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0164.ウズラとダンジョン

お待たせいたしました。

 俺は両親にウズラがもう、小さいままではいられない旨を説明した。


「そうか、人種がかなり違うからな。そんな事も有るんだろう」

「最近、ウズラちゃん。精神的にも育ってきてるわ、とは思っていたけど。そんなに成長が速いのね」


 二人とも少し寂し気だ。

 人との成長速度の違いが大きすぎて理性では理解できても感情が追い付かないのだろう。


「でも強く育つ事は、いい事だよ。なっ母さん!」

「そうねお父さん! 貴志、ウズラちゃんの望むようにしてあげて」


 そう言う母さんの目には涙が薄く浮かんで見える。

 嬉しそうにも悲しそうにも見える不思議な表情だ。


 実の子供でない手間のかかる変な子供だった俺を愛し育ててくれた情の深い二人だ。

 数カ月と言えど自分の子供として育てたウズラ。

 思いもひとしおなのだろう。


「そう言えば、父さんと母さんはダンジョンに行きたくは無いの?」

「ダンジョンか? この年になって戦闘とか勘弁してくれ」

「でも、若返れたり体の不調はなくなるよ」


 すると父さんも嬉しいとも、悲しいともとれる複雑な顔をして。


「体が不調でなくなるのは助かるが、杏ちゃんが時々癒しの魔法を掛けてくれるから今は不調なんてないしなー。今は満足していてこれ以上は考えられないかな。母さんと話して決めたんだ。だからこのままでいい」


 えっ、杏子いつの間に。

 ……俺やってないや。


「俺の方が魔力高くてばっちり治せるのに、……ごめん、俺、自分の事ばっかりだ」

「はっはっは、なにを言う! 若い頃は特に自分の可能性を信じて突っ走るのは決して間違いじゃない。今! お前は決して間違っていない! だから、父さんも母さんも応援するんだ」


「そうよ、貴志。杏子は杏子でいい所があり、あなたはあなたでいい所があるの。まだまだこれから学ぶことの方が多いのよ。今のあなたみたいに学んでいけばいいのよ。でもね、あなたは凄い事を沢山成しているの。時間は有限だからあなたのやりたい事を優先するのを今は忘れてはいけないわ」


「えっ、でもそれじゃあ!」


「貴志! 甘えるんじゃない。お前の戦いは大切な者を守る戦いなのだろ? 大切な者なら、大切な者達の生き方を尊重し、認め、その結果はその者の自主性によるものだと認識できる強さを持て! そうでなければ自己矛盾が生じるぞ。目指す方向が狂う事になりかねない。そうならないようにしろ! 今父さんたちがダンジョンに行かないのは父さんたちの選択だ! それをちゃんと尊重できれば何があってもお前は大丈夫だ。お前のせいではないのだからな」


「わかったよ、父さん!」

「ふむ、別に冷酷になれと言ってるわけでは無いぞ! 自分の意思と相手の意思も尊重して助けられる物は助け、助けられなくともお前のせいではないと父さんは言いたいのだ」

「うん、ありがとう!」


 意思の尊重か……俺に出来ているだろうか?

