0027.パワーレベリング
「ただいまー」
「お帰りなさいお兄ちゃん!」
麻生さんとうちに帰ったら妹は玄関で仁王立ちをしていた。
だから何で俺が帰ってくるのが分かるのか? この妹は。
「こんにちは、うちは麻生美香や。妹さんやな? よろしゅうな!」
「私は、杏子よ。よろしくね、お姉さん!」
(このお姉さん、結構お兄ちゃんの好みだわ。私、妹で結婚無理だし勝てないかも! 何とか懐柔して私を認めさせないと)
バチイッ!
二人の間に何か火花が飛んだ気がした、が気のせいだよな?
「うっなんか、可愛い。くそっ年を感じる!」
(あかん! この娘には勝てへん! 妹さんやというのに女の勘がビンビン反応するで。でもうちタカのこと諦められへんわ。どないしょう。何とかせんとあかんわ)
麻生さんが何か焦ってるな。
「キョウちゃん、にいちゃん帰ってきたニャー?」
アンが階段を下りてくる。
「わあ~! ほんまに獣人さんだ~! うち感激や~」
緊迫した雰囲気が一瞬で緩くなる。
アンでかした!
「おねえちゃんだれニャァ?」
「うちは美香。メッサ可愛い! なあ、抱きしめてもええ?」
「えっ! 嫌だニャ」
アンは本当に嫌そうな顔だな。
「うーんガックシ」
ガックシって、麻生さんいつの時代の人なんだ?
「誰ニャ? このねえちゃん」
怪訝そうな顔で聞いてくる。
「え~とバイトの先輩で吸血蝙蝠に捕まってた被害者」
「バイトって何ニャ?」
そこからか!
いつまでも玄関で話も何なんで、俺の部屋に移動した。
「はい」
フシュー!
俺は蝙蝠になった。
「わーほんまに蝙蝠になっとるわ!」
楽しそうだね麻生さん。
羽を引っ張らないでほしい。
おや、妹が何やら深刻そうな感じなんだが。
まあ兄が蝙蝠ってショックだよね。
「お兄ちゃん! まさか、こんな事って、許されるはずがないわ! まさか、お兄ちゃんが、私よりかわいい姿になるなんて!」
妹が後ろに雷が落ちたかのような顔で言う。
なんだそりゃ? 心配して損したよ。
「ほんま可愛いなー」
麻生さんは俺をグッと抱きしめ始めた。
シャンプーの清潔なにおいがして彼女の魅力を掻き立てる。
あの~俺本物の蝙蝠じゃないんでそんなに抱きしめられると胸が当たって凄いんだが?
まあ、蝙蝠の姿で欲情しても目立ちはしないが。
「にいちゃんアンも虎になるにゃ」
どうやら、麻生さんの関心を引き受けてくれるようだ。
アンありがとう!
「キャアー! こっちも可愛い!」
ああ、妹まで食いついてしまった。
「うわー! モフモフだー、気持ちいい」
妹がアンに抱き着いてしまったので、麻生さんは俺を抱きしめたままだ。
俺はとうとう淫欲の発現に耐えきれなくなり麻生さんの胸に頬をすりすりし始める。
「あんっ、木戸君、そっそこは! あんっ! 木戸君のエッチ!」
しまった我を忘れて麻生さんの胸を堪能してしまった。
「お兄ちゃんー! 何やってるのよ! 交代よ交代!」
「じゃあ、アンちゃんおいで~」
麻生さんは嬉しそうに俺を離しアンを抱きしめる。
「あまり触るニャ! 暑苦しいニャ!」
「お兄ちゃん~次は私よ~!」
今度は、妹の胸にぐっと抱きしめられることに!
いっ、妹の乳、乳~!
俺はすっかり欲望に支配され妹の乳をもてあそぶ。
「あんっ♡、お兄ちゃんったら。そんなに必死になって♡うふん! うれしいわ♡。もっと、もっと~♡」
大騒ぎだ!
駄目だ止めなければと理性が騒ぐ中、記憶が薄く途切れていく。
それから結構な時間いったい何があったのかなぜかよく覚えていないが、どうやらじっくりと麻生さんと妹にアンともども体をもてあそばれてしまったようだ。
もうだめだ! 耐えられない!
フシュー! と人の姿に戻ると。
「もう、終わりなん、けち臭いなー」
「精神がもちません!」
「アンも元に戻るニャ」
アンが元の姿に戻り裸になる!
「あ~あ、終わりか! 麻生のお姉さんっ! いける口ですね」
「そうやろ! 何や気が合うな~」
俺はと言えばアンの胸は前に見た時よりも大きく育っている気がして、アンが着替え終わるまで目が離せなかった。
こんなんじゃ駄目だ何とかしないと!
その間、妹と話が弾んでいたはずの麻生さんが突然上目遣いにお願いモードなって迫ってくる。
「なーうちも異世界にいってみたいわー!」
「お兄ちゃん私も行きたい!」
「いや、あっちはまだ分からないことだらけだし、危険なんだ」
「あっちには、ダンジョンがあって強くなれるんやろ。うち頑張るさかいに!」
「お兄ちゃーん私も頑張るからー連れてってー!」
うう、何かずるい攻撃だ。
「それに、レベルが上がったら、ケイちゃんとお話しできるかもしれないでしょ」
「わたくしも、皆さんとお話したいです」
ケイまでもか?
