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0157.三学期始まる

 冬休みも終わりを迎え、今日から新学期である。

 冬休み、ものすごく長かった気がするぞ。

 そして全く休んだ気がしない。

 学校へは行ってないのに、またどうしてなんでしょう? 


「おはよう、ショウ」

「ようタカ、おはよう。なんか疲れとるのう。ギリシャ行が堪えとるのかのう」

「まあね、大変だったんだよ」


 少し早かったのか、あかりも樹里もついでに冬二もまだ来ていない。


「いったい何をやってきたのかのう。あまり危険な事に足を突っ込むのは止めた方がいいと思うのう。でも知りたくないから何も聞かないのう。友達甲斐のない俺を許してほしてのう。や〇ざの事務所に一人で特攻するより怖い事にはビビりまくってしまってのう。本当にスマン」


 うっ! 

 そう言われるとギリシャでハーレムメンバーといちゃいちゃしてきて隠している後ろめたさでショウに申し訳なく感じる。


 でも一対多のデートで彼女らに抱き着かれてその柔らかさを堪能していたとは言えない。

 なので俺は話題を転換して誤魔化すことにした。


「ショウ、サバゲーどうだった?」

「なんだ? 聖から聞いてないのかのう」

「なんで俺が聖から聞くんだ?」


「まあ、いいのう。(往生際の悪い奴だのう)冬二以外は楽しく終わったのう」

「冬二なんかやったのか?」

「彼女とやらを連れてきたんだがのう」


「ふむ、それで?」

「冬二はいい所を見せたくて張り切ったのは良かったんだがのう」

「ふむふむ」


 俺は前のめりになって聞き始めた。

 人の色恋沙汰は責任が無くて面白いよな。


「彼女をほっぽって頑張ったもんだから、面倒を若いサラリーマン風の香月さん覚えとるかのう」

「ああ、あのちょっとイケメン風な」

「そうそう、その香月さんが付きっきりで彼女の面倒を見てのう」


 ああ、結末が見え始めた。


「すっかり、彼女が香月さん香月さんって言い始めてのう」

「冬二が怒ったのか」

「そうさのう、香月さんに人の彼女に手を出すなって、詰め寄ってしまってのう。彼女に冬二さんって懐が狭いのねって、言われてしまったのう」


 冬二らしい。

 まあ、彼女さんを怒らなかったのはまだよい判断だな。


「なるほど、それじゃあ冬二は機嫌が悪そうだな」

「だのう、会うのが憂鬱だのう」

「そうだなあ」


 きっと、サバゲーに誘った俺達を恨んでいるぞあいつ。

 揉めないといいけど。


「おっはよー、タカとショウ。おっひさー」


 あかりが元気に教室に入って来た。

 まあ俺は昨日もダンジョンで逢ったのでお久じゃ無いんだが。

 L.T会のメンバーとはギリシャデート以来すっかり打ち解けて、皆と甘々な会話をするようになった。


 そして、俺達はダンジョン攻略をいったん休み彼女たちのサポートに回っているのだ。

 俺とL.T会のメンバーの親密度はどんどん高まってきている。

 なのでハーレム感がとうとう実感でき始めているのだ。


 ムフフ。

 こんなに幸せを感じれるとは、少し前の自分には全く予想が出来ない事だ。

 女の子に愛されるって最高だね。

 俺も負けずに愛していこう。


「おはよう、あかり」


 そう言えばあかりは冬休みに逢っていた時には凄い勢いで明るく抱き付いて来ていたっけ。

 ちょっと距離を置いた他人気な態度が寂しいな。


「樹里から聞いたよ。冬二大変だったんだって?」


 あかり達は基本ダンジョンで話していても、俺に学校での身の回りの話はしない。

 学校でぽろっと整合性の取れない会話をしないためだ。

 秘密厳守が徹底している。


「今、タカとその話をしていたところなんだのう」

「おはよ~、皆~」

「おはよー。なあ、樹里から見て冬二どうだった?」

「あのね~、タカ、あれは手の打ちようが無かったのよ~」


 駄目だこりゃ。

 冬二休みかも知れんな。

 そうこう言っていると噂の冬二が教室に入って来た。


「よっ、皆さんお揃いで~。おはよう~さん」


 あれ? 妙に機嫌がいいぞ。何があったんだ? 

