0040.異世界の町へ
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「お父様、お母様、お初にお目にかかります」
お昼に家に帰って来て、昼食を食べに食卓へ皆で来ていた。
父さんはもう食卓に着いておりケイに声を掛けられビックリして言った。
「君は、えっと透けてないかい?」
ガチャーン、母さんがお盆を落として駆け寄ってきて
「あなたが、ケイちゃんね!」
と言って抱きしめた。
「はいお母さま!」
父さんは一瞬やっちまったかと言った顔をしたが、母さんの所に歩いていき
「母さん、ケイちゃんが苦しそうだ。その位にしなさい」
と母さんの肩をポンとたたいた。
「あっ、ごめんなさいね。苦しかったよね」
「いいえ、大丈夫ですわ、お母様。お父様もありがとうございます」
ケイも嬉しそうだ。
麻生さんと瑪瑙さんは訳が分からずポカンとしていて、妹とアンは少し羨ましさの混ざった複雑な笑顔だな。
しかし、魔力はケイの存在のほとんどだから、あまり消費するとしんどいだろうし消失の危険さえ有りそうで怖いな。
気を付けるよう後で言っておこう。
魔力で疑似体を作った感じになるのかなこれって?
まてよ、似た感じな奴らを知ってるぞ。
そうだ、ダンジョンの魔物に感じが似ている。
とすると、ダンジョンでケイが敵と見なされないのは……。
いや、この件はケイには黙っておこう。
感動の昼食後、異世界の街に繰り出す為洞窟の近くの寒村へと移動した。
フレッドの部屋からちょっと失敬した箱には大、中、普通、小、極小の金貨が5種類あったが。
金に青と赤い紋章の様な物が揺らめく、いかにも魔法で作りましたと言う見た目の硬貨だ。
今回はその中から小金貨と極小金貨の2種類を数枚ポケットに入れてきたので、非常時でもたぶんお金に困らないはずだ。
フレッドの知識だと金貨の他に。
大銀貨、中銀貨、銀貨、小銀貨、銅貨、小銅貨、鉄貨、小鉄貨、貝貨、小貝貨、石貨が有り。
石貨1円、小貝貨5円、貝貨10円、小鉄貨50円、鉄貨100円、小銅貨5百円、銅貨千円、小銀貨2千円、銀貨5千円、中銀貨1万円、大銀貨2万円、極小金貨5万円、小金貨10万円、金貨50万円、中金貨100万円、大金貨1000万円
と割と複雑だが日本に近い貨幣価値だ。
そして、極小金貨は無くしそうな程に小さい。
通常は食料品などと生活必需品には上限価格が決められており。
生活必需品は安いがちょっといい服など手のかかる商品は日本よりかなり割高なようだ。
安い果物一個なら小貝貨1枚とか位で有るらしい。
鉄貨までは自作し放題なのは変わった方式だと思う。
貨幣を作って生活する者もいると言う。
でも完全放置では無くて。
見本が有って、見本に見えるように作れれば公的な通貨買取商に買い取ってもらえる。
通貨買取商で硬貨に魔法の刻印を打って通貨の完成だそうだ。
フレッドは転生者なのでこういった細かい知識がそろっていて便利だな。
しかし、他人の知識は分かり辛いな。
明確にこれは何だ? と思うか偶然分かるかでしか活用できない。
ちょっと疑問に思ったくらいではヒットしない場合が多いのだ。
フレッドは、きっと真祖に吸血鬼にされたんだろうとは思うが、たぶん真祖の知識も入っていて今まで本能だと思っていたのがそれだろうと思う。
こちらに来て直ぐ寒村入り口で探知してみた所どうやら現在無人のようだ。
吸血鬼が居なくなったので撤収したのだろうか?
