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0038.ヴァンパマン

 放課後何時もの面々で与太話をしている時。


「タカ、結局吸血鬼事件はどうなったのう?」


 と、ショウが吸血鬼事件の話を切り出して。


「ああ、あの件なら一応の落ち着きを見せているよ。終わった可能性も高いんだが。又ある可能性もまだ無くなってないよ」


 俺は応える。

 冬二には実感がわかないらしくて。


「けどよう、まさかこの科学万能の時代に吸血鬼騒ぎが起こるなんてありえんだろ?」


 まあ、俺も異世界での出来事は夢のようで実感がわきずらい。

 しかし、色々な感触が体に残っており、事実だと認めるしかない状況だ。


「冬二、でも、現実にあったんだ信じるしかないだろう」

「そうだのう、否定しても安全にはならないのう。危険だと思って対処しておけばいいんだのう」


 ショウは、現実として受け止めているのだろうか?


「まあ、タカが言うんだし疑ってはないんだけどさー。でも、あるだろう? こう分かっていても信じられないこの気持ち」


 なるほど、冬二は信じてはいてくれてるんだな。


「分からんでもないのう」

「おお友よ分かってくれるか」


 感激した冬二はショウに抱き着いた。


「突然なんだのう! 気持ち悪いのう」


「よおっ、タカ昨日はありがとう。今日もよろしく頼むな! ふふん♪」


 何故か瑪瑙さんが要らないことを言って去っていく。


「昨日? ……」

「今日のう? ……」


 二人の視線が険しくなり俺に集まる。

 これは、確信犯だよな! あの女マジでシバキ倒してやろうか。


「瑪瑙さん、異常に機嫌がいいのう?」

「タカ、吐けこの野郎!」

「さすがに許されんのう」


 冬二は目を血走らせて首元を掴んで迫ってくる。

 ショウもその横で今にも殴り掛かりそうだ。


 そう、国とかに知られれば実験体にでもされかねないレベルアップや魔法など本来は広めるべきではない。

 杏子のバカが知らなくてもいい人まで連れ込みやがって。

 だが俺も人の事は言えないかもしれんな。


「……分かったよ、今晩来いよ。ただし危ないぞ!」


 二人ともへっ? と言う顔になり、驚愕の顔に変わった。


「あの強盗が入ったコンビニに助けに入るタカが危ないって!」

「や〇ざの事務所で脅されている人を躊躇なく助けに入れるタカがのう」


 冬二は驚愕しショウは難しい顔で考え込んでいる。

 そして、二人は顔を見合わせて。


「僕、遠慮します」

「そうさのう、俺もやめとこうかのう。タカに無事来週も会いたいのう。気を付けるんだのう」


 二人は俺の事を何だと思っているのか? 問いただそうかとも思ったが、二人の言う事にも少々覚えがあったのでやめる事にした。


「まあ、聖さん美人だが、恐そうだしタカに任せるわ。(そして、尻に轢かれて不幸になれ)」


「そうだのう、人柱になれ! タカ」

「なんだとこいつら!」

「わータカが怒った~」

「待てよ、俺も逃げるのう」

「待て! コラー」


 脱兎のごとく逃げる二人を追いかけるのだった。





「今日は美香と聖に魔法の使い方を覚えてもらおうと思うんだが、どうだろうか?」


 俺たちはダンジョンにレベリングに来ていた。


「うちは、めっちゃ魔法覚えたいわあ」


 麻生さんはやる気十分で。


「僕には余りメリットがないような気もするが?」


 瑪瑙さんは懐疑的だ。

 なので俺は利点を説明する。


「札がない時や急な事態の時に、便利じゃないかな。あと、きっと魔法の方が発動早いと思うし」

「なるほど、なら覚えて損はないか」


 そう、札を使う陰陽は保有魔力以上の魔法を正確に効率的に使えると言う凄い利点があるように見える。

 しかし、正しい札を持たねばいけないし、口上も必要なのだろう。


 速さといつでも使える利便性の面だけは魔法が優れていると思う。


「二人は魔力を感じられるかい?」

「うちは、少し感じられるで。ケイちゃん見ようとした時からな」

「僕はプロだよ、その位感じられるさ」

「なら魔法はそんなに難しい物じゃないよ。ある程度以上魔力があれば使えるみたいだから」

「ほほ~」

「二人とも魔法が使える魔力量になったから。使ってみたら? って感じなんだ」

「僕の魔力量とこの女の魔力量が同じだって? 心外だな」

「うちは、この女じゃないの! 美香よ! そう呼んでね」

「ああ、わかったわかった。美香そう睨むな。僕は聖だ、そう呼びな!」


 ピリピリしてるなあ。


「まあまあ、ここは、ダンジョンだよ何があるか分からないからもめないでほしいな。それでね、魔法なんだけど。人や魔法によって発動可能距離や魔力使用量や使える魔法が違うことも有るので、出来るようになったら色々試してみるといいよ。ちなみに俺は一般的な感じの属性魔法が使えないよ」


