0183.太陽の輝き
「あなた、まだ生まれたばかりの子供たちを招喚しても役に立たないであろうから。2週間ほど時間がほしい」
「それはいいけど」
「その間にしっかり躾けておく。その後子供たちを順次招喚してお傍に控えさせてほしい」
生まれてすぐ離れているから教育とかできていないのか。
「その後、海での我々の仕事などを子供に叩き込むので、我の招喚は出来たら最後にしてほしい。勿論必要ならいつでも全員呼び出してもらってもかまわない。我儘を言うようだが、どうだろうか?」
「海での仕事って?」
「全海域での魔力調整が主な仕事だ。魔物や魔獣の駆除なども含まれる。魔力が乱れると空間のゆがみに通じるからな。神世から神獣に任された聖なる仕事だ」
なるほど、あの広く深い海の保全ってわけか。
それは大変そうだな。
しかし2週間って子供と一緒に居る期間そんなに短くてよいのか?
そしてそんな短い間で教育って出来る物なんだろうか?
でも、レイラが言うのなら出来るのかも知れない。
「ああ、こちらはそれで問題ないよ」
レイラは何故かどや顔になりとても満足そうだ。
「ありがとう。では、我らは帰るとする。皆~帰るぞ~」
「はーい」
レヴィアタン達は海の底に帰っていった。
「さよーならー」
騒がしかったヤオ達が居なくなったので、ウズラは少し寂しそうである。
「ウズラ、今日はおにいたんと寝るか?」
「やったー! 今日はおにいたんと一緒にねる~」
うんうん、可愛いなあウズラは。
すると、妹がうらやましそうにウズラを見ていた。
仕方ないなあ。
ウズラと一緒なら妹といえど何もして来ないだろう。
「久しぶりに杏子も一緒に寝るか?」
妹の顔がパーッと明るくなったかと思うと、赤くなって下を向き。
「うん、お兄ちゃん」
強気な妹らしからず恥ずかし気に言った。
「いや、ウズラも居るんだし、そんな意味じゃないんだからね」
「分かってる」
ならいいか。
「にいちゃん、アンも明日でいいから一緒に寝たいニャ」
「いや今日にしよう」
「やったニャ!」
沢山いた方がいいだろうきっと。
ベースの方で寝ればベッドも大きいし。
いくら俺でもウズラがいるのに暴走しないだろう、と思う。
さて、時間が空いたのでフェルの様子でも見に行ってくるか。
『フェルさん、今から様子を見に行ってもかまわないかい?』
『ああ、タカか、いつでもいいぞ』
「ちょっと、フェルさんの所に様子を見に行ってくる」
「タカ、フェルの所に行くならソレガシが一緒に行こう」
「ああ頼む、キセラ」
俺はフェルの部屋の前に転移した。
「フェルさん、入るよ」
「ああ、開いているから好きに入りたまえ」
ドアを開けると、通路には前回来た時よりもゴミがまた増えていて臭いもすごい。
ゴミの中にあるどう見ても生ごみに見える物とくさい臭い自体を全て焼失の炎で焼いておく。
「おっ、臭くなくなった……タカ、ありがとね」
そういって、振り向くフェルは、上半身裸で体をふいていた。
「フェルさん、胸見えてるって!」
「なんだ、タカ? 胸ごときで過剰反応だな……ふむ、一般の男はこんなものなのかな? 聞いた事はある。しかし勇者協会の連中は無反応だったのに。興味深い」
何言ってんだこの人?
いや、異界だからな?
その辺の風習と言うか、倫理と言うか、貞操観念から違うのかも。
いや、違うぞ! 考えてもみろ!
いくら魅力的でも自分を瞬殺できそうな強い女性を堂々と視姦できるか?
いや出来ない。
出来るだけ無関心を装うのは当たり前な気がする。
同格の強さの蒼天の剣にしても、きっと同じことが言えるだろう。
堂々と見てしまうのは、淫欲にすぐ支配されてしまうバカな俺位な物だろう。
だから、今まで気にならなかったに違いない。
にしてもフェルは羞恥心が無さすぎだ。
色々無頓着だし本当に女なのか?
「何故か……馬鹿にされている気がする」
うっ、いやここで何か言うと自白するようなものだ。
フェルはジトーッとこちらを見るが。
俺はなんの反応もしない。
「ちっ、まあいい」
フェルはそう言いながらもお湯に布を浸しながら体を拭くのを止めはしない。
つい俺はじーっとその姿を見続けてしまう。
『タカ、見たければソレガシの胸をいつでも見せるゾ』
『あっありがとキセラ』
『ナニ、眷属として当たり前の事ダ』
いや、そんな当たり前無いし。
『わかった、ソレガシベースでハ、トップレスで過ごそウ。タカの目を楽しませるのダ』
『いや、そこまでしなくていい。気持ちだけもらっておこう』
『ソウカ? 残念ダ』
キセラが始めると皆も始めるかも知れない。
目のやり場が無くなって流石に落ち着かない。
暮らしにくいぞそんな空間。
たまに見えるから良いんであって、いつもだとあき……ごほんっごほん。
えーと、何しに来たんだっけ?
そうそう。
「装備作成の進捗状況はどんな感じだ?」
「ああ、いまは、素材の下処理が終わる所だ……そう言えばちょうどいい、これに魔力を流してくれ」
そう言ってフェルが出したのは赤い魔石だった。
確か鳳凰の魔石っていってたっけ?
だが、なんか形がペッちゃんこにつぶれてるんだけど、大丈夫なのか?
「この魔石はエネルギー用じゃなくて……装備の制御用に性質を変えたものだ。後は持ち主の魔力を登録すれば完成だ」
へ~凄い技術だな。
「さあ、やってくれ」
俺は赤い魔石を受け取り見る。
深い真紅で輝きを放っている。美しいな。
そう思いながら俺は魔石に魔力を流した。
すると、魔石はオレンジ色に輝きを増していき光り始める。
「アマテヌウス……降臨か!」
「すさまじいナ!」
「ああ、その位で良いよ……お疲れ様」
フェルはそう言って俺の持っている魔石を俺の手から取ると白い器の中にコトンと落とす。
魔石は薄く綺麗なオレンジ色へと色が変わっていたが、器に落ちた衝撃でバラバラに砕けた。
「おい、壊れたぞ!」
「いや……これでいいんだ」
砕けて微粒子の様に小さくなっても、その一粒一粒が綺麗なオレンジ色に輝いているのが解った。
「よい、魔力だ……後は加工縫製に3日ほどかかる。その位にまた来てくれ」
そう言ったフェルは机に向かうと一心不乱に作業を始めた。
その横顔は狂気の笑みに彩られている。
「タカ、こうなるとフェルはもう何も反応しなイ。帰った方がいいだろウ」
「分かった、帰ろう。フェルさんまたな」
集中し作業しているフェルの返事はなかった。
上半身裸のままなんだがよかったのだろうか?
過ごしやすい季節になりました。花粉症さえなければ……




