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0045.装備を整えよう

 妹たちのジャージ姿は、どうやら悪目立ちするようなので、この世界で歩いていてもおかしくない冒険者用装備をそろえようという事になった。


 装備代は高そうで、幾らいるのか分からない。

 悪い予感がするのでざっくりと多めに各種金貨4枚ずつウエストバッグに入れて転移してきた。


 えっと、ざっと計算すると4500万円以上! ひええ! まさか? いくら何でもこんなに掛からんだろ。

 豪邸が買えるわ! 持ってき過ぎたかな? ビビッて脚が震えとるわ。


 あいつらは俺を置いて先に進んだようで、ここにはいない。

 ちょっと離れた所から声が聞こえてくる。


「ようよう、姉ちゃん達、変わった格好だな。さっきまで居た奴の奴隷か何かか?」

「へっへっへ兄貴いいカモでっせ」

「なーなーとっとと攫っちまおうぜ」

「ほら、かわいい姉ちゃんたち。そんなダサいカッコしてないでワシらについて来いよ! 今の主人より絶対いい思いをさせるぜ!」


 遠目に見ても、ごろつきだと分かる三人組が妹たちに絡んでいた。

 ああ俺が離れたとたんこれだ。


 やっぱり、装備を買わないとまずいようだ。

 考えてみれば、この人数で皆ジャージだと日本でも目立つかもしれない。


 ケイとアンが居るから大事にはならないと思うけど。


「何言ってんだこいつら?」

「さっぱりわからんな」


 ああっ! 俺は頭を抱える。

 言葉分からなくても、襲われそうなことには気づけよ。


「待てよ、俺の連れに何しようとしてるんだ!」


 俺は急いで妹たちとごろつきの間に立つ。


「へっへ、金持ちのボンボンのおこしだぜ」

「ワシらよう、吸血鬼に女攫われて、女日照りなんよ。痛い目に遭いたくなかったら金目のもんと一緒に女を置いていきな!」


 町中にもこんな奴ら居るのかよ?

 勘弁してくれよ。


 周りには誰もいない。

 皆関わりたくなくて逃げたんだな。


 結城さんの目が輝いていて危機感のかけらも感じない。

 危険不感症だなこいつら。


「アン、右の奴任せた。後は俺がやる!」

「はいニャ」


 俺たちはスッと加速しごろつきの三人に腹パンを決めた。


「うごっ! げほげほ、おげえ~」


 三人は這いつくばりゲロを吐きながら苦しんでいる。

 汚いな!


「見た目だけで判断しない事だな。もうこんな事するなよ! アンお疲れ。行くぞ、皆」

「ああ、お兄ちゃんカッコいい」

「ぽっ!」


 しまった! 妹と結城さんが。あああ! いらない好感度を上げてしまった。


「アンはこの位平気だニャ」

「わたくしも出番が欲しい!」


 いや、生気吸収はオーバーキルだから町中じゃちょっと使えないだろ。

 見る奴が見ると分かるかもしれんしな。

 吸血鬼と疑われでもしたらめんどくさい事になる。


 少し行くと人通りが増えてきて、お店も数件見えてきる。

 中心部付近だ。


「あそこニャ! あそこで装備売ってるニャ」


 ”武具のことなら!ハルパ装備”


 ポップな看板だな。

 大丈夫か?


「では、入ってみよう」


 店に入ると、いかついおっさんが。


「らっしゃい! どんなものをお求めで?」


 うおっ! いかついおっさんがニコニコしすぎるとキモイ。

 うんっ、なにか探知に掛かるぞ! 

 なになに?


『鴨だ、鴨がねぎしょってやってきた。3倍くらいで吹っ掛けてやろう』

「やっぱりいいです」


 回れ右して、後ろから付いてくる面々を押してお店から出た。


「お兄ちゃん何で?」

「そうだぞ、ケチはいけないぞ!」

「うち、装備ほしいわ」


 妹、瑪瑙さん、麻生さん、がそれぞれに不満を漏らす。


「まてまてって! あいつ3倍位ぼるつもりで満々だったぞ。別の店にしよう」

「ええっ、客の顔見てぼるって商売人の風上にも置けん」

「ひどい店だ!」


 とは、俺、瑪瑙さんと妹。


「ごめん、にいちゃん。アン他の店知らないニャ」

「アンせっかく紹介してくれたのにごめんな、別の店をゆっくり探そう」

「そうやで、アンちゃんは悪くないで! 悪いのはアコギな店主や!」


 麻生さんがアンを慰める。


「お客さん、店の前で営業妨害は困りますな!」


 すっかり営業スマイルが消え悪い顔になった店主が出て来た。

 会話の内容なんかほとんどわからないはずなのになぜ出てくる? 


