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0029.屋上は封鎖、普通だよね

 ここは、生徒が普通出れない昼休憩の校舎の屋上。

 今日は天気も良く気持ちい風が吹いてい居心地がいい。


 しかし、なんで瑪瑙(めのう)さん、屋上のカギなんか持ってんの?

 普段はカギ掛かってて外に出られないよね。

 瑪瑙さんは、うすら笑を貼り付けて話し始める。


「木戸君、単刀直入に聞こう。君は何者だい? そんな大きい魔力持ってて知らないとは言わせないよ!」


 ああ、やっぱり、これは面倒くさい事になった。


「きゃっ!?」


 バシッとセリフを決めドヤ顔になったところで強い風が吹き、瑪瑙さんの短めに改造されたスカートが見事にめくれたのだ! 


 おっ! 薄いピンクだが、普通のパンツだ! 

 紐パンとかきわどいの履いているのかと期待してしっかり見てしまった! 


 瑪瑙さんは慌ててスカートを押さえるが今の俺の動体視力と記憶力は伊達ではない。

 しっかり脳内に記録させていただいた。

 後で有効利用しよう。


 ここは屋上確かに時々強い風が服がこれは又神タイミングで吹いたよなあ。


 ナイスだぜ! 


 瑪瑙さんの顔は真っ赤になりうろたえている。

 派手な外見とは違って案外普通の子なのかもしれないな?


「おい! 見たのか?」

「えっ? 何の事だ」

「くっ! この野郎とぼけやがって……で? 君は何者なんだい?」


 瑪瑙さんは一拍開けて落ち着くと何事も無かったかのように振る舞い質問を繰り返した。


「さあ、何者なのかこっちが知りたいね。俺は何者なの?」

(くだん)の吸血鬼じゃあないのかな?」

「なぜ、そう思う?」

「勘だ!」


 決め顔できっぱり言い切った。

 何この人、単細胞にも程が有りますよ。


「じゃあ、瑪瑙さん君は、何者なの? 先生方の協力がないと此処には入れないよねえ」

「僕は政府からの依頼でこの件を調べに来た陰陽師だ!」


 居たんだねえ。

 この世界にも不思議な力を行使する人。


「残念ながら俺は件の吸血鬼ではないよ」

「じゃあ何だい? 人間じゃあないよね君は」


 突如剣呑な表情になり、札の様な物を懐から取り出して戦闘態勢を彼女はとる。


「俺は何かの化け物だと言うのかい?」

「とぼけるな吸血鬼だろう!」


 瑪瑙さんは怒鳴り上げる。

 これは全く話が通じない。

 一体どうしたものかねえ?

 ここはよく晴れたお天道様の下なのに。

 吸血鬼が無事にいれる場所ではないはずだ。


「急急如律令。魔の力を滅ぼしたまえ。いでよ神馬(しんめ)


 彼女の持つ札が輝きだし次元の壁を越える波動の魔力を感じる。

 なかなか上手い魔力変調だな。

 あれなら彼女の魔力は次元の壁をすんなりと越え、その先の何者かに意思を伝えれるだろう。

 果たしてどんな物を招喚したのだろうか?

 

 すると、巨大な魔力を内包した影が見え始め、俺は緊張と恐怖で表情が固まり冷や汗を流す。

 が、その神々しい波動を見るとなぜか恐怖が薄れていった。

 空間に縦の裂け目が入り、その裂け目から次元の壁を越え白く輝く羽をもった馬がやって来ようとしている。


 おおっ! すげー次元転移って傍目に見るとこんな感じなのか?

 

 ヒヒーン!


 嘶きとともに召喚された神馬に向かって瑪瑙さんは命令した。


「神馬よ我を助け、魔を滅ぼせ」


 神馬はきょろきょろと周りを見て、ブルルッと鳴き俺に向かって頭を垂れた。

 何これ可愛い、顔をぺろぺろ舐めるよ。

 俺が首筋を撫でると機嫌良さそうにブルルッと一泣き。

 可愛い! 

 ふっさふさで綺麗な毛だ。


「何故だ? 神馬よ魔を払え!」


 神馬は瑪瑙さんを振り返って見ると、左右に首を振り転移して帰っていった。


「どうしてだ? 神馬よ僕ら瑪瑙家の守護神たる御身はなぜ僕を見捨てて帰ったのか!」

「あ~、俺があなたの言う魔の物じゃないから、とは考えないので?」


 彼女は新しい札を取り出し。


「なんの! 急急如律令、魔を払う光よ魔を焼き破壊し尽せ」


 まさか聖光か? やばい。

 が、逃げても正体がバレるかも? やばい。

 詰んだか。


「クックック覚悟!」


 彼女はニヒルに微笑み


「降魔光破陣」


 6枚の札が飛び俺を囲んで光を放ち始め輝きを増す。


 ピカーー!


 俺を中心にして強烈な光が辺りを包んだ。

 うわーっと叫びそうになるのを何とか堪えていると。


 ん、多少ピリピリして痛いが赤くなる程度で済んでる。

 これは聖水よりかなり弱いな。

 ビビッて損したぜ!


