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0013.ベースを見つけよう

「お兄ちゃん、夕ご飯だよ。もしかして寝てる? 起きてきて」


 妹がドンドンとドアを叩く音で目を覚ました。

 俺の居ない間にベットに潜んで秘密を探ろうとした上に寝ていたというのに全く悪びれてはいないようだ。


「すぐ行く」


 うん、まだ少し熱っぽいが煙は収まっており、かなり調子は戻ってきている。

 この程度ならきっと起きていても回復するだろう。

 どの位強くなったか楽しみだ。


 今日は珍しく父さんも一緒の夕食だ。

 父さんもちょっと忙しいらしく、最近ではレアなケースとなる。

 母さんの作ってくれる飯は飯うまいなあ、吸血鬼(本物)にならなくて本当によかったなあ、などと考えながら食事を終えて部屋に戻ろうとすると。


「貴志、ちょっと待て」

「父さん、えっと何?」

「杏ちゃんから聞いたんだが、お前最近家に居ないことが多いらしいな、何やってるんだ! この前倒れたばかりだと言うのにだ」


 俺が妹を見ると奴は目をそらし吹けない口笛を吹いている。

 畜生、チクりやがったなこいつ。


「あの、最近手助けやバイトで友達と遊んでなかったから、予定が詰まってしまっていて色々な友達んちへ遊びに行っていたんだよ」


「じゃあなぜ、玄関から普通に出掛けない?」


「倒れたばかりでさすがに申し訳なくて、それに杏子が見張っていたので見つからないように部屋から直に出かけてた」


 言い訳としてはちょっと苦しいかな? 

 でも確かに杏子は過剰に俺を見張っているよね。

 そう言うのストーカーって言わないか?


「えっお兄ちゃん私のせいにしないで」


 ストーカーした上に父さんにチクったお前が悪いのだ。


「貴志、人のせいにするな。皆お前を心配しているんだぞ」


 父さんにつまらないごまかしは通用しなかった。

 だって貴方の息子は吸血鬼? になりましたとか、異世界に転移してますとか、本当の事は言えないじゃん。

 

 流石に信じてもらえないだろうしね、俺はまだ精神科には通いたくないのだ。

 例えば妹に突然に異世界転移とかそんな事を言われても、まあ俺だって信じられないよ実際の話。


「ごめんね、お兄ちゃん、てへぺろ」


 妹はあざとかった。 


 そんなこんなで部屋から直接異世界へ転移が出来ない困った状況に追い込まれた。

 どこから俺は異世界に行けばいいのだろう?

 服や靴などは大きめのバックパックに入れて出掛けるとして長剣は無理だな。

 即職質から流れるように逮捕される姿が目に浮かぶ。


 軍用ナイフだけで戦うほかないか? せっかくの戦力増強だったのに。

 そうだな長剣はスケルトンから現地調達でいいか。

 あの剣は押し入れの奥にでもしまっておくしかないな。

 でも鞘は欲しいな。

 革でも買ってきて作るか。


 早くスライムと比べて、成長具合を確認したいんだがな。


 俺は逸る気持ちを押えパソコンで調べものだけして大人しく寝るのであった。

 次の日体調も良くなったので出先でダンジョン用の装備に着替えることのできる場所を探知で探し始める。

 すると探知範囲が今までと違う事に気づく。

 おおっ! 広い10km先くらいまで探知できる。


 試しに軽く跳ねたら天井に頭をぶつけた。

 大して痛くも無いし、天井は壊れなかったが気を付けないとな。

 ちゃんと加減しないといろいろな物を壊してしまいそうだからだ。


 気を取り直して、探知再開。

 帰ってくる場合も考えて公衆トイレなんかはダメだな。

 ここ見つかりそうでダメ、あそこも人の入った気配があるからダメ、んっここは空き家っぽいな荒れていて汚そうだが候補に入れよう。


 大体俺に入れそうなところが少ない。

 などと色々探っていると、近くの小山に何年も誰も入った様子の無い昔の防空壕のような場所を発見した。

 入り口も塞いでないし、補強がしてあり傷みも少ない、人通りも無い、しかも結構深く広く掘ってある。


 細かく調べてみたがゴミや草以外は何もない。

 火魔法で焼いてやればすぐキレイになるだろう。

 暗視が出来るので暗いのは問題ではないのでいい感じだ。

 だがさみしいのでランタンでも買って置いておこう。

 いくつかの候補と一緒に2日程程探知で監視して何もなければベースとして過分ないだろう。


 うまい事偽装して誰も入れない場所に出来れば剣の保管場所にもいい。

 これ程、範囲広く探知を使っているのに魔力はほとんど減らない。

 これは成長具合が期待できそうだ。

 魔力をスライムと比べる以外の確認方法は無い物かな?


 さて、防空壕の下見と革を手芸店にでも買いに行くかあ。

 防空壕の近くまで来てみたが雑草が伸び放題で誰も入った形跡がなさそうだった。

 探知で山道から入り口までを調べると、蛇がうじゃうじゃいるよ気持ち悪い。

 魔物と存在感が何故か違う。

 魔力は無いな、毒は有るかもだけど。


 ちょっと離れたところから、別の場所の草が少ない場所を火魔法で焼いてみる。

 長めに焼き続けてもダンジョンでの結果と同じで延焼しない。

 便利だ、火魔法と言うより消滅魔法に近い気もしてきた。

 灰は残るので消滅はしてないのだが。


 まあ蛇の頭だけを焼いてみると蛇の頭はあっという間に灰になった。なかなかの威力だ。

 複数指定できそうなので、全蛇の頭を何回かに分けてロックオンし焼いてみると楽ちんだった。

 ダンジョンの蛇も同じように焼ければいいのにな。

 調子に乗って山道傍以外の草を防空壕入り口まで焼いてみる。

 ばっちりだ、煙も出ずに焼けるので周りにも気づかれない。

 周りには家もないし誰にも見つからないだろう。


 これで入りやすくなったので防空壕入り口まで行ってみる。

 結構しっかりしたドアが付いてはいるがカギは掛かっていない。

 理想的だな俺は色々運がいい。


 中はさすがに色々なゴミがあり汚かった。

 これは一時誰かが秘密基地か何かにして遊んでいたな。

 今度は箒を持ってこよう鍵も準備だな。


 帰りに、大きい手芸屋さんが有る都市部まで出たのでかなり時間がかかったが、しっかりとした厚い大きいサドルレザーが有ったので購入した。

 うう高い、バイト禁止は痛かったな。色々人助けをしていると時々お金が貰えるので、一般の学生よりは割と金持ちの俺でもきつかった。


 革用の糸やポーチにするための金具も忘れず購入。

 家に帰ってからは諸刃用の鞘は作り方が分からなかったのでネットで調べまわり、剣の鞘を作るためチクチクと裁縫した。


 力も以前より強くなっているらしく軍用ナイフの鞘を作った時みたいに前もって穴を開けなくてもすいすいと縫えるのはうれしかったよ。

 両面にナイフカットカービングで小さな星を幾つかと少し大きい星とその流れ刻み、星は黄色、流れは赤と青に染色した。


 我ながら出来栄えはばっちりだ。

 鞘に剣を入れてうっとりと眺めるのだった。

次話 19時 更新予定

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