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0153.眷属達

「うっうんん」

「おっ目が覚めるぞ」


 俺は妹が進化を始めたので探索ベースで布団で寝ている妹を横で看ている。

 すると進化が大体終わったのか、妹は淡い光に包まれて覚醒し始めた。


「あっ、お兄ちゃんだめ! これ以上は……私たち兄妹なのよ。ああ~。お兄ちゃん、仕方ないわねえ、きてっ。す~、す~」


 むかっ。


 こいつ言うに事欠いてなんて寝言、言いやがるんだ。

 つい殴りそうになって振り上げた手にケイが抱き着いて制止した。


「まあ、まあ、タカ様。妹さまの罪のない寝言ですから許してあげてください」


 そうは言っているがケイは半笑いだ。

 周りを見るとアンもガウも口を押えて笑うのを我慢していて、ニノは呆れた顔で妹を見ていた。


 くっ。

 だがまあ、倒れている妹を殴るわけにはいかないよな。

 ふう、あぶなかった。

 命拾いしたな杏子。


「それよりもタカ様。妹様の寝言にお身体が反応されていますよ」

「いっいや、そんな馬鹿な!」

「兄ちゃんの大きさでは隠せないニャ」


「おっおら、やっと仕事出来るだ。皆さんおらに任せてほしいだ。おらいろいろ勉強しただ」

「そう言えば、ニノはタカ様の秘蔵動画を見ていましたね」


 えっ! ちゃんとロックしているはずなのになんで? 


「男は嫌いでは無かったのですか?」

「おらご主人様だけは他のやりたいだけの男には見えねえだ。犯罪奴隷のおらを無理に襲ったりしないやさしさが好きだ。やるべと思えばいづでも命令できたはずなのに。したら、おら逆らえず躰を差し出すしかなかったべ」


 ニノはいそいそと服を脱ぎ始める。

 その淫靡な光景に俺の魂は奪われ何も言えない。


「ご主人様おらに任せるだ。我慢は体に悪いだ。力を抜いて……ほしいだ」


 ケイ達が見ている前なのにゆっくりとニノは俺に寄り添い俺の股間に手を伸ばすのだった。






 寝言が言えていると言う事は進化自体は終わったのだろう。

 もう煙も出てないし。


 と言う事でそれでも目覚めない妹をじいちゃん家に転移させておいた。

 じいちゃんたちが居ない居ないと騒いでも何だからね。


 お昼はばあちゃんが用意してくれたおせちに舌鼓を打った。

 俺達はいつもよく食べるので結構な量作ってあった。


 手が込んだものをこんなに作るなんて、ばあちゃんまだ若いな。

 俺が好きなエビの煮物も多量に用意してありその優しさが身に染みる。


 しっとりとした皮をむいていると、口の中によだれがたまり始める。

 ぱくっと一口。


 うん、うまい!

