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0042.陰陽の実力

 変なおじさんが住み着いていたアンの家に入ってみる。


「うっ、臭いニャ! しかも、汚いニャ!」


 どうやら、掃除などせずに暮らしていたらしく、ごみが散在しほこりも積もったままだった。

 アンは木窓を開けて回り掃除を始めた。


 家財道具は一通り残っているようで、荒らされている訳ではなさそうだ。


 さて、俺も掃除するかね。


「これはゴミニャ、これもゴミニャ、これは、コップニャ、流しが皿の山ニャ!」


 あのおっさん、もう少しきれいに使えよな。

 二人で掃除していると、アンはたまったゴミをダストシュートの様な穴に捨てている。


 なぜか尋ねると


「この奥に魔道具で外に出られないスライムがいるニャ、ごみや汚物を食べてくれるニャ」 


 へ―! それは便利だ。

 ゴミ回収車の巡回など気にせず家の中で処分できるとは、もしかして日本よりも暮らしやすい?


「魔道具とはどんな物なんだ?」

「よく分からないけど、魔法効果がある道具ニャ」


 なるほどだから町がきれいなんだな。

 魔道具とやらには興味があるな。


 もちろん戦闘用の物もあるんだろうな?


 魔法の種類も知りたいな。

 焼失魔法だと威力が有りすぎて使いどころに困るし。


「アン、本とか売ってるかい?」

「この町には三軒ほど本屋が有ると聞いてるニャ。行ったことが有るのは一軒だけだけどニャ」

「魔法の本とかあるかな?」

「分からないニャ」


 アンはてきぱきと掃除をしながら答えてくれた。


 アンスラルドに行ってからでもいいか。


「これできれいニャ」


 手で流れる汗を拭うアンは満足そうないい笑顔だ。


「暑くなったにゃ~! 汗だくニャ」


 そう言えばここまで走ってきた上に掃除やら何やらでよく動いたので汗もかいたな。


「にいちゃんも汗だくニャ。これで体を拭くといいニャ」


 俺にタオルのような布を渡すと、アンはおもむろに上着を脱ぎ体をふき始める。

 アンはまだ小学生の様な身長なのにぐっと胸が大きい。


 俺は汗を拭くのも忘れアンの裸体から目がそらせない。

 またもや精神の奥底から邪悪な欲望が沸き上がって来ていた。


 アンの躰を舐めるようにじっと見ているとアンが怪訝そうに近づいて来て。


「にいちゃん? ここが辛そうニャ」


 えっ! なんだって? 


 アンは俺の前にかがむと。


「アン、これの対処法を母ちゃんに聞いた事あるニャ。アンに任せるニャ」


 アンは何を言っているんだ? 


 アンのざらっとした舌で舐めると、とんでもなく尖鋭な快感が俺を襲う。

 その強い刺激に耐えられない! 


「うっ!」

「いっぱい出たニャ! あっ! これは結構いける味ニャ! でもまだまだだニャ。アンもっと頑張るニャ」

「あっ!」


 …………。


 えっと、何があったんだっけ? 

 そうそう、掃除が終わったんだった。


「むふ~! 気持ちよかったニャ。それにこれは病みつきになりそうな味ニャ♪ 機会が有ればまた頑張るニャ!」


 アンが何故だかすごく機嫌がいい。

 なんでだ? 


 何か手に柔らかい気持ちいい物を触った感触が残っているような? 

 記憶に空白がある気がするような。


 いや、ああそうかアンは家に帰れてうれしいんだよね。


「さて皆の所へ行くか」

『ケイ今どこにいる?』

『現在、ダンジョンに居ます』

『ありがと、そちらに行くよ』

『はいお待ちしております』


「よし転移するぞ、アン」

「行くニャ」


 ダンジョンに着くといつも通りスライムを攻撃している三人と、一人無双する瑪瑙さんが頑張っていた。


 瑪瑙さんは二階に進むべきかもね。


 結城さんも魔法が使えるまでもう少しのようだ。


 ケイが俺を見つけて、近づいてくる。


「やあ、ただいま。ケイ」

「タカ様どうでした?」

「いやあ、盗賊が出てね。逆に金をもらってしまったよ」


 ちょっと離れたところでスライムを攻撃している結城さんが、走り寄って来て。


「えっ盗賊出たんですか?」


 どんだけ盗賊に興味あるんだ。


「そうだね、でもその辺のヤンキーに毛が生えた程度だったよ。剣も持ってなかったし、魔法も使わなかったし」

「そうなんだー」


 と結城さんはちょっとしょんぼりした。


「アンの生家まで行って掃除してきたよ。なっアン」

「他人が住んでたんで追い出してやったニャ」


 アンは得意げに語った。


 皆は、魔物狩りをちょっと中断して集まってきた。

 

「へえ、ちょっとの間、誰も居ないと他人が住んじゃうなんてびっくりだね」

「うん、杏ちゃん。アンびっくりした」

「そうなんだ、アンちゃんもびっくりしたんだ」

「でもあれだね、有効な魔法位打てるようにならないと、あちらは危険だね」


 と俺が言うと。


「そうなんや、うちもっと頑張るで」

「私もやるわ、ラノベ的冒険の為に」

「よし、あそこのスライムを撃破だ、ゴー!」


 麻生さん、結城さん、妹の三人はスライムに向かっていった。


 よく飽きないな?