「うちもしたいなー」
笑顔が悪い笑顔になってるぞ皆。
だが、確かに一理あるし、ケイと話が出来る人は少しでも多い方がいいだろう。
吸血蝙蝠達も俺に会うのを恐れてかあれからダンジョンで一度も見ない。
第一階層なら危なくはないと俺は判断した。
「分かったよ。だけどちゃんと俺の言う事を聞くんだよ」
とうとう押し切られるのであった。
だが彼女達に身を守る装備や能力はない!
俺達が気を付けてしっかり守らないといけないな!
「そうだな、動きやすい汚れてもいい恰好になった方がいいな。頑丈な服とか持ってる?」
「そんなの女の子は普通持ってないよお兄ちゃん! 私、古くてもう着ないジャージに着替えてくる」
「うち、ジャージ取に帰ってええ?」
「ああ、行ってきなよ」
「ちょっと待っててーな。すぐ帰って来るさかいに」
妹達がジャージなら俺もそうするかな。
軍服に革ジャンは暑くて動きにくいし。
剣はちょっと不似合いかもだがベルトを付ければ装着できるだろう。
そう言えばアンはずっとジャージだったな。
母さんが買って来た他の服も有るがジャージをすっかり気に入ったようだ。
「動きやすくていいニャ。色もかわいいし気に入ったニャ」
との事だった。
「お待たせお兄ちゃん! あれっ? 麻生のお姉さんは?」
「ジャージ取に帰った」
「お待たせ、準備完了や!」
麻生さんも着替えて準備完了だ!
そうなると善は急げと早速俺達はダンジョンに転移した。
「へーここが、異世界のダンジョンかー」
「なんだか暗~い!」
「洞窟なんだから明るくはないよ」
「えっへっへー」
テンションがかなり上がってる二人をしり目にアンがすっかり慣れた様子で。
「にいちゃん、アンが前を歩くニャ」
「そこまでしなくてもいいよ、蝙蝠達だけ警戒しておけばいいさ。さて蛇は素早くてヤバイからスライムがいいかなやっぱり」
そうは言っても第一層のこの辺りは危険が少ない。
でも自由に歩き回ればその限りでは無いが。
「そうですねタカ様。最初はわたくしが生気を吸って弱めたスライムからが良いのではないでしょうか」
「それがいい、まずはスケルトンを狩って、剣か槍を手に入れよう。俺が行ってくるから、ちょっと待ってて。ケイ、アン少しよろしく」
ふふふ、手に入れてから使用機会の無かったこの名剣(銘無し)で狩りまくってやるぞ。
探知すると丁度槍を持っているスケルトンを発見し槍を手に入れた。
「麻生さん、これでスライムを倒しましょう。スライムの中に少し色の違う部分があってそこが弱点なんで、そこを、思いっきり突いてください。ケイが弱めるんでたぶん反撃はないですよ」
「何から何まで難儀掛けてすまんな」
「私もしたい~」
「杏、ちょっと待てよ! では、麻生さん、あのスライムで行こう。ケイお願い」
「はい」
ケイがスライムを弱体化した。
「麻生さん、やっちゃって」
「な~うちだけ苗字にさん付けは仲間外れみたいでさみしいな~。ねえ、美香って呼んで~な~。うちもタカって呼ぶさかいに」
「えっ! そんな恐れ多い」
「ね~! 頼むわ」
「分かりました! 美香! これでいいか?」
「ええ感じや! これからはそれで頼むわ! じゃあやるさかいに。えい! えい! えい!」
麻生さんは頑張ってるけど、やっぱり核にはなかなか当たらないなあ。
スライムを見ていて、スライムには生気がない事に気づいた。
すると生気吸収で魔物から吸っているのは、生気ではなく魔力なのかな?
「あっどうやら当たったみたい。消えちゃった」
やっと当たったので麻生さんもほっとしたようだ。
「次は杏子、はいこれ」
「この槍先が溶けてるわよ」
「おや、本当だ次を探してくるよ」
「にいちゃん、今度はアンが行ってくるニャ」
「じゃあ頼めるかい、気を付けてやるんだよ」
「任せるニャ」
アンは勢いよく狩りに行く。
少々待つとアンは何本も槍を抱えて帰って来た。
「お待たせニャ」
「じゃあ杏子はあれな」
「よおーし、えい」
と言った感じで何匹かスライムを倒したら二人とも熱を出して眠りたがったので家に帰った。
しかし、二人の魔力吸収量が、俺やアンに比べてかなり少ないようだ。
これは時間かかるな。
「おお、なんか体が軽いで」
そんなに変わらないはずではと思うが流石に空気を読んで言わなかった。
「お兄ちゃん次行こう!」
二人は目が覚めるとまた興奮状態になりダンジョンへ。
これを何度か繰り返すと夕方になったので。
「名残惜しいわあ、また明日ね」
と言って麻生さんは帰っていった。
明日は本来で言えば夏休みが明けて授業が始まるはずなんだが、大量失踪事件のせいで始業は先延ばしになっている。
学校ないと不明者発生の発見がより遅くなると思うんだが、いつ学校は始まるのだろう?
なので翌日も麻生さんと妹のパワーレベリングが続く。
何度かレベルアップが済むと妹が。
「集中するとケイちゃんの姿が見えてきた! ケイちゃん美人ねー、お兄ちゃんのスケベ!」
「杏、なんでだよ!」
「ベーだ!」
「うちにも見えるわ、ケイちゃん!」
「そうですか、お二方に声は届きますか?」
「聞こえるよ、頭に響く感じだけど」
「うちにも聞こえるで!」
皆とてもうれしそうだ。
俺も、もちろんうれしい。
よかったなケイ。
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