0012.効率的に戦おう
次の日俺はダンジョンに挑戦していた。
ダンジョンは薄暗く荒涼とした大地だが不思議と嫌な感じはしない。
前回までの反省から、探知を魔力が減らない程度に抑えて周りを探る。
半径は60mくらいかな。これなら急襲される事も少ないだろう。
その探知範囲の中にも数十体の魔物が探知されている。
もちろん、罠の事も考えて地形も探知している。
まだ罠らしいものは見つけてないが。
火魔法も試してみる3m先ぐらいまで任意に火をつけることが出来る便利だ。
草を燃やしてみたのだが周りには燃え移らず魔法の範囲のみの草が焼け焦げていた。
普通の火では無い火の様な別の何かだ。
が延焼しないのは使い易く森などの鬱蒼とした場所でも使えそうで火事にはならないステキ仕様だな。
それと強くなったおかげなのか、使い慣れたおかげなのか分からないが、今回の探知では魔物の種類と魔力量がぼんやり解る。
こちらはスライムあちらは蛇。そして蛇はスライムの10倍の魔力持ちだった。
実はスライムすら、今の俺の魔力量より多いことに愕然とした。
魔力量が増えた今の段階で、スライムの魔力量は俺の倍ほど。
あぁ俺はなんて無謀な戦いを挑んでいたのか、知らないとは怖い事である。
探知と再生のチートさが無ければとっくにお陀仏だったな。
危険だ! だがそれを踏まえたうえでも今から蛇を倒そう。
奴は5m位跳ねる、なので6mまでしか近づかない。
その距離だと蛇もまるで反応しない。
「しめしめ」
そして火魔法を飛ばし奴にぶつける。
「火よ行け」
「シャー」
火魔法は当たる物の、ほとんど効かないが奴は怒ってこちらに向かって跳ねる。
が届かない。
ザマーミロ
蛇は続けては跳ねられないんだよ。
落ちて慌てて体勢を立て直そうとしている蛇に軍用ナイフで止め。
グサッ、とな、ふふふ、完璧だ、昨日ずいぶん考えただけの事はある。
後は探知で蛇を見つけ繰り返す単調な作業だ。
俺って天才じゃねっ?
「わっはっはっは」
おっと調子に乗ると碌な事が無いんだった。
俺は気を取り直すと慎重に周りを確認しながら蛇討伐を繰り返す。
5匹ほど狩った所で体が熱くなってきたので休憩するが、熱を感じてしんどくなる一方だ。
だるい眠い。
これって寝なきゃダメなのか。
余りにも眠くて耐えられないので俺は諦めて家に帰る。
ダンジョンを出るだけで結構時間と体力を消費する為にもっと辛くなってしまった。
ベッドに倒れこみひと眠り。
1時間少々ほどで目覚めたら快適だ! 体が軽い。
昼食を食べに降りると、食卓には一人分の食事。
あぁちょっと遅かったか! 妹はもう食べ終わっていたようだ。
パソコンで大量失踪事件に何か進展が無いか調べてみるが、噂話のサイトや動画にも何も書き込まれてはいない。
大量失踪と言う悲劇はあったが。
その後、今は、この町もまだ平和なようだ。
このままだといいが。
ダンジョンに転移し魔力量をワクワクしながらスライムと比べてみる。
すると、わずかだが多くなっている。育ってはいる確かに。
これは、先が長いな。
「ふう」
溜息を一つ吐くのだった。
でもまあレベルで言えば2相当だ、これからなのは当たり前だね。
その日は蛇を重点的に狩り。
もう1レベル上がり終わった所で。
聖光で耐性アップを試し大して変わらない事も確認できた。
痛いし怖いもう止めたい。
家でも妹はもう諦めたのか監視まがいの行動はやめたようだ。
過労で倒れても元気そうに動き続ける俺に愛想を尽かしたのかもしれないね。
そう言えば麻生さんとも連絡とってないなあ、と考えて気づいた。
ああ連絡先交換してないや!
来る日も来る日も蛇を倒し続け。
レベル10になると聖光にも少し耐えられるようになり、またレベルアップ後に寝ることなく10分休憩でレベルアップ効果が出るようになってきた。
これなら効率を上げられる。
そのたびに、わざわざ安全地帯で寝るのはどう考えても面倒臭かった。
ここらでもっと効率を上げるべく蛇とは違う獲物も倒してみよう。
蛇やスライムと違う動きをする魔物、でも緩りと動く奴を探してみる。
そう一度でも相対してないと探知では種類が何かまでは分からないようだ。
少し離れてはいるが、ある方向になんだか沢山かたまって居る。
魔力量は蛇の20倍程だ! いい獲物かもしれない。
近くまで走っていき、見つかる程近づく前に岩に隠れ様子を伺いながら少しずつ近づいた。
あぁ、ちょっとした谷間にスケルトンがわんさといるわ!
幸いスライムと同じような核の位置が分かる。
剣とか盾とか持っているので強そうに見えて、どうしようかと悩んでいると一体はぐれてこちらに向かってくるじゃあ、ありませんか。
見つかった!