 さっきまでの話と全く違うぞ。

 皆が驚きの顔で冬二を見ていると。


「このクラスさー、また転校生が来るんだって」


 なるほど、かわいい娘だったのか? だから機嫌がいいのか? 


「なんでもよー外人さんなんだって。女の子ならよかったんだけど、野郎だってさ」


 ええ~? なんだって~? 


「冬二よう、あの後、藤井さんと、どうなったんだのう?」


 ショウ、ナイス質問。

 誰もが怖くて聞けない事をズバリ聞いてくれちゃって。

 俺はグッと親指を立てる。


「冬二さんあれは無いって怒られたんだけどさ」


 ふむふむ、それから。


「もう少し、寛容にならないと駄目だよ! でも人の彼女に手を出すなってはっきり言った冬二さんステキ。だって言ってくれたんだ~えへへへ」


 冬二はすっかり目じりが下がってデレデレな感じだ。

 あ~そうですか心配して損しちゃったよ。

 おめでとさん。

 出来た彼女だな。

 冬二には勿体無い。


『いい女なら獲れ、寝獲ってしまえ』


 いや獲らないよ。

 と、フレッドに埋め込まれ魂と一体化してしまっている内なる邪悪な欲望をさらりとかわす。


 最近はこの欲望との付き合い方もなんとなく分かってきた。

 気にしなければいいのだ。

 俺の体の一部分がやたら元気になっても、気にしないったら、気にしないんだっての。


(くっ! 同調している? まずいわ。悪意が此処まで侵食しているなんて。わたくし達も準備を急がなければ!)


 まあ冬二の機嫌がよくて良かったよ。

 今の話を聞いて、ショウもあかりも樹里も口をあんぐりと開け驚いている。


 そして、遅刻ギリギリに聖が教室に駆け込んできた。

 聖セーフ。

 即こちらに寄って来て。


「おはよー。ねえねえ、何が有ったの教えてよー」

「おはようー聖。先生もう来るよ」

「後で教えてよね」


 みんな各々の席に帰ってくと、まもなく先生は教室に入ってきた。


「え~、今期二人目の転校生を紹介する」


 先生もあり得ないことだと言う戸惑いを隠せない顔をしている。

 まあね、普通高校に転校生などあまりいない。

 転校となると転入試験もあるし、高校生なら親の転勤に付き合わず一人暮らしも可能だ。


 会社だって高校生の子供がいる社員には考慮もするだろう。

 しかも同じクラスに続けて2人。

 うん、悪い予感がする。


「入って来なさい」


 そして入ってくる者が見えたとたん俺は頭痛がした。


「ドーブレエ ウートラ、おはよう」

「えー彼は、オーラン・パドリーシュ。13歳だ。ロシアで飛び級認定されていて本校に転校してきた。自己紹介を」


「オーラン・パドリーシュです。オーランと気安く呼んでください。メーは、13歳ですが勉学も運動も負けないつもりです。皆さん切磋琢磨しながらも仲良くやっていきましょう」


 オオーという声とともにぱちぱちと拍手される。


 皆が引いていた聖の時と大きな違いがあるな。


 あっ周りを見回した聖の顔がぴくぴくしてるぞ。

 気が付いたのか?

 仕方ないよねこの学校じゃこっちの方が受けがいいんだよね。


 しっかしオーラン、よっく日本を調べて来てるな。

 しっかり猫かぶってからに。

 

 だが時々俺の方をギンッって睨んでるのは聖の時と一緒。


 面倒ごとにならないといいけど。

 まあ、無理か。

 と俺は諦める。

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