 この魔法俺にも使えそうだ。

 奴らとの戦いに役立つかもしれない。

 名前が恥ずいな。

 縮めて光破と呼ぼうそうしよう。


 光がゆっくりと薄れていく。光破漸も出来そうな気がする。


「えっ! なっなんで無傷なの?」


 彼女は両手を握りしめ、まるでボクシングのファイティングポーズの様な、神を拝む様な、格好で縮み込み涙目でプルプルと震えている。


 いくら何でもビビり過ぎだろう? 俺は何もしないよ!


「あっあれは神馬召喚に次ぐ瑪瑙家最強の奥義なのに……」


 あれほど強気だった彼女のあまりにも違うありさまに、そのギャップに萌える。

 などと馬鹿なことを考えても仕方ないか。


「瑪瑙さん、これで終わりなら俺行くね」

「待ってあなたは、何なの?」

「だから言ったろ、なんでもないって、吸血鬼でもないよ。瑪瑙さんも馬鹿なこと言ってると授業に遅れるよ。じゃあね」


 だって仕方ないだろ、俺にも良く解らないんだから。






 僕は瑪瑙聖(めのう ひじり)、瑪瑙家最強であり次期当主だ。


 瑪瑙家は日本にいくつか存在する降魔(ごうま)家で最強を自負する。

 つまり僕は日本で一番の降魔師なのだ!


 まあ世には出ない個人の強い降魔師が居ないわけではないだろうが、それでも神馬と契約し降魔光破陣を使いこなす僕は、降魔師の中では世界でも有数の力を持つと言われている。


 その僕が政府の依頼を受け集団行方不明を解決するためにこの町にやってきた。

 その後いくら捜査しても尻尾さえ掴めない巧妙に隠れた吸血鬼を見つける為に潜入捜査をする。 


 年齢から無理なく潜入するには地元学生に化けるのが一番なので政府が用意した学校に転校することになった。


 政府もこの未曽有の霊瘴事件を解決する為に必死なのだ。

 政府はこの事件を霊障だと断定するのが遅すぎた。

 若い女性たちが洞窟で血を抜かれ死亡するという2次被害を出し、やっとその事実に気づいた。

 今は、映像機器やインターネットの普及で霊障事件の隠蔽さえも難しい世の中なので必死になる訳だ。


 今日このクラスにやって来て自己紹介をした後、背筋が冷たくなるほどの魔力を探知した。

 かなり巧妙に隠しているようで、この目で見るまで僕は全く気づかなかった。

 こんな化け物がこんな所へ白昼堂々と居るなんて! 

 これ程の魔力を持つならたとえ吸血鬼であっても、日の下で自由に行動出来る事が不思議ではないと思える程だ。


 だがまだ僕が招喚する神馬様の方が強い。

 奴がもっと強くなる前にここで退治しなければ。


 吸血鬼は強く狡猾だ。

 その驚異的な身体能力も魔力も半端ではない。

 ものすごく巧妙な嘘もつける。


 僕、個人の魔力では全くかなわない。

 僕に奴が倒せるだろうか、奴が僕を舐めて力を使わない内に神馬様で決着をつけるしか方法はない。

 いくら何でも行使に時間のかかる降魔光破陣は張っているうちに逃げられるだろうからな。


 やった! 奴をおびき出すのに成功した。

 後は話でごまかしながら魔力を練り、神馬様を招喚できれば勝ちだ。


「急急如律令。魔の力を滅ぼしたまえ。いでよ神馬」


 よし、やった賭けに勝ったぞ! 召喚成功だ。


 ヒヒーン!


 力強い嘶きと思に現れたのは強大な力を持つ神馬だ。

 あんな奴などひとたまりもない。

 さあ偉大な神馬様奴を倒してください。


 えっなんで奴を攻撃しないのですか? 神馬様! 


 不味い降魔光破陣の準備だ。

 しかし、神馬様はまるで奴に懐いたかの様だ。

 神獣様が魔物に懐くなんて夢でも見ているんだろうか?


「何故だ神馬よ魔を払え」


 僕の呼びかけにも答えず、神馬は首を振り帰っていった。

 なんて事だ! だが降魔光破陣の準備は出来た。


 逃がさないためにに奴に話しかけ時間を稼ぐ。


「降魔光破陣」


 こいつはバカなのか逃げずにボーっとしている。

 やったこれなら当たるぞ! 飛ばした6枚の札が奴を囲み光輝いた。


 これが当たれば、もし倒せなくても手傷を負わせる事が出来るはずだと思っていたのに、無傷だと!


「待ってあなたは、何なの?」


 彼は僕を殺すことなく去っていった。

 おかしい僕が間違っていたのだろうか?

次回更新は明日21時になります、よろしくお願いいたします。

楽しんでいただければ幸いです。

ブックマークもいただけると本当にうれしいです。

何卒よろしくお願いいたします。

ちょっとタイトルを弄りました。どんなでしょうか?

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