0139.仕事もするよ
そう言えばダンジョンは秘密なのだから、ダンジョンの入り口は結界付きの魔道具で分からないように閉じておいた方がいいな。
ベースと同じように人物認証をもっと厳しく作っておこう。
例えば魅了されたり洗脳されているなら入れないようにし、別空間に隔離するようにしておこう。
あそこから日本に侵入されても困るので何重にも頑丈に日本への扉を隠蔽する。
この世界に魔物などの侵入を許せばたとえ小物でも大変な犠牲が出る。
俺は今ある魔力を最大限に使い結界を強化した。
これで異界から日本に来られる者は限られるだろうし、ここを通るなら俺に分かる様にしておく。
キセラは昼前には帰って来ていて、昼飯を美味しそうに食べていたそうだ。
俺はもちろん学校に行っているので帰ってから聞いたんだけど。
そして、後日ゲレナンド王国からミルスの所へ俺宛にとんでもない金額の金貨が仕事料金として送り付けられてきた。
俺ってあちらではとんでもない大金持ちだ。
たぶん、L.T会の皆にいい装備を買っても桁が減らないと思う。
なので次回装備屋に行くことが有ったら注文することに決めた。
放課後になりいつものメンバーが集まり話していると。
「なあ、今度のサバゲーに彼女連れて行ってもいいかな」
すっかりサバゲーにハマった冬二は照れながら言う。
「冬二に彼女が出来てるとは驚きだなあ」
「聖さん、突っ込みが厳しすぎる~! 女性に言われると僕、流石に傷つくっす」
聖はにやにや顔を崩さず冬二の事など知った事かと言った感じだ。
「それは大歓迎だの。次は野外だからその次の室内にした方がいいのう」
ショウは強引に話を戻した。
「冬二君付き合い始めたのね~、おめでとう~」
樹里の祝福に、いやーそれ程でもって感じで冬二は照れる。
こんな冬二見た事ないな。実に面白い。
「次の次って言うともう冬休みだよね。あたしは、大会が有るから難しいかな」
「あっ、俺もあかりと同じく難しいかな、旅行に行く予定が有るので」
冬二の彼女は見てみたい気もするが、ギリシャが俺を待っている。
地中海料理楽しみだ。
「なら、聖も不参加かのう」
「いや、僕は出るよ。なんで、そう言うのかわからないけど?」
おい、聖、お前、旅行のホストだろ。なんでお前が参加できるんだよ?
何を考えているのやら。
まさか忘れたわけではあるまいな?
「なんだ~、タカ振られたのか? ざまあないぜ。ぐふふ」
「なんのことを言ってるんだ。俺、振られる前に彼女いないぞ」
何故か彼女出来る前にハーレム出来たけど。
まるで軍隊なんだけど。
見合いで婚約とかこんな感じなのだろうか?
「ぐふふ。まあ、タカ君もショウ君も僕を見習って頑張り給え」
くっ、冬二のくせにエラそうな。
でもハーレムの方が上だよね。
あかりと樹里を見ると優しく微笑んでくれた。
うん、ありがとう。
ショウを見ると流石にムカついたのか冬二を睨んでいる。
しかし、いつもの事と諦めたのか、ふ~とため息をついて気持ちを切り替えたようだ。
「で、タカはどこに行く予定なんだのう?」
「ギリシャへ行くんだ」
「この前沖縄にいったのに、今度はギリシャ? だとう! タカんちってそんな金持ちだっけ? 確かぼろい貸家に住んでるよね?」
ぼろいは余計だこの野郎!
でも、確かに裕福じゃないのに両親には迷惑かけまくりだ。
ごめんなさい。
たぶん食費がとんでもないことになってるはず。
こっちの世界のお金も欲しいなあ。
「ふむ、これ以上は危険案件かのう。もう言わなくていいのう」
「あっそうか、僕も聞かないよ」
おおっ、危険案件便利だな。
勝手に発動するし。
「あたしは、ギリシャ行ってみたいな」
「私も行きたいな~」
この二人なら転移で連れて行く事も可能だろうから、L.T会の皆にパスポートでも作ってもらっとくかな。
なにかあった時には“何故ここに居るのか覚えていません”と言えば“女の子だし何かの犯罪に巻き込まれた?”と勘違いして大使館に保護してもらえるだろう。
彼女達の実力なら何かなど起こりようもないと思うけど。
聖がこの様子を見てバッチーンとウインクをし、親指を立てる姿にムカついた。
「ふう、お金か~」
「なんだ、タカお金が欲しいのか?」
家で食事中にぼそっと漏らしてしまったら、聖が食いついてきた。
いや、まあ普通お金は皆欲しいだろう。
ああ、聖みたいな金持ちは違うのかもしれないけど?
