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0018.戦い終わって

読んでいただいて(人''▽`)ありがとう☆

 洞窟の外で、ケイが見張り番をしていると。


「あっ魅了が切れました! どうやら奴は滅んだようですね。くやしい! あんな奴に操られるなんて、わたくしにタカ様を裏切らせるなんて、許されざる者よそのまま地獄の猛火で焼かれるがいい!」


 タカ様は無事でしょうか? いえ、わたくしのタカ様があんな奴に負けるわけがありません。

 すぐにタカ様の元に向かわねば。


 しかし、思い出すだけで腹が立つ、そうあれは、タカ様がお休みになられたので。

 わたくしは散歩をしながら周りを確認している時でした。


「きゃああ~!」


 女性の叫び声が聞こえたのです。

 何が起こっているのだろうか? 

 行ってみると全裸の男が一人の女性を捕まえている所でした。

 男が全裸で女性に迫れば悲鳴も上がると言う物です。


 無警戒に何と無く調べに向かったのが悪かったのでしょう。

 わたくしはタカ様から気を付けるように注意を頂いていたのに、バカなわたくしです。


 タカ様は、特訓で無理をされて弱っていた。

 だから、わたくし達のきずなも細くなっている。

 そんな時に無理をするべきではありませんでした。

 タカ様が本調子であればわたくしでも始末できたものを。


 そんな最悪のタイミングで奴と遭ってしまいました。


「ほう、面白い霊体だ。誰かの支配下にいるのか? 実に面白い」


 見つかった! 奴は、やばい逃げなくては。


「まてよう、逃げられるものか」


 その瞬間タカ様との繋がりが切れ、奴に魅了されたことが分かったのです。

 分かっていても魅了に掛かってしまっていては言う事を聞いてしまいます。


 精神的には軽い興奮状態になってしまっています。

 気持ち悪いですが抗えません。


 タカ様に助けていただいたときはもっとこう、なんて言うかとても気持ちよくて、幸せな興奮に包まれたのですが、あれが無ければ母様やわたくしの死を思い出した時にわたくしは気が狂っていたかもしれません。

 まあ多幸感と悲しみとで、わたくしの感情はめちゃくちゃでしたけどね。


 奴の拠点である洞窟に連れていかれて見たものは、おぞましい光景だった。

 奴は魅了し連れ帰った女性に服を脱ぐ様に命じると突然犯し始めて、すぐに飽きたのか女性の血を吸い殺してしまいました。


 美しかった彼女は、しおしおに枯れた婆さんみたいになり亡くなりました。

 おぞましい。


「そう言えばそこの幽霊、お前の元主人の名前は?」

「木戸貴志です」


 答えたくもないのに答えてしまう。

 なんて恨めしい、呪い殺すよこの野郎。


「そいつを、ここに連れてこい」

「はい、主人様」


 なんて命令だすんだこのあほんだら!

 こいつはきっと吸血鬼になる前から屑だ!


 そう思っていても、わたくしはタカ様を連れにタカ様の部屋に帰っていったのだ。


 しかし、奴が滅びてよかった。

 奴の知識から銅路も吸血蝙蝠になったと分かった瞬間だけは、つらかったのはなんとなくだが分かった。


 しかし、タカ様を攻撃したことは万死に値する!

