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0015.恐ろしい何か

 防空壕のある小山から、町に出ると周りすべてが物珍しいらしく。

 ケイは飛びまくって周りを見ている。

 しかし、誰も騒がない。

 ケイの事は誰にも見えてはいないようだ。


「タカ様ーこれなんですか~?」


 とかなり大きな声で叫んでいるが誰も気にしない。

 俺もついでに薄い人が時々見えるが気にしない。

 が恐ろしい! ぶるる、背筋に冷たい物が走る。


 幽霊とはこんな感じなのか? 寂しい存在だなと俺は物悲しくなってくる。


『それはね、電光掲示板だよ。字のパターンを電気で光らせるんだ』


 俺の的を射ない応えに納得したのか、しきりにうなずきながらすぐに別の物に興味を示し飛んでいく。大通りに出ると。


「すごーい! 変わった形の車が沢山走ってる~! わたくしは、車なんてほとんど走ってる所なんか見たことなかったのに~」


 俺と話してる時とは違って年相応の話し方で、はしゃぎまわっている姿は凄く可愛かった。

 子供はああじゃないとね。

 と思いながら罪の意識に苛まされる。

 俺のやっちまい癖は治らないのだろうか。


「タカ様~悲しい顔をされてますよ。わたくしもなんだか悲しくなってきますよ」


 いや子供に気を使わせてしまった。

 何してるんだろう。


『いいや元気に動き回っているケイを見て感動しているんだよ』

「そうだったんですか」

『ちょっと他のことも考えていたんで混ざって表情が変なことになっちゃって』


 と言って笑って見せた。


 しかし、周りから見ても表情がコロコロ変わる変人だよな。

 ケイと色々話しながら家に帰りついた。

 あの小山昨日からずっと探知しているが誰も入らない。

 よく山道が残っていたな。

 時々は周りの自治体で掃除とかしているのかもしれない。

 調べないとって、どうやって調べようか?


「わあ、ここがタカ様のお部屋ですか。失礼します」


 そう言いながら扉をすり抜けて入っていった。


「きゃあっ、何かいます」

『どうした』


 俺は急いで扉を開け中を見たら、ベッドに誰か居るって妹だった。


『あ、あ、それは俺の妹だ、だから気にするな』


 妹はよほど寝相が悪いのかまたもや着衣が乱れている。


「えっ! タカ様、ほぼ裸の妹様と一緒に寝て『いや違う、そいつが忍び込んで来ているんだ! 俺の秘密を探る、と称して!』ああそうでしたか、家族内のただれた関係かと勘ぐってしまいました」


 それって子供っぽくない感想だよね。

 何でそんな事知っているんだか、戦中の素朴なはずの小学生くらいの子が。

 まあそれはこっちの思い込みで昔も今もあまり差異はないのかもな。

 そう言えば昔の方が性におおらかなんだっけ?


「まあ、わたくしは、タカ様ほどの方であれば、女性に相当おモテになっても、それが妹様であっても、わたくしは疑問に思いません。お父様も愛妾は沢山居ましたし、モテる男には伴う責任がございます。ちゃんと大切にして差し上げてくださいね」

『だ~全く伝わって無かった』

「ほほほほ、わたくしもお待ちしていますわ」


 もしかして、俺、揶揄われている?


「は~、こら起きろ。杏子」


 俺は気持ちよさそうに眠る妹の頬を軽く指で弾いてやった。


「ひゃう?」

「ほら起きろ」

「あっお兄ちゃん、おはよ」


 まさか、玄関から出掛けても同じ結果が待っているとは、恐ろしい妹だな。


『そうだ、俺の状態もちゃんと話しておかないとな、俺は、吸血鬼の様な違う存在の吸血鬼? なのだが』

「なんでしょうか、よく解らないです」

『そうだよな。中途半端な吸血鬼の能力は持っているんだが、血を吸ったりはしないし、アンデッドでもない』


「お兄ちゃん、どこ見てるの?」


 おっと、妹の事を忘れていたな。


「ああすまんって、早く出ていけ!」

「おっと失礼~」


 妹は、はだけた部屋着を直そうともせず立ち上がるといたずらに舌を出し笑った。

 そして、まるで俺に体を見せつけるかのように此方に出来るだけ体を向けながらゆっくりドアに向かうとやっと部屋から出ていった。


 俺は妹の先ほどのあられな姿を思い出し、ケイの前だというのに欲情しきっていた。

 まずい抑えきれていない! 


(タカ様の異質なリピドーが強くなって悪意の様な物に力を与えている? まずいですわね。ここはわたくしが何とかしなければ! でもどういたしましょう? 幼いわたくしではきっと色香が足りませんし)


 タカの突然の欲情に動転してしまったケイには自分がこの場を離れればいいといった選択肢に思い至らない。


(欲情を発散してもらうにも今のわたくしでは色香が足りないです。ええいままです。幼くてもわたくしは女です。裸体を見せればきっとタカ様にも満足してもらえる、かもです! でも恥ずかしい)


 眷属であるケイには、タカの魂中に欲情を我慢するストレスが主な原因で悪意が力を増し、本当にゆっくりと少しずつ、だが着実にドロッとした気持ち悪い良くない物が広がっていく様がハッキリと分かるのだった。


(わたくしが何とかしなければタカ様は闇へ落ちてしまう。恥ずかしがっている場合ではありません)


