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0000.1.何が起こっているのか?

『殺せ! 殺せ! 生きとし生けるものは全て滅ぼせ!』


 気付くと俺は、漆黒の闇に浮いて? いた。


 身体がある感覚すらなく星も見えないので宇宙と言う訳ではないみたいだが、いったいここは? 

 俺は死んだのだろうか? 


 そう思っていると、どこからかうめき声が聞こえ始める。


『うう~、おお~、うう~、あ‶あ‶~』


 そして、ヌトーっと絡みつくような気持ち悪い感覚が俺を包み。


『のどが、乾く! 誰のせいだ!?お前のせいか! つらい! くるしい! どうすればいいんだ!?』


 いったい何なんだこれは! 何が聞こえるんだ? 


 ひどく気持ち悪い。

 感覚が無かったはずの体なのにあちこち痛みを感じ始める。


『そうだ人が悪いんだ! 家畜のくせに逆らう人が悪いんだ!』


 いや、そんな事はない。


『特に人は害悪だ! ただの餌だ! 殺せ! 殺せ! 殺してしまえっ』


 人はそこまで悪い存在じゃない! 

 家畜でもない! 

 いや、家畜も悪い存在ではない! 

 感謝をすれど、恨む道理なんてない! 

 入ってくるな! 俺の中に入ってくるな! 


 俺はのどの渇きと闘いながら俺の中に入ろうとする悪意と闘っている。


 “ぐぎゃっやあああ!” 


 バッと鮮血が散るが如く視界全体が一瞬真っ赤に染まり体を引きちぎられるような痛みが俺を襲う。.


 “手っ手が! 

 足は! 

 足はまだあるのか! 


 さっ裂ける! 

 ひぎゃ~! 

 体が裂けていくううう!


 だが見える物はなく確認できなかった。

 そしてやたらとのどが渇く。


『血を吸えっ! 喉の渇きを潤すためには人の生き血を吸え!』


 血なんて据えるか馬鹿野郎! 


 “がああっ!”


 ッ目に指を突っ込まれくり抜かれる様な痛みが走り気が遠くなりかけるが、気を失う事が

 許されない。


 繰り返される痛み、苦しみ。


 いつまでも続くかと思われた苦痛との闘いも突然終わり、声が聞こえた気がした。


『なんだこいつは! 恐怖や苦痛では落ちぬか。なんと手ごわい。このままでは、らちが明かない。俺の魔力も、もうない。どうも大量に攫いすぎたか? 眷属化を終えて魔力を注入できねばいくら素質があっても使い物にならんぞ? あっちの人間には魔力が備わってなさそうだからな。俺の魔力が無くなるまでには何とかせねば! やり方を変えるか。ふふふ。ならばこうしよう。快感には勝てまい! これ程の意思力が有るなら良い戦力になるはずだ……』


 黒い空間は、いきなり薄い桃色の空間へと変わるがやはり何も見えない。


 “おお! 

 ああ、なっなんだ! 


 うう、ああ、あああ!


 ヌトーっとまとわりついていた、気持ちの悪さが、色々な快感へと変わっていき。


『気持ちがいいでしょう。力をお抜きよ~、もっと気持ちよくなるよ~』


 囁くようにそう聞こえた気がする。

 だが視界は桃色一色で自分の躰があるのか疑わしい今、人の気配など感じれない。


 幻聴のような物か? 

 人肌の暖かさと柔らかさがまるで女体に挟まれているように感じる。


 何故か乳房の柔らかさや固くなった乳首などが当たっている感覚だと分かる。

 経験など無いのになぜわかるんだ? 


 “きっきもちいいい!”


 ニュルン! ヌルン! 


 っと体中をくすぐられるような快感が俺を襲い。


 ニュルニュルニュルニュルン! 


 “ふゃあああああ!” 


 その快感の高まりはまるで体中から射精を絶え間なく続けているかのようだ! 


 躰の底から熱い塊が全周域に吹き出しそうな切なくも気持ちいい時間が続いていたがしかし。


 “おっおおおお!おおっ! 出る! 出るうう”

『さあ、気持ちよくなって~。好きよ! 好きなのよ! 愛しているわ。さあ』


 気持ちよさが俺の限界を超えていく。


 “おっ! おっ! おうううっ! うわあ~、止めてくれ! 気が狂いそうだ! お願いだ止めてくれ~! まっまだあっ! ううあああ~!“


 止まらない体中の射精感。そのあまりの気持ちよさに意識がもうろうとし始めるのだった。

 その隙を突き暗い思いが俺に入ってきている。


 やりたい! 本物の女とやりつくしたい! 

 ドス黒い淫猥な欲望が俺を支配し始め、体が快感をもっと求め動き始める。


 ”うへへ! うへへへへ!“


 手をワキワキと動かし探り当てた乳房の様な触感を揉みまくる。


 ”ふへへ、この感触だ! オラオラオラ~ うへーいく~! きもちええ!“


 するとまるで女を蹂躙しているような錯覚を覚えていく。


『そうよ! やればいいの。さあ、やっておしまい』


 ”あはははっ!“


 俺は見えも感じもしない、無いはずの躰を明確にまさぐりまくる。腰の振りも尋常じゃなく動き続け止められない。


『ああいいわ! もっと、もっと! そう思うがままに快感をむさぼりな!』


 俺の中に薄暗い淫欲の悪意が流れ込んでくるのを止める事が出来ない。

 快感に身を任せてしまい意識が段々消えていくのが解る。


『ああ、ああ、……もう、な、何も考えられない、なにも感じなぃ……』


 俺が意識を失う中で小さく消えいる様につぶやく残念そうな声が聞こえていたような気もした。

 俺には内容はぜんぜん分からなかったけど何かいたのだろう。


「ううむ、まだアンデッド化による完全支配には至らないようだ。ようやっと意識を奪う事が出来た。だが、ある側面においては俺の制御下においてなら洗脳状態以上の支配はできているとは思うが。何らかの事態で制御を外れれば我々に敵対しかねない。今、魔力をこの者に与えるには不安があるな。今回の戦力としては役には立たなかったか……。強くなりそうではあったのに、残念だが俺の魔力が持たないし時間切れでもある。仕方ながなったと言う事か。次回があるとするならばこの者を切り札に出来るような良い兵に出来る事もあるだろう」


 やっと意識が戻ったと思ったら俺の視界には上下逆の光景が飛び込んで来た。


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