き始めた。


 本当に追い詰められていたようだ。


 知らない世界に言葉も通じず一人きりか、俺達が来なかったら、いったいどうなっていたんだろう。


 最善でも泥棒になってたよな、きっと。


「[ハムドは肉がいいかい? それとも魚がいいかな?]」

「[ふむ、魚が食べられるのであれば魚がよい。が肉も嫌いではない]」

「[分かったよ、それなりの奴を買ってこよう]」


「[おおっ、魚など中々食べられないから楽しみだ]」

「じゃあ、帰ろう。言っておくがそんなに飛ばしてはダメだぞ。特に浜辺付近はゆっくりとな」

「そうやなあ、ここで目立ってもしゃあないもんな」


 と麻生さん。


「[ハムドも分かったかい?]」

「[吾輩は後ろを付いて行くよ]」

「ぐずぐずするな先に行くぞ」


 ざっばーん、瑪瑙さんは一番に出発した。

 あの人分かってるのかねえ?


「まてやー!」


 麻生さんが瑪瑙さんを追いかける。


「お兄ちゃん先行くわよ」


 続くように、妹、結城さん、アン、俺、ハムドの順で海へと走った。


「待ってください」

「にいちゃん、行くニャ」

「ああ、いくぞ」


 だがハムドが最後なのは不味かった。

 後ろから音がしないな? と不思議に思って振り返ると、はるか後方で海に沈み始めていた。

 すっかりお腹をすかし魔力も切れ切れだった肉体派でもないハムドの体力は限界に来ていたのだ。


「!? ハムドっ! [しっかりしろ!]」


 俺は慌ててハムドの救出に向かうのだった。


「[はあっ! はあっ! しっ死ぬところだった。タカ済まぬ]」


 ほんと死ななくてよかったよな。


 ホテルに帰り着替えた後。

 少し離れたコンビニで迷った末、幕の内弁当とホットドッグをハムドの為に買って来ると。


「[吾輩こんなに美味いものはあまり食べた覚えがないぞ!]」


 と涙を流して食べてくれた。


 惣菜でそんなに喜んでもらうと申し訳ないな。

 俺たちはこれからホテルのディナーなのだから。


 まあ、明日からはハムドのもあるさ。

 部屋は空いていると目されていたが。

 結局、空き部屋が無く、俺の部屋に簡易ベッドを入れ同室となった。


「[同室だな、よろしく頼むぜ。俺の事はタカってよんでくれ]」

「[分かった。タカだな。よろしくな。吾輩はハムでいい]」

「[了解、ハム。ハムはここでくつろいでいてくれ、俺たちはこれから食事だ]」

「[ああいってらっしゃい]」



「うまいニャアー」


 アンがあまりに感激しながら食べるので少し恥ずかしい思いをしながらの夕食が終わり。

 俺はハムドに小悪魔の事を聞くことにする。


「[そうだねえ、タカよりは魔力量が多いと思うが、小悪魔の子供だからね。悪魔の割には余り魔法が上手じゃないよ。ただ悪魔は打たれ強いね。普通の魔法は効き目が少ない、聖魔法か、魔魔法で攻撃出来ればいいんだがね。見ての通り吾輩は弱いからね。吾輩の魔魔法じゃあ倒せない。周りに魔力がある場所なら、周りの魔力で倒せないまでもいい戦いは出来、逃げる位は出来る筈だったのさ]」


 周りの魔力を利用ねえ? 俺にも出来るかな。


「[聖属性の魔法と言うとこんなやつ]」


 俺は光破を少し光らせた。


「[おお、それは聖属性、タカは聖人であったか。……いや、違うな! もっと別な感じがする]」


 何か凄くうれしそうだ。


「[タカうれしいぞ。吾輩の知識と探知をもってしても解らない謎な存在と出会えて。ふっふっふ、吾輩の探求心が満ちてくる。必ず解き明かしてくれよう! わっはっはっは]」


 ああ、うるさい。

 見せるんじゃなかったか? 

 ハムドの興奮は中々静まらなかった。


 瑪瑙さんはロビーで仮眠しながら式神による連絡を待ち、ケイがその護衛をした。

 俺とアンは部屋で仮眠及び待機。


 その日、瑪瑙家からの支援要請は無く、未発見とのことだった。


 次の日、ハムドには朝食も無かったので、コーヒー牛乳とサンドイッチをコンビニで買ってくると。


「[なんだ、このまろやかでピリ苦の飲み物は?]」


 とコーヒー牛乳にはまっていた。


 今日は観光に出かけると言ったらハムドは。


「[吾輩は、タカの魔力の研究をするのでここに残る]」


 それは願ったりかなったりなんだけどそれでいいのか? 


「おっはよー、タカー」


 女性陣が集まってくると。


「[昨日は空腹で気づかなかったが、タカはなかなか美人どころを集めているな。まあ、吾輩はあんな気持ち悪い色の肌の女はいらんがな]」


 悪かったな気持ち悪い肌で。


 おーお、ケイがものすごい顔で睨んでますよ。

 アンは安定の無反応だけど。


「[むっ、そこな女。聖属性が少し薄いが、聖女だな]」

「何、僕を見て鼻息荒くしてんの! きもい!」


「[おっ、この霊体も理解不能だ]」

「[わたくしは、物ではないです]」


「[おおっ、そこなへんな獣人も全く解らん]」

「[それはアンの事ニャ?]」


「[おおー研究のヤリ甲斐があるぞーー!]」


 よくもまあこんなに一気に嫌われることしなくても……。


 本人は嬉しそうだ。

 まあ、それがハムの味か。

次回更新は金曜日23時になります、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハムドは前回まで丁寧な敬語で、急にタメ口なってます。 さっそくブレてます。
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