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0160.地球外生物

 太陽系を包む結界を問題なく越えられることが分かったので、3人は結界を越え大きく太陽系外洋に踏み出した。


「転移して接近するぞ。遅れるな」

「はいニャ兄ちゃん」

「ソレガシに乗って転移すればはぐれないだろウ」


 確かに神龍であるキセラは巨大だ、凄天虎であるアンも相当大きいが、凄天虎の4倍はある。

 凄天虎は俺の5倍はある。


 改めてみる2人ともデカいな。

 一番大きいキセラに乗るべきだろう。


「じゃあ、キセラに乗せてもらおうかな」

「転移でない移動速度はソレガシ一番早イ。いつでも乗ってほしイ」

「地上ではアンに乗るニャ」


 二人は結構お互いをライバル視している、のかな? 

 だが俺を乗せる乗せない位で張り合わないでほしいな。


「そうだな、そうしよう」


 だが俺は事なかれ主義で返答をする。

 いくら俺がそう思っても言っちゃいけない奴だと思うから。

 俺達はキセラに乗り転移して、不明な物体に近づいていく。


 太陽系外周はいや宇宙は広い。

 探知できるので近そうに感じたが、かなり遠かったようだ。

 探知で姿が捉えられるまで近づくのにずいぶんな距離を転移した。

 ほぼ光速で移動しているにもかかわらず、ぼちぼち掛かるなと思えるぐらいの距離だ。


 宇宙空間では光速での転移は、ただの移動と言った方がいいのかもしれない。

 で、見えてきた姿はと言うと、大きな岩の塊がうごうごと変形していて、隕石ではないな、と思える不思議な物体が集団で太陽系方面に移動していた。

 石、そうだな見た目は大きな石にしか見えない。


「あれは何だと思う」


 俺は自分に見える映像を眷属の皆に共有してみた。


「アンには分からないニャ」

「ソレガシはゴーレムに近いと思うナ」

『わたくしにもわかりません』

『無機物ですが、生物としての特徴も見えるビャ。ケイ素生物がポキの知識の中で一番近いビャ』


 眷属との疎通はこれほど距離が有っても遅れることは無いようだ。

ふむ、生物なら思考を探知できるかも? 


「だったら思考探知を試みてみよう」


 探知を始めるが大きさに比べて思考が弱いのか遅いのか、読み取るのに随分と時間がかかる。

 そしてわかった結果なんだが。

 悪意は感じられない。

 しかし、善意も感じられずに、ただただ全てを吸収しようという食欲のみが奴らをつき動かしていた。


 悪意が無いスライムみたいなものか? 


 あいつら食欲と言っても何をどの位食べるんだ?

 やっぱり石かな?


 俺は直近のアステロイドベルトから月の500分の1くらいの直径の小惑星を転移し奴らの進行方向直近へ置いてみる。

 奴らの3~40倍の大きさがある小惑星だ。

 さあ奴らはどうする? 


 見ていると、奴らは小惑星に向かって突進し激突。

 音こそ聞こえないがすごい迫力である。

 そして、どうやってか知らないが小惑星を侵食し始めた。

 みるみるうちに小さくなっていく小惑星。

 そして、奴らはどんどんと増殖していた。


 これはやばい! 

