0158.オーラン
まさか、オーランが転校してくるとはなあ。
オーランは少しポチャっとしてるが金髪碧眼だし、ニコニコさえしていれば顔が悪いわけじゃ無くどちらかと言うと年相応に可愛い感じだ。
休憩時間はクラスの女性陣に囲まれ色々な質問をされている。
男性陣はいない。
こういうのショタって言うのかな。
人気があるようだ。
ロシアで会った時の様な傲慢さをうまく隠している。
「ちっ、あの野郎いい気になりやがって」
おい冬二、彼女の藤井さんとやらに寛容たれと諭されたんじゃなかったのか?
まあ冬二らしくて安心するけど。
「まあ、まあ、怒らない怒らない。彼女いるんでしょ! 冬二君には」
「うん、えへへ」
おお、流石あかりだ冬二など思いのままだ。
「のうタカ。奴さんもタカを睨んでたみたいに見えたんだが。なんぞあったのかのう?」
「あはは、ギリシャでちょっと」
「なら、危なそうなんだのう、もうそれ以上言わなくていいのう」
するとオーランがすたすたとこちらにやって来て。
「オー、メーイミラーヤ。約十日ぶりだね。メーは寂しかったよ。元気だったかい? いや、聖も寂しかっただろ?」
「ああ、おかげさまでな。いや別に寂しくはないね。で、何の用だい」
「手厳しいねえ、聖は。もちろんプロポーズを完遂する為さー」
「ああ、まだあきらめて無かったのか……」
聖は眉間に指を当て目を強く瞑り嫌な顔をする。
今の会話に周りの級友たちは興味津々であり、俺と聖、オーランの動向を静かに見守っている。
なぜ、俺も見られているかというと周りには俺の彼女は聖だと言う認識が有るからだ。
交際を素直に認めないバカップルという認識らしい。
噂の元は普段の聖の態度とL.T会による噂の流布せいである。
会長のれーちゃんから直接聞いたから間違いない。
学校では聖を彼女として押し立てて、隠れ蓑にすると言っていた。
聖が絵に描いたようなツンデレ(周りからはバレバレ)なので今までうまくいっていたのだ。
まあ、最近は家だと聖の言いようこそ前とそうは変わらないツンがあるが、態度からツンが無くなってデレデレなんだが。
そう言えば、あれ程反発し警戒していた聖はどうしてデレたのだろうか?
考えてみると、ダンジョンで死にそうになってから段々の様な気がする。
助けるために生気を注入したせいなのだろうか?
いや、きっとそのせいだな。
俺のやり口もひどいが、もう遅い、オーランすまんが聖は俺の女だ。
お前に渡すわけにはいかんな。
「ねえ聖。オーラン君を紹介してよ。知り合いなんでしょ」
「ん、あかり。……そうだな。オーランは親の仕事の関係での知り合いだが。自信過剰ないけ好かないガキだ」
「オー聖、ガキは酷いなあ。そちらの美しいお嬢さん方、オーランですよろしく」
「あたしは、あかり。よろしくねオーラン」
「私は樹里よ~、よろしくね~」
「授業が始まるのでメーは失礼するよ。よろしくね、お嬢さん方」
ウインクすると自分の席に戻っていった。
俺の事は怖いからとしても、ショウや冬二にも視線すら送らなかった。
「なんとなくどう言う奴か分かったよ。じゃあまたね」
「そうね~」
あかりと樹里も席に戻っていく。
「やっぱり、いけ好かねえ」
冬二は吐き捨てるように言った。
俺はどうしたらいいんだろうか?
俺の女に手を出すなと、脅した方がいいんだろうか?