 ざまあ見ろです。


 タカ様が見えました。  

 傷だらけになっています。

 すぐおそばに参ります。


 タカ様。




 俺は死闘の末、銅路を倒すことに成功した。


「ふ~」


 と一息ついてから、一拍おいた所で攫われて来ていた女性たちが騒ぎ始める。


「きゃー! 化け物ー!」

「助けてー! 殺さないでー!」

「うわー!」


 これは? そうか俺は今火傷で全身ずるずるになっているんだった。

 聖光による火傷なのですぐには治り始めない。

 奴に攫われてきて正気に戻ったら目の前にこの格好の俺が居ればパニックになるのも分かるが、俺の心はひどく傷ついた。


「そこまで言わなくても……」


 ケイが横にすうと現れ。


「タカ様ひどいお姿です」

『ケイ帰るぞ』


 これ、普通に帰ると目撃とかされて殺人容疑とか掛かりそうだよね。

 彼女らのフォローもしたいが、殺人容疑での取り調べは、堪忍してほしい。

 ここはそう山奥でもないし、この洞窟も浅いので全然周りが見えないほど暗くもない。

 生き残っている彼女たちは攫われてきたままの格好のようだしスマホは誰かが持ってるだろう。

 すぐ救出されるさ。


 だから、新しく思いついた使い方の転移をテストしてみよう。

 今もうるさいパニック状態の洞窟から俺は逃げるように自分の部屋の中をイメージして転移を行った。




「げっ、全裸の変な奴がうろついとるで!」

「まあ本当! キモイわ!」


 すでに真っ暗な時間やけど、まだまだ人通りの多い街中をうちは友達と二人で帰宅中に変な奴と出会った。

 変な奴の後ろには何人かのうつろな女性が付いて歩いている。


 なんでやねん! おかしいやろ。

 周りはなんで騒がへんねん! 


「チャー、逃げるで!」

「何を言っているの? 美香。私とてもきもちいいわ」


 あかん! チャーの様子もおかしい! 周りの奴等全員もや。

 皆目がうつろや! やばい! やばいで! 


「チャーこっちや、お願いやから付いて来てーな!」


 うちは泣きそうになりながらもチャーの手を引っ張り逃げようと頑張ったんや。


「ほら、あの方が来るわ! 美香あなたもおいで」


 チャーはその小さい体で信じられんほどの力を出しうちを引っ張った。

 あかん! 逃げられない! 木戸君助けてっ! 


 目を離した隙に変な奴はもう、うちの目の前に立っていて!

 ……うちは、変な奴に見つめられてからさっきまでポーっと変な奴の言うことを聞いていた。


 親友であるチャーが全裸になるよう命令されていそいそと服を脱ぎ、小柄なのにグラマラスなチャーの肢体が披露された。

 チャーがあれに犯されて、首筋に噛みつかれて血を吸われ死んでも何も思わなかった。


 それどころかあの変な奴を主と思い、先に血を吸われたチャーに嫉妬まで覚えた。

 そんなはずはないのに。

 次には犯されて、血を吸われたいとすら願っている。

 そんな不思議な精神状態や。


 彼が来て、あれと闘っていても、うちはあれを応援した。

 あれが死んでうちらが正気に戻った時、彼はボロボロだった。

 皆がパニックになって騒ぎ始めた。


 チャーが殺されてしまった悲しみに、うちも涙があふれパニクりそうになる。

 うちは助けてくれたのが彼だと思い起こすとパニクらかったし。

 気を取り直し彼にかけ寄ろうと思った時には彼は消えていた。


 先ほどまでの事態、あれは何だったのやろうか。

 ただ皆がパニックから立ち直ったら彼の容姿や名前は内緒にするように言い含めなあかん。


 いやその上に死んだ事にした方がええんかな。

 全身火傷だったし。

 と言うか生きてるよね彼?

 事が落ち着いたら連絡取りたいな。


 犯人は銅路登也これだけ世間に伝わればええ。





「タカ様、申し訳ありません。わたくしタカ様を裏切ってしまいました」


 かなり辛そうな思い詰めた顔でケイは頭を下げた。


 俺は無事自分の部屋に転移する事が出来た。

 体はシューっと音を立て再生していく。

 ついでに熱を持っている感じなのでレベルが上がったかもしれない。

 もう、何レベだか、さっぱり分からんけど。


 あれ程悪そうでも、意思のある人型魔物(元人)を消滅させた罪の意識のせいか、銅路を倒すために聖光斬を放った左手の震えはまだ止まらない。


 仕方なかったんだ。消滅させざるを得なかったんだ!

 俺も運が悪かった場合ああなっていたんだ!


 恐怖と不安を隠しながらケイに言う。


『あれは、仕方ないよ。俺より強い力で魅了を掛けられ眷属の繫がりを絶たれたからなのだから』

「そうでしょうか」


 と、上目遣いでこちらを見る。あざとい、天然であざとい。


『そうなんだよ、だからこの話はお仕舞』


 ケイは、少し黙って何か考えていた。


「このような事態の後で言い難いのですが、タカ様、またわたくしを眷属へお加えください」

『また、なんで眷属に? せっかく自由になったというのに?』

「タカ様との繋がりがとても心地よかったからですね」


 まあ、眷属でないと魔力切れを起こしたりしそうだからなあ。

 今はケイ単体だと魔力の回復が出来て無いみたいなんだよね。

 探知してみると現在のケイはかなり魔力を消耗していて存在が希薄になりかけてる。


 幽霊が動き回ると魔力の消耗が激しいのかもしれないな。

 銅路の魅了では魔力の補充はなかったらしい。

 このまま眷属にならない状態はケイが危険だ。


 しかし、なぜ防空壕だとケイは長く存在できていたのだろうか? 

