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0051.必要を予測する力

誤字報告ありがとうございます。気づき次第直させていただいています。大変助かっています。

「はっはっは、らっしゃい」


 俺はまたハルパの装備屋に来ていた。


 今日は学校が五時限だったので、家に帰り急いで着替えてやってきたのだ。

 ちゃんと金貨を携えてだ。


「兄ちゃん、また来ると思っていたぜ。それで今日は何がご所望だい」

「状態異常が防げて目立たないが動きやすい、いい装備が欲しい」


「くわっはっは、ワシは賭けに勝ったぜ。はっはっは」


「ちなみに、その賭けと言うのは? 聞いてもいいか?」


「ああいいぜ! この辺りは強い魔物が居ないのでそんな高級装備の防具はあまり必要とされてないんだよ。女への贈り物は別だぜ。女の高性能な服は男の愛の証だからな。そこにはな、なんとしてもお前を守ると言う意志が込められている。とされていて、もらった女も大喜びだ」


 まあ、その意気込みは大切なのかもな。

 この危険そうな世界ではダイヤの指輪より価値が有りそうだ。

 俺は何も知らずにプロポーズともとれる行動を……。


「男物は違うぞ! 男は自力で買ってこそのステータスだ! まあ、そこまでする男はこの辺には少ない。実際この辺だと魔物の生息域が遠すぎる上に使いこなせる魔力もちも居ない。つまり事実上実用性は皆無だ」

「ふむ」


「だがな、兄ちゃんは、女への贈り物とはいえ五着も買った。数を間違えて仕入れていた物で、危なく不良在庫になる所だった最高級品の防具をだな。そこでワシは考えたのさ。ただの贈り物ではなく実用が有るからやむを得ず買ったんじゃないかってな」

「それで」


「兄ちゃんの装備は高級品だ。しかし、その防具は見栄え重視で実用的ではないし魔法効果が有る程じゃあない。違うか?」

「いいや、その通りだ」


 地球ならバイクに乗るとかで実用品だけど。


「すると、兄ちゃん本人も実用的な装備が必要なんじゃないかと思ってな。ワシは賭けたのさ!」

「おおっ」

「さあ、兄ちゃん! 急遽飛竜便で取り寄せた最高級防具がヘルメット手袋ブーツも合わせた一式ここにある。しめて、中金貨二枚と金貨一枚だ。これでどうだ!」

「お~!」


 高いっ!


「兄ちゃん、これはな、魔法による耐久度や防御力アップだけじゃなく魔力の集中を助けることで、使用魔法の効果アップや耐性アップを劇的に起こせるぜ。その上に防水性、排水性と通気性を兼ね備え、腰まで水に浸かっても中に水は浸透してこないぜ! 暑さにも寒さにも非常に強く着心地がいい。


要所にミスリルをあしらう事で高防御と高耐性、高機動を兼ね備える大賢者様による付与魔法も掛かった一品だ。もちろん魔法による体型アジャスター機能付きだ。もちろんヘルメット、手袋、ブーツも同程度で強い。このお値段でこれほどの装備、中々お目にかかれないぜ」


 女にはまず着せて見せ、男には機能を語る。

 流石だ店主!

 探知で調べても、どうだ! 凄い品だぜ! とどやる事以外ないようで嘘も、悪意も、探知を防ぐような魔道具っぽい物も見当たらない。


 まあ、魔道具に関しては本当の所は分からないがね。


 だが黒い迷彩柄がカッコよくてサバゲーにも使えそうなデザインと要所に輝く金属がまたいい。


 バイザーとマスク一体型ヘルメット、あまり見ない形ではあるが、薄いので小さく派手過ぎず。

 普段はマスクやバイザーを上げて顔をちゃんと見せられることが出来るのもいい。


 この店主、やり手過ぎるだろう。


「まあ、奥で着て見てくれ」


 奥には鏡と簡単なクローゼットがあった。

 着替えてみると劇場版マ〇ロスの戦闘機用宇宙服をジャケットとパンツにセパレートしもっと薄く現代ミリタリー寄りにしたようなシルエット、そして魔力が集約されていく。


 いい、高いだけの事はある。

 今まで着ていた革ジャンは暑いのを我慢して着ていたが、これは暑くない。


 もう買いだ。

 すでに金銭感覚は麻痺していた。


「毎度ありー♪」


 店主は笑顔で俺を店から送り出した。そうは言っても。

 町では目立つかなと思ったが、甲冑や、金属プレート、革鎧など着ている輩もさほど珍しくもないのか、誰にも注目はされなかった。


 日本だったら好奇な目で見られること請け合いだ。ヘルメットも被れば職質から逮捕案件だな。

 だが、ここではスルーだ。

 平和そうなこの町でも、どれほど戦闘が身近なのかわかる気がした。弱いとはいえ、魔物が居る世界だからなあ。

 仕方ないか。


 そういえば、ダンジョン以外の魔物とは戦った事がないなあ。

 ダンジョンの別出口のあたりに居たっけ。

 あれはどこら辺になるのか? 

 今度行ってみよう。


 新しい装備に着替えた俺を見て妹が。


「なんだか、お兄ちゃんの方が良さそう」

「そんな事ないんじゃないかな?」

「お兄ちゃん怪しい」


 妹はいぶかしむが。


「お兄さんカッコいいですう」

「タカにおうとるで」

「二人とも、ありがとう」


「(くっ、内在魔力量が違う。後出し有利は何をしても同じか! 今更新しい物が欲しいとは言いにくいかな流石に)」


 瑪瑙さんは小声でぶつくさ言ってるな。聞こえてるぞ。

 その装備だってくそ高いんだからな。

 仕方ないじゃないか、有る物しか買えないんだよ。


 まてよ、他に有るかないか聞いてないな。

 しまったこれじゃ確かにただの鴨だ!


 探知に頼り過ぎだ! 正直、馬鹿すぎる。

 済んでしまった事は仕方がない、切り替えるぞ。


 だが、これで第三層も攻略可能だな! 頑張るぞ……。


 どう言ってみても自己嫌悪で辛いのは消せないな。


 はあっ。次の日、瑪瑙さんが夕方に来ていたので、食後一緒に第三層まで行ってみた。

 恐る恐る、踏み出してみたがしびれない。


 装備を新調した成果はあるようだ。


「ほほう、これがホブゴブリンか。笑止、貴様らなど敵ではない。急急如律令、わが前の邪を滅せよ。降魔光」


 瑪瑙さんは張り切って二体程倒すとレベルアップしたので、彼女を第二層へ戻し残りを俺達で倒す。


 この装備はいい! 魔法の発動が速いし精度が高くなっている。


 そのおかげで、罠も発見できるようになっていた。

 動きやすさも今までの服と段ちだ。


 ホブゴブリンは結構大きな核を残して消える。


 この核、売れないだろうか?

 アンと手分けをして拾い集めてみた。


 売れるといいな。

次回更新は金曜日21時になります、よろしくお願いいたします。

楽しんでいただければ幸いです。

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