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0173.クジラモドキ

 深海で火魔法を使ったせいで水蒸気爆発が起こり吹き飛ばされたが、深海の超圧力で爆発はすぐ沈静化した。

 そして、沢山いた魔物は全て消え去り、多少混ざっていた魔獣も黒焦げになり吹き飛ばされバラバラに砕けていた。


 まあ、結果オーライではあったが、裂け目の奥にはたぶん何事も起こっていないようだ。

 俺達は裂け目の奥を目指し急ぎ進んでいくが、その前に魔物の魔石は探知で見つけ、全部ベース倉庫へと送っておく。


 ダンジョンに負けない高純度な魔石だ。

 売ればとんでもない額になるんじゃないかな?

 まだ、売ったことないからよくは知らんけど?


 しかし、これほど倒しても眠くはならない。

 でも、リニアな感じで少し強くなっている感じがする。

 もしかしてこれからは分かり易いレベルアップは起こらないのかもしれないな。


『キセラは強くなった気がするかい?』

『そうだナ、少しだけだが強くなれたようダ。強さハ存在力ダ。ソレガシはうれしいナ』


 なるほど存在力か。

 俺達の世界でもこの世界程如実じゃないけど、確かに存在感は大きくなるな。


 何も力だけじゃない。

 性格や成績、何なら稼ぎでもいい、突出したものを持つ者はよっぽどのマイナス面が無い限り存在感を高く示す。

 いや、マイナス方面でも突出した力であれば、いいか悪いかは別にして存在感を示すだろう。


 ようは、どう存在感を出すかだ。


 などと考えていると、赤茶色で大きなクジラの様に見えない事もない巨大生物が数頭折り重なるように海底に張り付いているのが見えて来た。

 近づいて行くと体に無数の傷があり、あの魔物達に襲われここに逃げ込んでいると容易に想像できる。


 結構近づいてもピクリとも反応しないその姿はまるで死んでいるように見えるが、探知にはかすかだが生気と魔力を感じるので生きてはいるはずだ。


 海底まで降り立つとキセラから降りて手近な所にいるクジラを触ってみる。


 なんとか生きてはいるが今にも死にそうだ。


 この生物が敵性なのかどうかリヴァイアサンであるかどうかも分からないが、一か八か一体回復の魔法で治療してみようかと思う。

 敵性生物であれば戦わざる得ないだろうし、もしそうでなく何もしない、もしくは味方の場合どうやって胃袋をゲットするかが問題になる気がする。


 だが、このまま見捨ててはいけない。

 そんな気がした。


 一体一体が500m以上あろうかと言う赤い巨体が何体もいて、ひっくり返った巨大船の墓場の様にも見える。


 一番手前のクジラに手を当て回復魔法を掛けながら栄養分を構築し、血液の中に流し込んでやる。

 このやり方だと眷属になったり、魂に俺を敬愛したりとかの偏向を掛け難いはずだから。

 巨体だけあって少々の栄養と回復魔法では間に合わない。


 回復魔法はいくらでも強くできる。

 だが、栄養は難しい。

 そこで、倒した魔獣の遺体が沢山裂け目の外に転がっているのを利用する事にした。


 転送分解再構成し、体に流し込んでいく。

 するとクジラはむくむくと傷が回復していく。


 小一時間、回復に徹すると赤いクジラモドキは全回復した。

 しかし、何の反応もない。


 もしかして、意思など全くないでかいだけの生物だったのだろうか? 

 ここにいるクジラモドキはどの個体も同程度に傷ついているようなので、俺は隣のクジラモドキも回復し始める。


『タカ、リヴァイアサンを探さなくていいのカ?』

『キセラ、俺はね、我儘な奴なんだ。目の前の可哀想だと俺が思った物は出来るだけ助けたい。もちろんもっと可哀想な生き物はあちらこちらにいるだろう。肉も食べるんだから殺生を否定するわけじゃない。でも、今はこいつらを俺は助けたい。ただの我儘だとは十分わかっているんだ』


『タカ、……それハ、我儘じゃなイ。自然な欲求だと思ウ。だが皆それがしたくとも色々邪魔してみんな出来ないだけダ。ソレガシモ、両親がソレガシを可哀想だと思わなければとっくに死んでいる身ダ。遠慮せず助ければいイ』

『すまないね。ありがとう』


 キセラは照れくさそうに他所を向きながら鼻のあたりをポリポリと掻いた。


 そして、3体ほど助けると異変が起こった!


『わ~ん、わ~ん、恐いよー! 助けて―! お母さーん! わ~ん!』


 とその場付近にいる全員に聞こえる念話で鳴き声が響き始め、全てのクジラモドキがバタバタと暴れ出した。


 いかん、まだ助けて無い個体は瀕死なんだ。

 暴れてはいけない。


『暴れるんじゃない! 死ぬぞ! 暴れるな!』


 と話しかけても全く反応せずに。


『わ~ん、おかあさ~ん!』


 と泣き続けた。


 するとどこからともなく現れた2000m級の巨大生物らしき物が、魔力など少しも漏らさずにこちらに向かってくるのが分かる。

 だが、その動きはサメの魔物等の比ではない早い速度で泳いで来ていて、半端じゃない強さだと解った。


 何でそんな遠くにいたのか? 

 子供たちはこんなにひどい目に遭っているのに! 


 いやまあ生態が分からないので怒っていいかどうかも実は分からないけれど。


 ある程度近づいた時。


「キシャー!」


 と、この圧力の水の中でもしっかり聞こえる雄たけびが聞こえた。


『なあ、キセラ? もしかして俺達不味い状況なのかな?』

『そうだナ、ソレガシ達がやったと思われても仕方ない状況かもナ』


 ですよねー。


 だからと言ってここから逃げるわけにもいかない。


 彼らはまだ、治療中なのだから。


 ゴバアー! 


 と音を立てて揺れる裂け目の上部の水の動きが、激オコな母親の到着が間近な事を示していた。

ううっ!

なかなか書き進められない!

短くてごめんなさい。( ノД`)シクシク…

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