 全く分からないな。


『分かったよ、ケイ。これからもよろしくな』

「はい!」


 ケイは眩しい笑顔を浮かべ元気に返事をした。


 そんなやり取りがあり俺はケイに魔力を送って再び眷属としたのである。

 今回の事で痛感したのだが、俺は、もっと強くならなければならないと言う事だった。


「あれ? お兄ちゃん。いつの間に帰って来たの?」


 とは昼食に降りた時の妹の言葉である。

 どれだけ俺を見張っているんだこいつは?

 迂闊なことは出来ないな、ここから直転移は夜でもやばいか? 

 その内見つかってつるし上げられる。

 気を付けねば。


 ネットで検索すると、またこの町で集団行方不明発生と話題になっていた。

 今度はさして日を置かず同じ町でしかも、うら若き女性だけの行方不明に、色々と盛り上がっている。

 人の不幸で盛り上がるなと言いたいとこだが、こんなのはいつもの事なので気にしないようにする。


 ニュースになるのが遅いんだよ! 

 もっと早く分かればケイを一人で探索になど出さなかったのに。

 まあ、過保護もまずいけど。

 吸血蝙蝠があんなに強いなんて、ミルス達では歯が立ちそうにない。


 俺も蝙蝠なのに、いったいどれほど弱かったのか。

 そして、あれほどいた蝙蝠をほぼ全滅させた勇者たち。

 先は長いな。


 おっと新しいニュースが上がってきている。

 “某県某市某山中の洞窟にて女性集団行方不明事件の行方不明者が数名見つかり警察が保護、内何名かは死亡の可能性”とある。


 無事保護されたかとほっとしたが、俺の事が警察などにばれるんじゃないかと不安にもなった。

 ばれると最悪殺人犯として追われる。

 そうでなくても、ただの人ではないと解れば何をされるか分ったもんじゃない。

 きっと普通の生活は送れないだろう。

 俺は好きなサバゲーやりながら気ままに生きたいのだ。


 おっと新しいニュースだ“5名の遺体収容、21名の無事を確認不明者なし”うん全員発見され保護された様だ良かった。


「タカ様何を必死に見ておられるのですか?」

『これはインターネットと言って、世界中の情報を見られたりまた自分で発信も出来る便利なプログラムさ。それで世間では今回の事どう伝えるか見ているんだよ』

「なるほど、興味深いです。活動写真の進化版でしょうか」

「まあそんなとこ」


 活動写真ねえ? 

 そういや最近テレビ見ないなあ、家は基本食事中テレビ禁止だし。

 よしテレビも見よう。

 パソコンのモニターがテレビと兼用なのでテレビと切り替える。

 あっ丁度ワイドショーやってる。


「なんで、あんな洞窟に付いて行くかね。最近の若者はバカばかりなのか。あんな所に付いて行けばひどい目に合わされるのは分かった話じゃないかね」


 専門家? 解説者? か何か分からないがおっさんが気炎を吐いている。


「でもねXXさん、自発的に付いて行ったにしては人数が多すぎませんか?」

「それ以外あの大人数どうやって連れていくのかね。簡単には目撃者も無く攫えないよ。金品にでも目がくらんで付いて行ったんじゃないのか」

「世間では吸血鬼の仕業じゃないかと噂も絶えませんが?」


「それこそナンセンスだよ君ィそんなものが実際にいるわけないだろう正気を疑うよ」

「あの町では2度目の集団行方不明ですが関連はどうでしょうか?」

「多分、模倣犯だよ大きな事件が起こると必ずこう言う輩が出てくる」


「□□さんはどうお考えですか?」

「そうですね。最近の若い娘たちのお金や性への緩い認識に問題がありますね。これは今の内閣の教育政策がまずいのです。もっと改革していかなければ……」


 一体何を論議しているのやら? 

 内閣と被害者が悪いみたいになってきているぞ? 

 抑止策とか犯人像についてとかは掘り下げないのか? 


 聞くに堪えなくてパソコンの画面に戻した。

次回更新は16時になります、よろしくお願いいたします。

楽しんでいただければ幸いです。

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