そう思ったが、奴は横を素通りして進んでいく。
このスケルトン、なんで一体だけで行動しているのか知らないが、この状況、これはもしかしてお試しには丁度いいかも。
ほっとして覚悟を決めると俺は岩陰から飛び出し、こちらに気づいてわちゃわちゃとこちらを向こうと頑張っている奴の核へ後ろから一突き。
しかし我ながら狙い通りによく突ける物だなと思っていると、ガシャンと奴は崩れ地面に溶けていく。
やれる!
奴らの動きはとんでもなく鈍い。
剣と盾はその場に残されたので剣を拾って岩に隠れる。
俺は拾った剣を片手で軽く振ってみた。
剣が想像以上に軽く感じる。
刃渡りが1m以上は有りそうで細身では有るが西洋の長剣に類似している。
スケルトンが持つには立派そうな飾りも付いた剣だった。
結構重そうに見える剣だが俺には竹刀よりも軽く感じる。
これってレベル上げの恩恵だろうか?
かなり力が増しているようで、もうすでに人間離れした力と言っても差し支えない程にはなっているようだ。
剣の柄は少々傷んではいるが、刀身部分は錆一つない。
「本当にあのスケルトンが持っていた物か?」
まあいい。
よし、行くぞ!
俺は200体から300体以上はいるように見えるスケルトンの一団に切り込んだ。
防御など気にしない、スケルトンの核を突いて突いて突きまくるのみ。
と言っても俺には剣術の心得なんかないので闇雲に力任せで突くだけだから核から外れる事も多い。
核を外せば少々骨を砕いても奴らは無傷も同然で全く影響を感じさせない攻撃を仕掛けてくる。
しかしそれでも奴らは動きが鈍いので、そうそう反撃を食らいはしなかった。
「いっ痛い! 痛い痛いー!」
そうは言っても多勢に無勢。
時折後ろや横から切られ、血しぶきが舞ちり、陰惨な光景が広がる。
「くそっ。こいつらー! 好きに攻撃しまくりやがってー。痛いっ! 痛いって!」
切り口は見た目もひどくて切られた瞬間とても痛いが、速度が遅いイコール切断力もないので腕などの部位を切り飛ばされたりはしない。
再生能力は優秀で痛みは一瞬ですぐ治っていく。
シュウーーッ
最後の一体を倒し気づくと熱く加熱した俺の体からは煙がもうもうと出ていた。
熱い、つらい。家に帰ろう。
剣の扱いなど知らない俺がこれだけ戦ってもこの剣は刃が全く欠けてない。
「なかなかの業物なのかな? いい剣だな。この剣の鞘が欲しくなって来たぞ」
じっと見ていると、それどころか凄みすら感じる剣を大切に持ちダンジョンの外へと急ぐ。
その場で寝てしまいそうな強烈な眠気を何とか振り払い、やっとの事で部屋に転移する。
「ふうっ、は~、疲れた、さて寝ようかな」
ってなんで妹が俺のベッドに寝てるの!
くっ、こいつワンピースの部屋着がはだけてしまっていてほぼ半裸になって寝てやがる。
部屋はカーテンがしっかり閉めてあったので薄暗いが、今の俺にははっきり見えて問題はない。
やばいところがいろいろと見えるだろう?
こいつはなんでパンツすらはいてないのか?
ノーパン健康法か何かなのか?
いっいかん、このままだと欲望を抑えきれずのしかかってしまいそうだ。
早く起こして追い出さねば!
「おい、起きろって!」
肩をつかんで揺さぶってやる。
動かすたびにちらちらと見えてはいけない所がいろいろ見えるが、押さえつけていたはずの欲望が又湧き出ていて、半ば支配されてしまった俺は、妹の着崩れた部屋着をなおしたりしないし。
それどころか合間からもっと見えないかと目を細めてまで見てしまう。
そんな事はいけないと自責の念も無いではないが、すっかり興奮してしまい自分ではどうしようもなかった。
「あれーおはよう。ねえ私って、なんでここに?」
寝ぼけてんじゃねーよ!
俺はもういろいろと限界だよ!
「なんで、でしょうねえ? ちょっとここに座りなさい」
「あっ、お兄ちゃん、本気で怒ってる、ではさよ~なら」
妹は、ばっとベッドから起き上がると。
「(お兄ちゃんの秘密を探るつもりが寝ちゃってた。てへぺろ)」
とつぶやいたので、俺の表情はますます厳しい物に。
すると妹は危険を察知したのかぴゅーっと逃げ出しあっという間に部屋から出ていった。
だが、追い出しはしたものの、当の俺は、妹の艶姿が目に焼き付き俺は魅了されていく。
いやっ、負けてたまるか妹で欲情してたまる物か!
「ふー、俺はいったい何やってんだか」
少し欲情が収まると、今度は罪悪感に苛まされ項垂れる。
「最近おとなしいと思っていたらこれだ。いや眠い、寝るぞ」
俺の身体強化による眠気には、妹が半裸でベットに居た衝撃と性欲や、それを見て興奮した罪悪感ですら逆らいきれない。
ベッドに滑り込むとあっという間に眠りについた。
次話 15時 更新予定
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