閑話 キセラ3
ソレガシはタカの眷属となりて恐ろしく強くなれタ。
タカの眷属化にはほぼ強制力はなく結構自由に色々行動できるようダ。
マア、タカが今のままならナ。
そんな危険を承知でソレガシはタカの眷属になっタ。
ソレガシの両親、師匠、所属していた町をすべて奪った邪魔龍に勝つにハ、タカの眷属になるしか無かったのダ。
ソレガシは50年以上かけてオーバスの世界を巡り歩キ、強くなる方法を探し求めタ。
その間たくさんの魔物と戦イ、色々な情報を探り続けたガ、邪魔龍に人間が勝てるほど強くなる方法など詐欺の言い回しにすら見つける事がかなわなかったのダ。
龍魔人がいくら人類最強種の一つでも邪魔龍に比べれば他の種と大差なかっタ。
ソレガシの心はもう折れかケ、半ば自棄になっていたのダ。
だが邪魔龍を大きく上回る力を持つタカとその眷属たち彼らを見たソレガシはその後の事などもうどうでもよかっタ。
タカたちに邪魔龍を倒してもらウ、そういった選択肢もあっタ。
ダガ、ソレガシはソレガシの手で邪魔龍をどうしても倒したかったのデ、眷属になる道をソレガシは選択しタ。
タカの眷属となリ、真龍になれる程の力を手に入レ、タカの許可も貰えた今、邪魔龍を討伐するのに何のためらいもなイ。
タカガ。
「もし、俺がダメだと言ったらどうする?」
と言った時、ソレガシは憤慨してもおかしくはなかったガ。
「それガ、主の決定なら従ウ」
と冷静にこたえる事が出来タ。
不満がないわけではない。
しかし、確かに諦めてもいイ、そういった精神状態ダ。
モシ、そこで憤慨していたらと想像するト、とても怖イ。
憤慨せずに済んでよかっタ。
これが眷属化という事なのだろウ。
どうやら、タカはソレガシをどれだけ御せるか試しただけのようダ。
許可が出てよかっタ。
ソレガシは心底タカに仕える事が出来るだろウ。
であれバ、一分一秒すら惜しイ。
タカに簡単な挨拶を済まシ、眷属だからこそ使える次元を超える転移で両親の眠る町へと転移しタ。
ソレガシが作った墓の前で誓ウ。
「チチよハハよお待たせしたナ。今日こそあのにっくき邪魔龍めを討伐してくれル。天国よりその姿を見ていてくレ」
両親はそんな事を望んでいないかもしれなイ。
しかし、ソレガシは仇を打たねば気が済まなイ。
きっと見守ってくれていると信じていル。
ドラゴンの姿では人々に恐れを与えてしまうので人型に戻リ、ソレガシはあの邪魔龍が向かった空へと飛び立っタ。
ソレガシは音を後ろに置いてけぼりにシ、その10倍まで加速しタ。
その、今までではありえない速度を持って先へ先へと飛び探知を続けル。
ソレガシは種族から言ってパワーファイターであってどちらかと言うと探知は苦手な魔法ダ。
もともとは半径600m程度しか探知できなかったガ、進化によって半径20km程に広がっていル。
だからすぐ発見できると思っていタ。
甘かったと言わざる得まイ。
オーバスの地はとてつもなく広かったのダ。
3日ほど飛び続けると飛び立った町に戻ってきてしまった。
オーバスを一周してしまったのだ。
流石にお腹が空いたので近隣の町まで行きご飯を食べに行きそのまま宿をとり寝込んだ。
数時間もすると目が覚めたので。
また探索を始める。するとガウから進化が始まるとの連絡が入った。
『……キセラ、進化が始まるビャ。心と体勢を準備するビャ』
エッ? モウ、つぎの進化だト!
『マっまテ、ソレガシ、高高度を飛行中ダ』
ソレガシはタカの言う様に慌てて近くの町に転移し見つけた空き家の中に潜伏しタ。
さすがのソレガシも進化中に襲われてはどうなるか分からないからナ。
空き家の隅で丸まっていると進化が始まり意識を失ウ。
そして目が覚めるとソレガシは異常に強くなっていることに気づいタ。
こっこれは強くなり過ぎじゃないのカ!
いったいあっちで何があったのだろうカ?