 プリっとした食感がまたたまらない。

 いくらでも食べられそうだ。


 妹の好きな物はもちろん残してある。

 あいつはやたら栗きんとんばかり食べるからな。


 栗きんとんもほくほくしてて美味しそうだ。

 一つ食べてしまえ! これだけあるならそれくらい大丈夫だろう。


 ケイには俺が食べるふりして分からないように食べさせると。


『タカ様、この味が出せるようにわたくしは精進します』


 と感心した様子で答えた。

 そう、母さんの師匠であるばあちゃんの料理は天下一品なのだ。

 それでもガウは普通の料理に興味など無いらしく。

 勧めても一口食べた後。


『ポキはこういった食べ物の味覚が薄いので別にいらないビャ。皆で美味しく食べるのがいいビャ』


 と言って外の探索に出かけていった。


 食後、じいちゃんもばあちゃんも心配して様子を見に行ったのでこちらに連れて来ていてよかったなあ。


 それから俺はじいちゃんとばあちゃんに、今までいなかった女友達が出来たことや、サバゲーで遊んだことなど近況を異世界ぬきで話すと。


「タカちゃんよかったねえ、よかった」

「タカ坊頑張ったな」


 と二人とも涙ながらに喜んでくれた。

 どうやら多大な心配をかけていたようだ。

 でも、女友達が出来たと報告しただけで泣きながら喜んでもらうのはなんかこっぱずかしい、というか何というか、お尻のあたりがむずむずする。


『なあ、ガウ、杏子は何でこんなに寝るんだろう?』


『杏子殿は、普通の人間の身で進化したビャ。あっちの世界で言う基人族で、ぎりぎり聖巫女だったんだビャ。その体に掛かった負担は計り知れないビャ。進化してる間は寝てるわけでは無いビャ。全身運動を全力でつづけた以上に疲れたはずビャ。これは明日朝まで目覚めないかもしれないビャ』


『なるほど、ガウありがとう』

『いえ、どういたしましてだビャ』


 父さんと母さんに、明日まで寝るかもしれないと伝えると。


「俺は義父さん達になんて言ったらいいんだか?」


 と父さんは頭を抱えた。


「貴志、杏子は大丈夫なのよね」

「母さん、大丈夫さ。心配ないよ」


 と俺は答えたがまだ心配そうな母さんにケイが。


「お母様、わたくしも大丈夫だと思います」

「そう、ケイちゃんがそう言うなら大丈夫かしら」


 ぐっ、俺の信用度が低い。


 次の日の朝、「おはよう、お兄ちゃん」と元気よく挨拶する妹に起こされた。


 どうやら無事目が覚めたようだった。

 当の本人は。


「ぐぬぬ、休みの日に丸一日寝てしまうとはもったいない」


 と、とても悔しそうだ。しかし、俺には妹に言っておかねばならない事がある。


「すまん、杏。お前、俺の眷属だったんだ」

「へ~そうなんだ」


 って軽いな。


「私ってさ~、小さいころからお兄ちゃんラブラブでさ、ケイちゃん達を見てると私もそうじゃないかってうすうす思ってたんだよね~。えへへ~」

「眷属なんだぞ。いやだったりしないのか?」

「えっなんで? こんな一体感と幸せは他では得られないよ?」


 と妹は不思議そうに頭を傾げた。

 ふーんと思いながら妹を眺めてみるが見た目は何も変わっていないように見える。


 内在魔力は今までと比べると桁違いになっているようだが?

 夜の散歩から帰ってきて部屋の隅で寝ていたガウも目を覚ましていたので聞いてみる。


「ガウ、杏は本当に進化したのか?」

「ちゃんと進化しているビャ。杏子殿は我々と違って純粋に基人種なので進化しても見た目まで変わらないビャ」


 なるほど、俺達は悪気が入っている時点で魔物の親戚と言えなくもないからなあ。


「杏子殿は、天聖人になれているビャ。強さが足りなくて進化度合いがポキらの一つ前段階までしかできてないビャ。たぶん、鍛えればもう一回進化してポキらに追いつくビャ」

「ねえねえ、ガウ。その天聖人って何ができるの?」


 妹はすっかり自分と見た目年齢がそう変わらなくなったガウに気安く聞いた。


「回復が得意ビャ。魂すら回復出来るタカ殿の使う再構築が出来るかもだビャ。攻撃だと聖炎波なんか使えるようになるかもビャ」


 妹はニヤーっと下種気な表情を浮かべ言い放った。


「へー確かに使えそうだわ。どっちも。くっくっく、私もこれでチートの仲間入りだー! やった~! わっはっはっは」


 いや~杏子調子に乗っちゃったよ。

 誰が止めるのこれ? 俺? いや俺には無理。

 杏子は笑いながら周りを見回していたが、ふと目を止めた。

 そこにはすっかり育って自分より成長しているケイとアンが並んでいた。


 ふと自分の体を見回して言った。


「うっそ! 何で二人とも! なんで私より育っているのよ!」


 主に胸部を見てがっくりと項垂れてしまった。

 杏子が調子に乗れていた時間は思いのほか短かったようだ。

次回更新は月曜日になります、よろしくお願いいたします。

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