 こんなシロアリみたいなやつら太陽系には入れられん。

 たとえ、コンタクトが取れないだけの知性ある生物だとしても、とてもじゃないが受け入れられない。


「あいつら倒すぞ」

「はいニャ」

「ソレガシに任せておケ」


 貪欲に小惑星を食していく怪物どもの後ろに転移し先制攻撃を放った。


「遠雷」


 すでに、キュラン男爵にダメージを与えた轟雷より威力の高くなった、遠雷を一番大きい奴に撃ち込んでみる。


 しかし奴は難なく遠雷を吸収して見せた。

 これは轟雷を撃ち込んでみたところで結果は同じだろう。


 奴らは魔物でもない。

 聖光なども通じはしないだろう。

 奴らは攻撃されたことなど意に介さず、小惑星をひたすら貪り食っている。

 なら、焼失魔法にかけるしかない。


「キセラ、焼失魔法を纏う事が出来るか?」


 俺はブワッと焼失魔法を体に纏って見せた。

 焼失魔法が効くか試す前にキセラに聞いておく。


「いヤ、分からない」

「初めてなら、まず手だけに纏ってみろ」

「分かっタ。タカ」


 キセラの左手に焼失魔法が発動し、キセラもちゃんと纏える事が分かる。

 焼失魔法で奴らを滅ぼせても、纏えなければ接近するだけで体ごと吸収されてしまうかもしれない。


「キセラ、フレイム・バーストだ」

「OKタカ、フレイム・バースト」


 キセラの口が強烈な光を発し、蒼い炎の大きな塊が撃ち出される。

 これが俺達で使える現在最強の攻撃だ。

 これが効かなければ一度撤退して作戦を練るなり、強くなるなりしてリベンジするほかない。


 フレイム・バーストは命中し一番大きい奴の体を半分以上消し飛ばした。

 良し効くな。


「アンも打つニャ」

「アンも必殺技があるのかい?」

「なんか、使える気がするニャ」

「なら遠慮なくぶっ放せ」

「タイガー・バスターニャ」


 アンの眉間の前から強力な蒼いビームが放たれ、アンはビームを放ちながら頭を複雑に振った。

 すると、奴らはビームで切り裂かれ細切れになっていく。


 だが、奴らは多少細切れになっても動きやまず逆に数を増やしていた。

 奴らはこちらから攻撃されていることにやっと気づき、小惑星を食べるのを止め散開しながらこちらに向かってくる。


「俺達も散開し迎え撃つ。焼失の炎を纏うのを忘れるな」

「はいニャ」

「了解」


 しかし、こいつらアンにバラバラにされてもまだ結構大きい。

 俺は今できる最大の大きさで焼失の炎を纏い奴らに突っ込んでいった。


 どんどんと奴らを滅していくが、奴らは少しでも体が残っていれば活動可能みたいで、ある程度以上小さくなると途中から反撃を止め逃げに徹し始める。


 くっ! めんどくさい奴らだ。

 俺は奴らをもっと詳細に探知してみる。


 すると、奴らの本体と言うか、最小単位は数mmの虫のような物だった。

 それが大量に集まってコロニーを作り大きな姿へとなっていたのだ。

 ほとんど石と変わらないのでしっかり探知で精査しないと見分けが出来ない。


 それがほぼ光速の10%まで加速する。

 非常にやっかいだ。


 探知で調べていると分かるが、奴らにはワープや転移の様な特殊な移動は出来ないようだった。

 なら、何もない広大な空間だから逃がしはしないが。


 ならどうやって太陽系にやってきたのか?

 それはどうやら、分離した状態、つまり集合体にはならず気が遠くなるような時間をかけて移動して来たのであろう。


 もしかしたら、結界の存在に気づき集合体になる事で力を増そうとでもしていたのかもしれない。


 こいつら、結界が無くて分離したまま近づいてきていたら、俺達は気づく事もなく容易に接近を許していたかもと思うと身の毛もよだつ。


 10分ぐらいで分離増殖するその姿から完全殲滅するしか防ぐ方法が無い事も分かった。

 分離体の殲滅には本当に時間が掛かったのだ。

 探知で調べながらプチプチと殺していく様は最初の様子からは全く予想できていなかった。


 探知を巧みに使い、完全殲滅とわかるまで広い宇宙空間を逃げ惑う数mmの敵を追い奔走した。

 少しでも残すと太陽系全域が消失する恐れがあるだろう。

 宇宙は広い、やばい奴らがいるものだな。


 殲滅したころには2日以上経過していた。


「ふう、やっと殲滅か?」


 最後に皆でこの辺りをしっかり探知して終わろう。

 俺はまず最大範囲の探知を広げ段々狭ばめながら精度をあげて、出来るだけぬけがないように工夫した。

 アンとキセラは最高速で飛び回りながら近くの宙域を調べて回った。


 これ以上は調べられない、もう奴らの反応はどこにも残っていないな。

 俺達は確信するまで何度も何度も調べた。


「よし、地球へ帰ろう」

「はいにゃ」

「分かっタ」


 俺達はさすがにげっそり疲れて地球へと転移した。

まーた、らーいーしゅう~~!

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