まあいい強くなれたのはうれしイ。
探知を試してみるト
「広イ、広いぞこれは探知半径200km近いナ。これなら発見できル」
ソレガシは喜び飛び立っタ。飛行速度は5倍以上、イヤ本気を出せばもっと出せる程になり火の玉と化して大空を飛び回り探知を続けル。
だが中々発見できなイ。
『キセラ、ケイです。時間がかかっているようですね。わたくしとガウが応援しましょう。あなたが自分一人で倒したいのは分かります。が、これ以上タカ様を放っておくことは眷属としてどうかと思います。捜索だけでも手伝いますよ』
と連絡があリ、気づくと両隣りにケイとガウが飛んでいたのダ。
『では、キセラ。その邪魔龍とやらの魔力データをください』
アア、そうであっタ。
タカは鷹揚でソレガシの自由にさせてくれるガ、同僚である眷属たちはそうでも無かった事を思い出さされタ。
ダガ、ソレガシにはタカに最も忠実なケイに逆らう気など毛頭無かっタ。
『ハイ、ケイ。これでス』
『よろしい。ではわたしくはこちらを。ガウはあちらの探索をお願いします。キセラはこのまま直進を』
ケイが指さし指示を出した。
『はいビャ』
『ハイ。ケイ』
各々、各方向へ飛び去っタ。
するとそれほど時間も立たずにガウから連絡ガ。
『キセラ、ポキが発見したビャ』
ダガ、そこはすでにソレガシが調べ終わっていたところだっタ。
『そこはもうソレガシが調べた範囲内なのだガ、本当カ?』
『本当だビャ。地下の空洞に隠れ潜んでるビャ』
地下空洞に隠れル?
ソレガシは邪魔龍の事だからどこかで暴れているものだと思い込んでいタ。
そう言えば世界をめぐっている間に邪魔龍の噂も聞いた事が無かった事に気づク。
転移でその場所まで行ってみて真上に立てバ、かすかに邪魔龍を探知で来タ。
探知できた邪魔龍は傷だらけでかなり弱っていタ。
最後にソレガシが見た記憶よりもはるかに傷ついた姿ハ、他のドラゴンにやられて逃げ込んでそのままと言った感じダ。
高位龍もたとえ真龍であってもドラゴンはその強固な防御力で強いガ、再生魔法は使えなイ。
自然治癒のみなのであれでは回復不能ダ。
あまりにぼろぼろデ、進化前のソレガシでも一矢報えるかもと思えるほどだっタ。
(思えるだけでたぶん無理だがナ)
邪魔龍ハ、体が大きいのデ、あれだともウ、ほとんど動けなさそうダ。
考えてみれば両親にだってソレガシの他に巣立った子が居たと聞いた事も有るシ、親もいるだろウ。
ソレガシ以外が仇を討っていても不思議はなかったのダ。
その姿を確認できると不思議と復讐に滾っていた心は落ち着キ、逆に哀れを感じるほどだっタ。
ダガ、邪魔龍の精神は未だ邪悪に染まっていテ、誰かが悪意を持って回復したなラ、また世界の脅威になりえるだろウ。
ソレガシは横に心配そうに立つガウト「やってきまス」「それがいいビャ」短く言葉を交わし邪魔龍の前に転移しタ。
ソレガシの侵入に気づきに脅エ、反撃などせズ、少しでも離れようとして身をちじこませる情けない巨体を哀れと思いつつモ、ソレガシは容赦なく攻撃しタ。
「フレイム・バースト」
蒼く輝く消滅の炎は邪魔龍の巨体を身じろぎもさせず包みこミ、跡形もなく消し飛ばしタ。
今のソレガシの力は圧倒的だっタ。
つうっと涙が頬をつたうガ、心は晴れやかダ。
残りの人生はタカに捧げるとしよウ。
そう思うとソレガシの女の部分がジンジンと熱くほてル。
己より強いオスに惹かれる龍魔人の本能がソレガシにもあった様ダ。
今まで復讐に手いっぱいで考えもしなかっタ。
まあ、タカに逢うまでソレガシより強いオスもいなかったわけなんだが。
そうはいってもタカのパートナー達もまダ、誰も抱かれていないようだナ。
ソレガシが抱かれるのは何時の事になるのだろうカ?
なんだか待ちどうしくなって来たゾ。
『終わりましたらすぐ帰りますよ』
『ハイ、ケイ』
ソレガシ達は急ぎ探索ベースへ帰投するのだっタ。
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