 でも蛇やスケルトンや狼などにはまだ勝てないだろうし、仕方ないね。


「タカ様、ここはわたくし一人で十分です、瑪瑙さんとアンを連れて第二層を攻略されてきてはいかがでしょうか」


 ケイが提案してくる。


「そうか、悪いな」

「いいえ、わたくしは、タカ様が強くなった分だけ強くなれるようなので、分散しても大丈夫かと」

「なるほど、じゃあ悪いけど頼むね」

「はいタカ様」


 瑪瑙さんはいつの間にか結構遠くで魔物を狩っていた。


「おーい! 瑪瑙さーん!」


 瑪瑙さんがこちらに向かって走って来る。


「はっはっは、ふう、何だいタカ?」

「聖も一緒に第二層へ行かないか?」

「その言葉、待っていた! さあ早く行こう」

「第二層には罠も有るから、後ろについて来て」

「分かった」


 瑪瑙さんは神妙にうなづく。

 しかし、瑪瑙さん魔力量がかなり増えてるなあ。


 レベルアップにも慣れていて、もう寝ないで済むようになっていた。

 聞けば広域の降魔光破陣でスケルトンをまとめて倒したようだ。


 やはり、スケルトンは美味しいよね。


 第二層の灰色な入り口を罠の手前ぎりぎりまで入り剣を抜いていると。


「何もたもたしてんのよ!」


 瑪瑙さんが俺を抜いて一歩踏み出そうとしている。


「危ない!」


 間に合わない! と思ったが、アンが瑪瑙さんを何も言わず横に突き飛ばしていた。


「何するのよっ!」

「これを見るニャ」


 アンは、瑪瑙さんが踏み出そうとした所に小石を投げると、小石は地面に落ちずもっと下へ落ちていき、落とし穴が見えた。


「……中に剣が立ってる……アン、ありがとう。死ぬところだった」

「どういたしましてニャ」


「聖、危ないのでそう言うのは止めてくれるか」

「わるかった。気を付けるよ。そうだ! こういうのにいい式神がある。使ってみるか?」

「ああ便利なら使ってみてくれ」


「急急如律令、式神よ我の命に従い、仮初の命を宿せ、身代わり式、地、空、探」


 三枚の札を出し言霊を唱え、どこから出したのか三枚の大きな紙に札をくるみ宙に投げると、投げた紙が犬型、鳥型、鼠型、の三体の式が顕現した。


「これで、式を先行させれば、ほとんどの罠が分かるよ」

「それは便利だねえ」

「魔力を使い続けるので、前の僕ではこんな感じで使い続けられなかったけどね。今の僕なら問題ない」


 鼠が先行し犬と鳥が後を付いて行く。

 俺も万が一に備え前作った地図を出し見ながら付いて行く。


 すると、鼠は忙しそうに左右にちょろちょろ走り回る。

 何かを発見したようで鼠が止まり、合図する方に犬が向かって行き穴に落ちた。

 がすぐ上がってくる。


 犬がその場に居て足を一本罠の上に出してを踏んでいるので、罠が開きっぱなしだから分かり易いな。

 ネズミは次の罠を探して走っている。


「あの鼠の式は探知を増幅して一点に集中できるんだ」


 なるほど、それで俺にも探知できない罠を見つけられるのか。

 凄いな! 


 今度は鳥が矢に貫かれた。

 しかし、ものともせずその場で羽ばたいている。


「式はバラバラにでもするか、焼かないと止まらないよ」


 なるほど。


 すると前方からゴブリンが一体やってくる。


「待ってました、急急如律令、わが前の邪を滅せよ。降魔光」


 瑪瑙さんが札をシュッとゴブリンに飛ばし札が光ると、ゴブリンは消滅した。


「ふふん♪ こんなもんだ」


 瑪瑙さんが得意げに笑う。

 これはもう瑪瑙さんだけでもいいんじゃないかな?


 複数魔物が出た時以外は瑪瑙さんが倒していく。

 瑪瑙さんが10体位魔物を倒したら体から煙がプスプスと出始めた! 

 その上フラフラし始めたので急ぎ撤退することにした。


 いくら楽しかったとはいえ無理し過ぎだ。

 煙が出ているが、大丈夫なのかこれ? 


 心配だな。

 人虎や吸血鬼? じゃあないんだぞ! 

 辛いなら早く言えばいいのに。


 と俺は自分の事を棚に上げ思っていた。

 これは回復に時間が掛かりそうだな。

「ふふん、こんなもんだ。評価くれよな」瑪瑙さん居丈高すぎ。失礼いたしました。

次回更新は明日21時になります、よろしくお願いいたします。

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