弱い者いじめみたいで気が引ける。
『やはりあの時、殺しておくべきだったのでは?』
授業が始まって間もなくケイは言った。
『いやケイ。軽々しく人を殺すとか言ってはいけない』
『そうですね、わたくしとしたことが考えたらずでした。もっと生を大切に思います』
『出来たらそうしてくれ。出来るだけ平和裏に付き合う努力が必要だ。多少の悪意、人には必ずあるから。ガウにも言っておいてくれ。ああそうだ、俺達の存在を消す勢いで悪意のある敵に関してはその限りではないよ。でも緊急でなければ相談が欲しい』
『はい、わたくしもしくはタカ様の消滅を目的として行動する者、それを変えられそうもない者には容赦しません。他は相談を出来るだけ致します』
流石、ケイだ一を言えば二を知るな。
その日、聖はオーランに何度も絡まれプロポーズされる事に。
そしてその度に迷惑そうに断っていた。
家に帰ってから。
「聖すまない。俺は、冬二みたいに手を出すなと強く言えなかった」
聖はキョトンとして。
「いいよ、タカの立場は分かっているつもりだ。僕の為にそれを言うと、もちろん、あかりや樹里の為にも言わなきゃいけなくなる。それだと秘密は守れなくなって普通の生活なんかできなくなる。それくらいわかるよ。任せといて、今の言葉で十分愛が伝わったよ。なに、オーラン位僕はうまくあしらって見せるさ」
にこやかに応える聖を見て俺のいい加減さに腹が立ち、彼女達にすまない気持ちでいっぱいになった。
ダンジョンに行くと、れーちゃんが俺に話しかけてきて。
「たーちゃん、転校生への対応ですが”俺の女に手を出すな”と強く言ってやってはどうでしょうか。学校では彼女と認められている聖さんがあの様子なのに、たーちゃんが反応しないのはおかしいです。あたくし達に気兼ねする必要はありません。学校では聖さんを大切にしてやってください。
あたくし達はばれないように、生活する覚悟はできています。皆でターちゃんと幸せになり、それぞれ普通にこの世界で生活する。それはあたくし達の共通の思いであって。あたくし達が求めているのです。たーちゃんの我儘ではありません。あたくし達はそのために邁進してきたのですから」
「そうだぞ。あたし達も手伝うから」
「そうね~、私も聖さんをタカの彼女として浸透するように動くわ~。学校では~それが一番よね~。ここでは~こういう関係だから~私はそれで満足~」
あかり、樹里……分かった俺頑張るよ。
てっ、なんで聖との会話ばれているんだ?
ああ、ケイが気をまわしたのか。
樹里はすいっと俺の手を引き付けると自分の胸を俺に揉ませる。
おっ大きいそして凄く柔らかい。指が沈み込んでいく。
こんなにも柔らかいのに何故この胸は上を向いているのか?
「あ~樹里だけずるい。あたしも」
するとあかりは焦ったように開いた俺の手をあかりの胸に。
ああ、手に収まるいいオッパイだ。
適度な弾力がムニムニして揉みごこちいい。
「むむっ、ならあたくしはここをいただくわ」
れーちゃんは俺の股間をグッと握る。
「ぐわっ! 痛い!」
「ああ、ごめん力を入れ過ぎちゃった。ごめんね。そうもっとゆっくりと」
「うちも忘れへんでな」
「私もいるのよお兄ちゃん」
妹と美香が俺の肩辺りに胸を押し当て揺らす。
なんだこの体勢は? 天国なのか?
俺はもう死んでいるのだろうか?
「そうやな、考えてみれば。聖が彼女として周りに認められていた方が色々な面でええかもな。うちらは聖の友達として外では振る舞えばいいんやし」
美香もか。
「私、聖さんを姉さんとは呼ばないけど。いいよ、お兄ちゃん。ちゃんと私を大切にしてくれてること分かってるから」
おやー、そう言えばいつの間にか俺が人前で“聖は俺の女だ“宣言するのが決まってしまってるよ?
さすがにちょっと恥ずかしいんだが。
いや、恥ずかしがっている場合ではない。
明日オーランにはっきりと言ってやろう。