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0054.獣人の体力

誤字報告ありがとうございます。非常に助かりました。

「お待たせ様でした」


 ケイが飛びながら帰ってきた。

 じろりとアンを見てあきれ顔だ。


「まだ入ってないんですね」


 そう未だに波打ち際でアンは難儀していた。


「ふにゃあ、これが海なんて嘘ニャ! 不定形な魔物ニャ!」


 もはや、訳が分からない。


「もう入りなさい」


 ケイがアンを蹴飛ばすと、ドボンと頭から海に突っ込んだ。


「何をするニャ!」


 アンが顔を砂水だらけにして怒った。


「いつまでもタカ様に迷惑をかけるからです!」


 ケイの方がはるかに怒っていた。


「ごめんニャ。本当に怖かったニャ。でもケイの方が怖いニャ」

「何ですか、人聞きの悪い!」

「ほら、入ってもなんともないだろう」

「そうニャ。全然平気ニャ!」


「よかったなアン。ケイすまない。俺が厳しくできないばっかりに」

「いえ、タカ様はそのお優しい所がいいので、そのままでいてください」


 アンを連れて段々深い沖に向かっていく。

 遠浅のビーチなので、かなり沖に行かないと泳ぐ練習にはならない。


 アンは俺の海パンを両手でつかみ、俺の後ろにピッタリくっ付いてついてくる。

 よっぽど怖いのだろう。


 時々、アンの胸が背中に押し付けられその感覚に淫欲が沸き上がって来て困った。

 やっと、腰が浸かり海パンの上近くに水面が来るくらいまで進んだ時だ。


 急にアンが俺の後ろでバシャバシャと騒ぎ始める。

 アンがいくら身長が低くてもまだ足がしっかり届く深さのはずだったのだが。


「ニャア! 足が届かないニャ。ニャニャ! あわわ!」


 そう言って、俺にしがみつき、アンは俺の股間を両手でしっかりとつかんだ。


「うっ! だっ大丈夫か? アン」


 しかし、背中に抱き付いているため姿は見ない。

 沈んではいないはずだ。


「やっぱっり怖いニャニャニャニャニャー!」


 アンはそう言いながら手を動かした。


「おおう、やっやめろ! 手を、そこから! うっうえに、ううっ、おうっ!」

「ああ、勘違いニャ。足は付くニャ。にいちゃん、驚かせてごめんニャ」


「はあっはああっ。そうか、良かった。その、そこから手を離して」

「いやニャ! 怖いニャ! このまま握っていたいニャ!」

「ま、まあ、いいけど」


 俺はすっかり淫欲の虜だ。

 アンの手を振りほどけない。

 アンは、沖に向かって歩いている間、俺の背中に胸を押し付け揺らしながら手を離さず、波に揺られるようにずっと動いている。


「うっ! おう! ううっ! つっ着いたぞここで練習だ!」

「分かったニャ」


 アンはやっと手を離し泳ぎの練習が始まる。





 わたくしは、飛びながらアンの大胆な行動を見ていました。

 アンは苦しそうな声を出してはいましたが顔はとてもうれしそうで、わたくしから見ればわざとなのが丸わかりでした。


 アン、なかなかやりますねえ! 侮れませんわ。


 わたくしも、たまりにたまっているタカ様の欲情を何とか鎮めてあげれない物かしら?

 体が無いとは本当に不便ですね。

 いえ、諦めてはだめです! 