「ここは、また閑散とした所だな」
瑪瑙さんは呆れ顔。
それを聞いてケイが閑散としてしまった理由を説明する。
「吸血鬼が退治されたので撤収したようですね」
「なるほどねー吸血鬼の餌だったちゅう訳か」
なぜか麻生さんが真相らしきことを言い当てた。
「美香姉ちゃん、よく分かるニャー」
アンが感心していたので嬉しくなった麻生さんは得意顔だ。
「伊達に、吸血鬼に攫われてないよってにな!」
どや顔で言ったが、それって自慢にはならないのでは? と少し思ったのは秘密だ。
「この先の丘を越えれば人里が見えるよ」
俺は移動を促し、皆で歩き始めた。
「おお凄い」
丘を登りきると広大な畑がひろがっていて、遠くに町が見える。
あれがアンスラルドかなあ?
「なかなかだね」
「壮大やわ」
「素敵、異世界っぽいです」
「田舎ね」
それぞれに感想をいただいた。
しかし、妹よ! そりゃあそうだがお前の感想は味気ないな。
ケイが索敵を終え。
「タカ様、あちらに人が見えます」
俺に報告し、俺も確認する。
「数人畑仕事中だな」
「僕には、何も見えないぞ! 目もいいんだな」
瑪瑙さんには見えないようだった。
「まあ、あちらに向かって行こう」
どどっと一気に丘を降り終わると皆ぐったりしている。
アンとケイを除いてだが。
「ああ疲れた! もう歩きたくないよー!」
妹は天を仰ぎ座り込んでいる。
「あっつ~い!」
妹が服の胸の部分を摘んででバタバタとあおいでいるので、はしたないぞと怒鳴りつけそうになる。
が欲望が勝ちつい胸元をのぞき込んでしまいピンクの小粒までしっかりと確認する。
やばい超元気になって来てしまった!
ジャージをグッと持ち上げてしまってジャージのゴムの上からこんにちはとのぞいてしまっている。
いかん!
慌てて周りを見ると結城さんと麻生さんは下を向いてへたり込んでいて、瑪瑙さんも目をつむり肩で息をしていた。
ジャージを引き上げ隠すが大丈夫! 大丈夫ばれて無い。
静まれ3.14592653589732……。
と思っているのはタカだけでそんなのを見逃す皆では無かった。
こそっと横目で元気いっぱいな大きさを確認されているのだった。
(うち思うんやけどあれって大きすぎんか? いや他を知らんけど)
(タカ! こんな所で! 馬鹿じゃないのか? やっぱり一緒の行動するの止めたほうがいい? でも強くなりたいし。う~ん?)
(お兄さん! 凄いです! このあいだ偶然見てしまった元気なお父さんの比じゃないです!)
(お兄ちゃんったら私であんなに元気になっちゃって。いいのよそのまま私を襲っても)
しかし、皆に合わせてゆっくり歩いたつもりだったんだが早すぎたのだろうか?
振り返ってみると丘と言ってもそれは寒村から見たからであって、こちらから見ると普通に山で曲がりくねった悪路だった。
これは、無理をさせてしまったようだ。元気そうなのはケイとアンだけだ。
「すまなかった、休憩も入れず長距離歩いてしまってたなあ。いったん帰るか? 先の町に着いたら迎えに行くから」
「えっええ、そうしていただければ……」
結城さんは死にそうな声で答え、皆は無言で頷いた。
「わたくしが転移して連れて帰ります。タカ様はこのままアンと町を目指してください。皆が元気になったらダンジョンでレベル上げでもしながら待っています。アンいいですね頼みますよ!」
「ケイ、分かったニャ! アン頑張るニャ」
「じゃあ、頼めるか」
「はい、皆さん帰りますよ。近寄って手を出してください」
皆、よほど疲れたのか、のたのたと寄ってきてケイに手を差し出した。
「では行きます」
そう言ってケイは皆を連れて帰っていった。
「じゃあアン、行こうか」
「うん、にいちゃん!」
アンは元気いっぱいの笑顔だった。
周りには広い畑が広がりぽつぽつと石造りの家が建っている。
農家の家だろうか?
車が1台くらいは走れそうな広い道を南に向けて二人でゆったり歩いていると、アンは退屈になったのだろう。
「にいちゃん、走っていくニャ」
「そうだな、ゆっくり行っても仕方ないな」
そこまでスピードを出さず、ぼちぼち走っていく。
次回更新は明日21時になります、よろしくお願いいたします。
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