 まずはウズラの意思を尊重していこう。


 そして、ニノはそれまでの悪行が信じられないほど自主的にあれこれ探して仕事をする。

 ミルスやキセラから犯罪奴隷は命令すれば真面目かどうかは別にして働き、悪さこそできないが自ら働くことはないと聞いていたので、ちゃんと反省したのだなと俺は感じた。

 だから、二人ともダンジョンに招待する事にした。


「ニノ、ダンジョンに行って鍛えたりしたいか?」


 ニノは驚き。


「おらも、行ってええだか?」

「いいよ、ウズラと二人で行こう」

「えっ、おにいたん。いいの?」


 横でアンと遊んでいたウズラが喜び。


「やったー!」


 と走り回っり俺の股間当りに抱き付いてきて頬ずりをする。

 どう見ても女の子にしか見えない可愛いウズラにちょうどいい場所に刺激を与えられ段々たまらなくなってきた。


 しかし、まさかここでおっきする訳にはいかない。


「おいおいウズラ。うれしいのは分かるがそこはまずい」

「え~おにいたんなんで?」


 ウズラはキラキラしたあどけない笑顔で頬ずりを続ける。

 なんでって聞かれてもまだ小学生に満たない位のウズラにどう説明しようか。


 このままでは違う扉が開いてしまいそうだ。

 ああ、だがしかしそんな思いを俺の身体は裏切り段々気持ちよくってむくむくとおっきなってくる。


「なんだか、かたーくて大きくなってきたー!」


 うわああ! 幼児におっきされるなんてすっげー恥ずかしいぞ。


「ね、なんで?」

「いっいやそこは刺激されるとそうなるんだ。ウズラも大きくなれば分かる時がくる。だからやめて」


 幼児のウズラにはまだ分からないだろうが必死に説明してみる。


「ウズラ、お兄ちゃんが辛そうニャ。アンが何とかするニャ。ニノ、ウズラを頼むニャ」

「分かっただ。ウズラちゃん。おらとちょっとあっち行ってるだ。ご主人様を困らしちゃだめだな」

「……うん……わかった」


 少し、しょんぼりするウズラをニノが連れていく。


 えっ、どゆこと? 

 状況が理解できず俺が混乱しているとアンは手慣れた感じで俺の股間に手を伸ばしたのだった。


「アンに任せるニャ」

「えっ? ええっ! ちょっアン! あっあああ」






「アンに任せるニャ」

「じゃあ、アンも一緒に行こう」


 ダンジョンの第一層には最近来ていないので新鮮な感じがする。

 L.T会の皆も、もうここで戦っている者はいない。

 スライムや蛇が静かに佇んでいた。


 そうか、違うと思ったら第一階層って近づけば戦闘になるけど遠くから走ってきたりはしないな。

 他の層より確かに安全だったんだなと実感した。


「アン、槍を取ってくるニャ」

「ああ、任せた。アンが帰ってくるまで少し待とう」

「おら達ドワーフは頑丈だから余り気にしてもらう必要がないだ」

「いや、そうは言ってもスライムは消化液を飛ばしてくるし、蛇も飛んでくるから気を付けないと」


「見た感じおらも、ウズラも大丈夫だ。ウズラはすでにおらよりそうとう強いからもっと強い所で戦ってもいいだ。おらは足を引っ張りたくはないだ」

「まあ、とりあえず順々に倒していけばどの位で戦えばいいかわかるさ」

「わかっただ」

「おにいたん! ワクワクするねー」


 うん、戦闘種族らしい言葉だな。

 ウズラは本当はもっと早く来たかったのだろう。

 今まで我慢させてしまったようだ。


「お待たせだニャー」


 アンは数本の槍を持ってきた。うんっ? いつもより少ないな。

 いつもは持ちきれないほど抱えてくるのに。


「旋雷で倒したらニャ。スケルトンの持っていた槍の大半が壊れてしまったニャ。無事そうなのはこれ位しかなかったニャ」

「アン、ありがと」

「はいニャ。二人はこれ持ってスライムの核を突くニャ」

「アン、おらやってみるだ」


 そう言ってニノはくるりと槍を回し、狙いを定めるとサクッとスライムの核を突いた。

 おおっ迷いのない一撃。


 突き出す槍と共に体の大きさに似合わない大きな胸がぶるんと震え、えも言えない妖艶さすら醸し出す。

 進化した俺の目はその槍の穂先の動きも胸の揺れも見事に捉える事に成功し興奮した。


 ニノって妙に色気があるよね。

 両親が行方不明になってから何度も男に襲われそうになったと聞いたが、妙に納得がいったのだった。


 でも、飛竜便で大酒かっ食らいながらの全裸には乳こそ綺麗だとは感じたが他には色香など微塵も感じなかった事も思い出す。

 流石の俺の欲望もただの飲兵衛には反応できなかったと言う事のようだ。


「おら、あの寒村でずっと狩りをしていただ。親に習った事のある槍を持てば石で殴るよりずっと簡単だべ」


 片手で槍を持ち石突を突いて立つ姿は様になっていた。

 一撃で倒したため槍先もさほど傷んでいない。


「ぼくもやる~」


 ウズラはアンから槍を受け取ると隣のスライムに駆け寄り、これもまた一突きで倒した。二人ともやるな!


 初めてここに挑んだ俺より遥かに強い

なんか眠たいです! 春かな?

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