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0011.最大の弱点聖属性

 昼食中に微妙な変顔でこちらを観察するキモイ妹と食べている。

 これは機嫌が悪い時の顔に近いな。

 何かを言いたそうだが、何も言わずに自室に戻っていった。

 俺も部屋に帰ろう。


 とうとう、いや、やっとかな。

 今日、俺は魔法攻撃を使えたのだ!

 威力は小さくてまだ実戦には使えそうもないし。

 思ったより簡単に使えたので多少拍子抜けな感も否めないが非常にうれしい。

 少しずつでも進歩があるのはいい、やる気が出るよ。どう使えば威力が出るかだよね。

 色々考えて試してみよう。


 そして俺がたとえ蝙蝠の姿だとしても飛べる日は来るのだろうか?

 ああ待ちどうしい。


 さて問題は聖光だよなーどう考えても。あの光を食らえば消滅の未来しか見えない。

 それは自分で発動しても同じ、じゃないかと思える。


 自分で発動した魔法で消え去ったでは笑い話にもならないよね。

 だがそれが使えるようになるってことは最大の弱点克服と、あの異世界には居るはずの本家吸血鬼との遭遇での優位が見込める。


 今、まだフレッドが居たとして、出会えば瞬殺よ俺なんか。

 きっと隣にいた蝙蝠にも勝てない。


 奴らは攻撃魔法を駆使して勇者らと戦えたのだから。

 吸血鬼から見れば俺は裏切り者に見えても仕方ないしね。

 やるとしてもやり方をよく考えてやらないと。


 考えた結果、体を岩に隠し聖光の光から体を守る。

 これは最初岩の陰で助かったのの応用だね。

 左手を出来るだけ岩の裏側に伸ばし指の先、せめて少しでも遠くに最小出力で聖光を発動すると決めた。


 これでも左手がどうなるか分からない賭けのような行為だとは分かる。

 だが好奇心には勝てず、それに……、やりたいのだ。

 俺、破滅願望でもあるのかな。

 洞窟に転移し魔力が満タンになるのを待ちながら、聖光の光からしっかり体を隠せる良い感じの岩を探す。


 なかなか無いなーいい岩。

 壁になりそうな岩を見つけては隠れる体勢で腕を裏に回す。

 そんな事をしながら小1時間は洞窟を歩いただろうか。


 いい感じに体を隠せる岩を見つけた。

 後は覚悟を決めるだけだ、お父さんお母さん危険なことして、もしかしたら先立つ不孝をお許しください。


 体勢を決めゆっくりと魔力を練る。


 ああやっぱり嫌だ、すみません強がっていました。

 許してください。

 とっても怖いです。

 ……シーン

 だめだ、逃げちゃだめだ!


 ぐっと奥歯を噛みしめ気合を入れる。

 きっと死なない。

 死なない。

 えいっ!


「聖光」


 ピカッと岩の向こうが光った。


「うぎゃーー熱い」


 陽光よりも遥かに熱い。

 だが覚悟を決めていた俺は叫ぶだけで我慢し、気絶しそうなのを耐え魔力を確認する。

 どの位たったか、下がっていく魔力バーが半分まで来たところで痛みが引き再生が始まった。


 腕を見ると上腕部の半分が斜めに切り取られたかのように消えていた。

 再生中は魔力がどんどんなくなっていき体もだるくなっていく。

 腕の無くなった部分がにょきにょきと生えてくるのは我が体ながら気持ち悪い。


 しかし、生えてきてよかった。

 そう言えば生えるかどうか分からないのにやってしまった事に気づきぞっとするのであった。

 まあ再生だし生えるさ、生えてきたんだから良し、良しとしておこう。


 腕が生え終わるにはかなりの時間が要った。

 20分位時間が掛かると綺麗に再生された。

 傷一つない、ピッカピカの新品の腕だ。

 中学の頃に負ったやけどの跡がきれいに消えている。

 いやまてよ、いつ消えたかなんてわからなかったよそう言えば。


 陽光での全身火傷からの再生は1分程だったから、消失部位の再生はこんな物と言えば、こんな物かもしれない。

 魔力は1/4くらい残っている。帰れはするがだるいので休憩してから部屋に帰るとする。


 確か聖光の発動に使った魔力はほんの少しのはずだ。

 それが、半分にまでなっていた。

 あれは聖光の侵食でも防ぐのに使われたのだろうか?