「じゃあ、タカは何が使えるんだい?」

「そうだな、例えば、聖光とか光破とか聖属性と言ったら良さそうな魔法が使えるよ。自分にもダメージ食らうけど」

「光破と言うと降魔光破陣の事か」

「うん、あの時覚えさせてもらったよ」

「むむむ、しかし、吸血蝙蝠モドキのはずなのに使える魔法がマッチしないな? 吸血鬼と言うよりも人と吸血鬼の合の子だな。言うならばヴァンパマン!」


 流石にそれは嫌だったので俺は全力で拒絶した。


「いや、それカッコ悪いからやめて!」

「そうかなーいいと思うんだが」

「聖それ50年前のネーミングセンスやわ」

「なんだとー! むぐぐ」


 瑪瑙さんが顔を真っ赤にして怒っている。


 髪の毛が赤いし服も赤系統だから、真っ赤っかだな。

 いや遊んでる場合じゃない。


 他の四人はスライムを槍で小突き回してるし、スライムは何故かどんどん湧くので無限に戦い続けられる。

 そろそろ始めたいな。


「始めるよ」

 

 俺は手のひらを上に向け右手を出し、手のひらの上に魔力を練ると。

 麻生さんと瑪瑙さんは俺の手を探る様に凝視する。


「こんな風に魔法を発現したい所に魔力を練る」

 

 二人とも手を出し魔力を練り始める。

 二人ともうまいな。


「水や火などをイメージし、魔力を変質させる」


 俺は手のひらの上に焼失魔法の青白い炎を発現させた。


「こんな感じに」

「うーん、なんかむつかしいわあ、イメージが纏まらへん」

「そうだな、難しいな」


 俺が魔力の供給を止めるとフッと炎が消える。

 麻生さんも瑪瑙さんも試行錯誤を繰り返しながら悩んでいるようだ。


「最初から大きい火を出そうとせず、まずは小さい赤い火をイメージしてみて」

「おっ、出来た! ふふん♪」


 瑪瑙さんは小さい火を手のひらの上に発現させ得意顔だ。


「まだまだ、魔力が少ないようだから。僕は魔物を狩りに行くよ」


 そう言って瑪瑙さんは走り去っていった。


「悔しい!」

「美香、聖を気にしても仕方ないぞ。あれは世界でも指折りの術者らしいからな。そうだな、もっと魔力を凝縮させる感じで。そうもっと凝縮するんだ」


 麻生さんは魔力をそのつたない制御で凝縮させていく。

 そしてついに小さいが赤い火が手のひらの上に灯った。


「やったー! 出来たで~。うちにも魔法が使えたんやー!」


 麻生さんはがばっと俺に抱き着いて喜びを見せる。

 俺はこんな時でもその躰の柔らかさとぬくもりに欲情してしまった。情けないな俺は。


「やったね! おめでとう」

「タカのお蔭やありがとうな」


 抱き着いている麻生さんは俺を潤んだ瞳で見上げ見つめあう二人。

 麻生さんの瞳がゆっくりと閉じていく。

 時の流れがゆっくりになっていき、麻生さんの整った顔が段々と近づき少し荒い息遣いを感じていた。


 そして俺も後頭部がジンとしびれ理性が緩やかに停止してゆく。

 俺は、雰囲気に流されゆっくりと唇を麻生さんに寄せていった。


「のわぁっ!」

「なに?」


 もう少しでキスするそのタイミングで、そんな雰囲気に待ったをかけるかのように瑪瑙さんが突然俺の背中に縋り付いた! 


「なあ~、タカ~、僕ね~」


 肩を持ち背中に顔を付けるようにぶら下がり腰のあたりに瑪瑙さんの胸を感じる。

 えっ! 何事? 俺は一気に現実に引き戻された。


「どっどうしたんだ聖?」


 あっ危なかった! 

 まだ付き合う決心も無いのに麻生さんとキスをしてしまう所だったよ! 


「眠くってもう目も開けられない~」

「……しょうがないな聖は。麻生さんちょっと聖を寝かせてくるね?」

「えっ? ああ、いったっしゃい」


 麻生さんは赤くなり慌てて俺から離れ照れていた。

 そんな仕草がなんだか凄く可愛い!


 聖を俺の部屋まで連れていきベッドに寝かせる。

 この作業はいつもそのまま伸し掛かってしまいそうな邪な俺の心との戦いだ。


「ちぇっ。惜しかったな~。もう少しやったのに! 聖め邪魔してからに……タカ♡」




「ただいま美香。他の魔法も試してみるかい?」

「そうやな。よろしゅう」


 それから麻生さんはいろんな魔法を試してみたが水や土の物質を作る魔法は魔力が足りず、電気は難しいので、風を吹かす事だけ成功した。

 しかし落ち込みもせず。


「うち、ますます頑張るで~!」


 とやる気満々だった。

私もますます頑張るでー、しっしかしテンションがピンチだ。だっ誰か応援を。

次回更新は明日21時になります、よろしくお願いいたします。

楽しんでいただければ幸いです。

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