と言うか、何でお前普通に夕食うちで食ってるんだよ?
金持ちだろ自分ちで食え!
「実は高額報酬が掛かった降魔の未処理案件が、何件かあるんだけど、僕が受ける形にしてタカやって見るかい。もちろん仲介料金なんて取らないから」
「怪しいな。なんで聖がやらないんだ?」
「それがそのな。裸の男の痴情霊や痴情妖怪の絡む案件なんで僕やりたくないんだ。でも変に強くって、他に出来る人もいなくて、不良案件として残っていて」
そんなの俺もやりたくないんだが?
「隠密性に長けていて、僕でも接近が分からないかもしれないやばい奴らばかり残っていて女性の犠牲者が今も出続けているんだ。でも、僕じゃ犠牲者になりそうで怖くてやれない」
犠牲者が出続けているなら何とかしないとな。
「でも、俺が行って、その悪霊だか何だかは出るのか?」
「そこはほら強力な探知の力で探してよ」
なるほど。
「報酬は一件50万から2千万位まで色々だけど。普通は何週間もかけて追い詰めるんだ。でもタカなら簡単だろ」
「やろう! 困っている人を見捨てられない」
「タカ様、わたくしだけでもできます。わたくしは男の裸などには動じません」
「ポキでもいいビャ」
「アンも大丈夫ニャ」
「いや女性じゃ危ない。俺が行こう」
「ではタカ様、眷属からせめて一人は連れて行ってください。タカ様一人はダメです」
むっ、まあ、皆に心配かけるのは確かにまずいな。
「では、状態異常に最も強いガウお願いできるか。無性のタイプになっていれば大丈夫だろうし。悪いがケイとアンは留守番を頼む」
「じゃあ、決まりだね。どの案件も半年から数年に一人くらいの割合で犠牲者が出るんだ。まず一件、次の土日に行ってくれ。どの被害者も精神に異常をきたしていて、自殺者も多発しているやばい件から頼む。女性が一人だと出てくる男の色情霊だ。なんでもタコみたいな触手が厄介な奴らしい」
「精神に異常ってそこまで酷いのか?」
「ああ、その、えーっと……手に負えない色情狂になったりして。本人も悩んだ末自殺に至るらしいんだ」
“いっいやあ! もう許して。ぼ僕、もうらめー!”
俺の脳裏には触手に絡みつかれ性的に屈服する聖のなまめかしい姿が想像できた。
あかん静まれ俺。
そんな事にはさせはしない聖は俺のもんだ!
「おっおう、任かしておけ」
おっともう一つ。
「それで、聖どうやってサバゲーに出るつもりなんだ?」
「えっ? 普通にタカに転移で連れ帰ってもらうつもりだけど? 僕、観光にあまり興味ないし」
なるほどな。
そしてこの週末、俺はとっても嫌な物を見る代わりに、この世界での現金収入の伝手を得て家計の足しにしてもらったのだった。
俺にとっては一泊二日の小旅行気分だったし、それほど手間もかからなかった。
しかしこの手の未解決案件は普通女性を囮にせざるを得ず、失敗して被害が拡大するなど、誰もやりたがらないので沢山あるそうだ。
除霊が完了するまで色情霊の霊障のある地域は立ち入り禁止になってしまう。
しかし霊障地域外に突発的に出る事も有るそうで大金を掛けてでも除霊したいのは分かる。
でも、儲かるのはいいが霊体のビジュアルがキモすぎて俺の精神に堪える。
仕事って厳しいね。
男の痴情霊とか皆さん読みたくは無いと予想されるのでここまで書いといてなんですが、詳細など書きません。そして、仕事を舐めんなよと、タカに言ってやって。
次回更新は金曜日になります、よろしくお願いいたします。
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