 料理さえ作れるのですから、わたくしにもきっとできるはず。






「そうそう、うまいぞアン! さあ、そこで顔をあげて息継ぎだ!」


 アンの足が付く浅瀬で泳ぎの練習は続く。


「はっあっ、体が浮く感じが分かってきたニャ!」


 そこからのアンの進歩は凄かった。


 クロールで横を向いて息をするのが苦手そうなので、バタフライを教えたら。

 どうも性に合っていたみたいで。


 あっという間に凄い速度で泳ぎはじめ、今では飛魚みたいに飛び出すほどになってしまう。

 流石に目立ちすぎるので飛ぶのは止めるように言い含めた。


「おーい、タカー」


 かなり遠くから声が聞こえる。


 ビーチの向かいにある島の浜からの様だ。


「よーし、島まで渡ってみよう。アン、競争だ。ケイは飛んでくるか」

「ハイ、タカ様」

「アンは、速いニャー」

「ふふ、今日覚えたばかりの奴に負けるか。ケイ合図を頼む」

「レディーゴー」


 ざばあっ! ざぶざぶ


 俺はクロールにて全開で泳ぐもアンを離せない。

 やるなアン。

 さすがに獣人だけあってパワーがある。


 だが、俺も負けはしない、クロールの方が速いんだ。

 と思っていた頃が俺にもありました。

 獣人しかも人虎、とんでもない体力の化け物だった。


 後半になって爆速となり抜き去られてしまった。


「やったー! 勝ったニャ」

「凄い速いのねーアンちゃんは」


 と結城さん。


「水中翼船が来たのかと思ったわー」


 とは、麻生さん。


「くっあんな体力反則だな、僕らの様な人間には無理だ」


 何故か悔しがる瑪瑙さん。


「いやー参った参った。獣人の体力を見させてもらったよ」

「タカ様お疲れではございませんか」


 ケイが俺の心配をしてくれる。


「うん? 大丈夫だ、俺も人間やめてるからね。よし、ここなら人もいない。バレーの再開と行くか」

「よし、やるぞ!」


 張り切る瑪瑙さん。


「うちも負けられんなー!」


 とは、麻生さん。


「芽衣ちゃん勝負―」

「杏ちゃん負けないわよ!」

「……」


 ケイは静かに燃えてる気がする。


「アンも頑張るニャー!」


 その辺りの倒木をネット替わりに配置してゲームは始まった。

 はじける汗、揺れる胸、飛び回る健康美、くたびれて動かなくなる人。


 最終的には立っているのは、ケイとアンだけになっていた。


 試合中何故か時々皆の水着がずれて見えてはいけない物が見え、その瞬間を脳内に画像保管して得した気分だ。

 しかし、バレーってこんな競技だっけ?


 日もすっかり傾いてしまったのでゲームはドローとし、ホテルに帰る事になった。


「[やあ、君たち強いねえ、どこで鍛えたんだい]」

「!?」


 なんだと、探知で付近の警戒に怠りは無かったはずなのに。

 そう誰もいないはずのこの浜辺付近で突然俺たちは声を掛けられたのだ!


「[お前はいったい、誰だ]」


 振り返って確認したその姿は男なのに美しいとしか言えない容貌の金髪碧眼、そして肌の色が緑と言うとても地球の人とは思えない輩だった。


「[おお、これは失礼。吾輩はゲレナンド王国付き対悪魔魔道研究員のハムドと言う者だ]」

「[俺はこの世界の学生で、木戸貴志だ。ちなみにこの国には貴族制などないから階級もないぞ]」

「[ふむ、この世界にしては大きい魔力を感じたので来てみれば学生とは、くっくっく]」


「[何が言いたい?]」

「[いや失敬、この世界で最強の魔力を持つ者が、ただの学生だったことに驚いただけですよ。そちらに居るのは獣人の子供ですね。どうやってこの世界に来ましたか?]」


「[なぜ、そんな事を聞くニャ?]」

「[いやあ実はお恥ずかしい話なんですが、小悪魔を追跡する新魔法の実践試用で異界転移する小悪魔の足取りを追っていたのですが、この世界に来た途端、周りの魔力を使えなくなりましてね。大きい魔法を使えなくなったのです。小悪魔をロストするわ、転移も出来ないわ、で途方に暮れていたのですよ]」


「にいちゃん、あれは魔人族ニャ。人とは別の強大な勢力を持つ種族ニャ」


「[ああ、そんなに警戒しなくてもいいですよ。吾輩ら魔人族は、魔人王一同、人族に敵対するものでは有りませんよ。むしろ協力し悪魔や魔物と闘う同志の様な物なんですよ]」


「確かに、魔人族は敵じゃないはずニャ」


「[なるほど、あなたは一人で小悪魔とやらを追って来たのですか?]」

「[そうなんですよ! まだ、異界転移は研究中の魔法でしてね。使える者も限られていましてね]」

「[なるほど]」


「[いくつかの世界を経由して来たのですが、この世界は魔力が薄い。吾輩の魔力だけでは転移出来ないのですよ。なので、協力願えないかと思いましてね。ご挨拶させていただきました]」

「[で、どう貸すんだ]」


「[あなた方の魔力は吾輩よりかなり大きい。魔力を周りに噴出していただくだけで充分です]」

「[こちらが、対価を要求してもいいか?]」

「[おお、吾輩に出来る事であれば何なりと]」


「[小悪魔の退治に協力してほしい]」

「[吾輩、研究者であって、小悪魔と闘える程強くはないのですが?]」


 よくそんなんで小悪魔を追って転移したなあ。


「[研究者なら小悪魔に詳しいのだろう? 情報はないのか]」

「[分かりました。情報面での補佐なら吾輩にお任せあれ]」


 探知で調べても嘘はなさそうだが、探知に頼り過ぎるのは良くない。

 しっかり観察と考察をしなければ。


「タカ? 僕たちには何を言ってるのかさっぱり分からないんだが、説明してくれるかい」

「ああ、分かった説明するよ」


 俺は皆に説明するのであった。

次回更新は火曜日21時になります、よろしくお願いいたします。

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誤字報告機能は恐ろしく便利で、あっという間に直ったと思う。履歴も何も残らないので後確認とかできないので、思うです。次からコピーを取ることにでもします。(今まで考えたらずでした)

せっかくご指摘いただいたのに確認出来て無いなんて、すみませんでした。

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