「タカ様、わたくし普段自室で過ごす時は服を脱いでリラックスしていましたのよ。ここは自室のように落ち着きますわ」


 ケイはそう言うと着衣が段々薄くなり消えていく。


 俺はケイの、その幼いが美しい姿を食いつくように見つめてしまう。


 十分な食料が無くなっていった戦争末期の子供のはずなのに、妙に肉付きが良く胸はほのかに膨らんでいて腰が括れ始めているのにお腹はポンと出ている幼児とも少女とも言えない躰。


 薄紅色のまだ目立たないぽっちに目を奪われる。

 決してロリコンでは無かったはずなのに、どちらかと言えばお姉さんが好きなはずなのに。

 新た扉が開いてしまったのか抑えきれない欲望があふれ理性が溶けていく。


「いや違う。俺はそんなんじゃない」


 しかし俺はケイから目が離せない。


 ケイは恥ずかしそうに体をすぼませながらも体のどこも隠さない。

 そのしぐさがどうにも色っぽい。


 そしてそのままゆっくりと近づいてくるのだった。


「わたくし、タカ様と二人きりの時はいつもこの姿で過ごすことをお許しください。わたくしタカ様の全てを受け入れられますのよ。欲望の発散にどうぞ」


(ううっ、いかに幽霊と言えど裸を殿方にさらすのはやっぱり恥ずかしいですわ。ですがわたくしがここで恥ずかしがってはいけません。こう見えても80年近く存在する幽霊です。この位の羞恥心など克服できるはずです。でも恥ずかしい。タカ様を悪意から救うためには我慢しなくては。いえこの程度克服して見せますわ!)


 ケイが体の全てを俺にさらしゆっくりと近づいてくる。

 俺はつい手を伸ばして触ろうとしてしまう。

 もちろん手はケイの体をすり抜ける。


 幽霊のケイには触ることなどできはしない。

 だがその存在感は写真や映像の比では無く凄い! 生々しい! 


「さあ、遠慮はいりません、さあ、さあ!」


 抗えない! 止まらない! 俺は欲望に支配されてしまった。


「うっううっ……俺って……恥ずかしい」


 俺は大量に散乱している丸まったティッシュを拾い集めながら呻く。


「わたくし、タカ様のお役に立ててうれしく思いますわ。わたくしはタカ様と一心同体の様なものですのでタカ様がお気になさる必要はありません」


(うふふ、これからも機会があるごとに欲望を発散させてあげなければ! わたくし頑張りますわよ)


 ああ、俺は何という……。

 自己嫌悪に陥るが。

 確かになんとなくだが気が楽にはなったようだ。


 おかげさまで俺は出会って間もない幽霊のケイに深い親近感を凄く強く感じる。

 いつまでもうじうじしていても仕方ない。

 強引にでも思考を切り替えなければ! 


 ヴッヴヴヴーーー……


 しかし、妹もケイの存在に全く気付いてなさそうだったな。

 本当に誰も分からないようだ。ステルス性はばっちりだな。


 そう言えば探知を切れば俺にも分からないのだろうか?

 探知を切ってみると、そこに居る感覚は眷属の繋がりで分かるが、見えなかった。

 探知を始めるとまた見え始めた。


 俺はケイに俺の現状の説明を再開する。

 俺の説明は中々分かり難かったらしく、難しい顔をして悩んでいたケイはやっと少し納得したようで。


「ところどころ単語が解りませんが、なんとなく分かりました。結論は吸血鬼ではない似た何かですね」

『おお中々核心をついてくるな、ケイは頭いいな』

「えへへ。で、タカ様は、どんな能力をお持ちですか? 吸血鬼なら太陽の下を歩けないとか」


『それは、能力じゃなくて弱点な。まあ、最初は陽光に当たるだけで焼け溶けていたけどね、何度も日を浴びたり、魔物を倒して強くなったりして克服したんだ』

「そう言うのってそんな風に克服できる物なんですか、知りませんでした。そう言えばタカ様は吸血鬼じゃございませんし」


『そうだな、後はニンニクとか十字架なんかは平気だね。聖水や聖なる光は未だに弱点かな、その内克服する予定だけど』

「なるほど、聖なる光なんかはわたくしも駄目そうです」


 そうだな、眷属だし同じなのかも。


「能力はどんな感じなんですか?」

『まずはな、こうだ』


 フシューと蝙蝠に変身久しぶりだな。


「きゃあでっかい蝙蝠~あっち行け~」


 と何かを投げる動作をしているな、まだ子供だ。


『待て待て、俺だタカだ』


 フシューと元の姿に戻った。


「へっ、タカ様」


 ケイは涙目だ。


『悪い悪い、蝙蝠になれる能力なんだ』

「タカ様意地悪ですっ、ぷんぷん」

『まあ機嫌直して、蝙蝠の時には超音波カッターが使えるんだ』

「超音波? なんですの?」


『ああ空気の振動を早くして集中させる事で相手を切るらしい。他にも各魔法』


 手のひらにぼっと蒼い火を灯す。


「それならわたくしにも出来そう?」


 と言って簡単に火を出した。


「やったわ、出来ました」


 ケイは嬉しそうだ。


「さすがだねケイ」

「ありがとうございます」

『後は体を治す自己再生と、周りを調べる探知と霧水化、暗視』


 ここまで言ったところで本能が教える。


『と生気吸収?』


 いわゆるライフスティールか。


「私にも探知と暗視、生気吸収は出来そうですわ」

『そ、そうか』


 生気吸収とはこれまた結構恐ろしい能力が二人にあった。

 そして霧水化はスルーだった。

次回更新は明日20時になります、よろしくお願いいたします。

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