 よく解らないな。


 しかし、これを繰り返すのかと思うと心が折れそうだぜ。

 もう止めようかな。


 ふとミルスの笑顔が脳裏に浮かんできた。

 やっぱり頑張ろう、この世界(異世界)で外を出歩くには、聖属性魔法にも耐性が無いと本当にすぐ殺されそうでダメだ。

 町の入り口あたりで。


「身分証を確認いたしますので、お出しください」

「えっと、紛失したのですが」

「身分証がないとは、怪しい奴だ、ちょっと試しに聖水を掛けてみろ!」

「分かりました。では君手を出して」

「えっと、はい」


 俺は周りを囲まれていてもう逃げられない。


 チャポッ

 ジュー 


「なんだこいつ聖水で溶けるぞ?」

「こいつはアンデッドだ。おい速く聖水を掛けろ」


 バシャン


「うぎゃーー」


 で簡単に死亡確実そんな未来しか見えない。


 アンデッドでは無いはずなのだが聖属性に余りにも弱すぎるだろ。

 洞窟から初めて出た時に掛けられた聖水が効かなかったのはきっと偶然誰かが間違えたか、他の何かの事情でだ。


 あれはただの水だったのだ。

 ただただ運が良かったのだ。

 本能はそう訴える。

 本物の聖水はまだ効くと。

 気を付けるべきと。

 異世界に行きミルスの無事を確認するのは、出来るだけ急がないと駄目なのは分かるが。

 だがこれを毎日は無理。

 中1日は空けるぞ。


 休んだら体力と魔力の回復を感じたので家に帰ることにした。

 自室に帰って尿意を感じたのでお手洗いに行こうと急ぎ部屋を出たら。


 何故か妹が見張っていた。


「お兄ちゃん、どこに行ってたのかしら?」

「おう杏子どうしたんだ?」

「どうしたもこうしたも無いわよ!」


「へっ?」

「昨日退院したばかりなのに、こそっと抜け出してどこに行ってたの! まだ安静にしないと駄目でしょ!」


 だが、これは妹の高すぎる好感度を下げるチャンスだ!


「おっおう、実はこれを買いに」


 部屋の中から適当にエロ本を持ってきて妹にみせた。


「何考えているの? ばっかじゃないの!」


 妹は顔を背けると自室に急いで戻っていった。

 やったね少しは魅了の後遺症治ったかな。

 そう言えば、この本って冬二(同級生の悪友)に借りたんだっけ。


 ふむ何と無く妹に似てるな。

 まさかあいつ妹に気があるんじゃ。

 ちょっと問い詰めてやらんといかんな。

 と思いながらもじっとエロ本を眺めてしまい目が離せない。


 ページをめくると、まあ、美しくも蠱惑げに股は広げている少しエッチな水着グラビアではあるが微エロだな。

 それ位でもムラムラと欲望が必要以上にたぎってくる。

 妹に似てる写真でたぎるなんて罪悪感がとんでもない。



 しかし、彼の思いとはうらはらに、実は妹似の有り触れたエグミの少ない表紙のおかげで逆効果だった事には気づかないバカな兄だった。



 さて、明日はどうしよう。

 強くなれば耐性が出来る可能性もあるかな。

 ならばダンジョンでスライム狩りでもしようか。


 そう言えばあの蛇を倒した時の感覚はスライムより大きなエネルギーを感じたような。

 そっちの方が効率的かな? 

 蛇を狩るか。

 そうだ、きっとあれ狩ったのが原因だな。

 身体強化に耐えられなくて辛くて眠くて倒れるほどに体が強化されたのは。


 後は、そうだな……やっぱり毎日やろう。

 聖属性の耐性強化。

 ああ憂鬱だ明日が来なければいいのに!

次話 11時 更新予定

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