 ああ店の前で大きな声で騒げば出てくるか。

 めんどくさい事になったなあ。


 こんな場合は魅了が簡単でいいんだが最近どの位効くか、よく分からないんだよね。


「この町に装備屋はうちだけだ。四の五の言わず買え!」


 なんて、高圧的な! 独禁法はないのか?

 個人店に独禁法が関係するのか知らないけどね。


 でも、皆の装備は欲しいな。

 ええいっ、こんな悪徳業者どうなってもいいじゃないか。


 やってやるぞ! 俺の一方的な事情による性格改変だ! 

 魅了を1/1000の出力で試してやれ。


 安易だとののしる奴は勝手にののしれ! って誰に言ってるんだ俺。


 結果魅了を試してみると効果絶大だった。

 店主は少し赤くなると、少しの間逡巡していたが。


「えっと? おほんっ! お客様先ほどは大変失礼いたしました」


 と謝り悪意も消えていた。


 どうやら力加減は良かったようでさほど強く掛かってはいない様に見えるんだが、凄いな魅了。

 魅了を使う魅力に俺が魅了されそうだ。


 流されない様気をつけねば。


 えっ? もう十分流されているって? 

 まあ俺は我儘だからそうなのかもしれない。


「お兄ちゃん魅了を使ったのね。気を付けないと今にひどい目に遭うわよ」


 おやっ、なんで妹が魅了の事を知ってるんだ?

 まあいい今は装備を買わねば。


「この五人に動きやすくて、町でも目立たない防具をお願したいんだが」

「そうなると、小金貨じゃ足りねーぜ。金は有るのか?」


 俺は金貨を一枚見せる。


「毎度ありいっ」


 店主は機嫌よく皆の装備を見繕い始めた。

 なかなかに値が張るなあ。

 ヤンキーどもがまともに装備がそろってない訳だ。


「結構高いな」


「対魔物対策組合に所属出来ると、格安で手に入れられるらしいぜ。まあ、軍隊程じゃあないが、就職するようなもんだから義務も多いし、入るのにテストも有るらしいがな。この前の吸血鬼騒ぎで人手不足らしいぞ。で、どうする? ここで買っていくのか?」


 皆学校もあるんだ、義務が多いのは困るな。


「買うから見繕ってくれ」

「分かった、任せてくれ」

「この辺りの組合ってどんな感じなんだ?」


「魔対組合か? そうだなあ、この辺は普通強い魔物が居ないので大して強くないなあ。時々非正規の手伝いの募集もしているぜ。まあちゃんと戦える奴なんざ少ないから、あまり集まらないらしいがな。はっはっは」


 短期アルバイトみたいな物かな。


 今はフレッドの遺産が有るからいいけど、いつまでも有るわけじゃないから、条件によってはやってもいいかな。


「こんなもんかな、そこの奥で着替えることが出来るぜ。着てみなよ」


 とカウンターに装備を並べた。


「やったあ!」


 と皆喜んだ。


「カッコよさそうニャ」

「冒険者みたいうふふ」

「うちも着てみるわ」

「動きやすそうではあるな」


 と妹、結城さん、麻生さん、瑪瑙さんの順でカウンターから選んで、店主が指差した奥へと消えていった。


 皆嬉しそうに受け取っていたな。


「なあ、あんちゃん。短剣なんかどうだい? これ見よがしにぶら下げさせとけば、ハエ共が寄ってきにくくなるぜ」


 商売うまいな、確かに良い提案だ。


「分かった、一人一本ずつ頼むわ」

「毎度ありい♪」


 まあいいか。


 俺は慣れない大金を持っているのですっかり金銭感覚がマヒしていた。

「なあ、あんちゃん、☆→★なんかどうだい。これ見よがしに上げとけば、エタりにくくなるぜ。もちろん、デメリットなんかないぜ」

次回更新は明日21時になります、よろしくお願いいたします。

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