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0137.暗躍

 ここは、闘技場。20万の大観衆が見守る中、キセラは正座し俺に頭を下げていた。


「いや、キセラ。俺は人に教えれるほどの技量はないよ。魔力によるごり押しだよ」

「そう言わズ。お願いすル。ソレガシはどうしてもヌシと近いぐらいに強くなりたイ!」


「うーん」

「タカ様わたくしに、この方をお任せいただけますでしょうか?」


 突然その場に長い黒髪の美しい美少女が現れた。


「おおー突然現れたあの子はなんだ?」

「あれは記事に有った、木戸殿に付き従う眷属2人のうちの一人幽霊の美少女だろう」

「おおー話にたがわず美しいぞー!」

「見た目によらないすげー魔力も持ってるぞー!」

「いや、あれはもう幽霊と言うより精霊だろう、精霊様が顕現なされたぞー」

「おおおおー」


 会場は大騒ぎだ。

 凄いな観客。

 ケイを元幽霊の精霊だと見破れるんだな。


 しかし、2人って? 

 ああそうか! 

 ハムに逢った頃はまだアンは眷属じゃ無かったっけ。


 だが、ここでケイが姿を現すってことは。

 まだ増強するつもりなのかハーレム。


『ちょっちょっとケイ。まだ増やすつもりなのか』

『それは、タカ様がお決めになられれば良いと思いますし、相手にその意思が有るかもわかりません。でも、タカ様はこれほど真剣に頼み込まれる方を放っておけはしませんでしょう。困られていると思いまして』

『たっ確かに困ってはいたが』


 ケイの言うとおりだ。

 俺にはこれを断ることは難しいだろう。


『わたくしは眷属として、確かに出過ぎていると思いますが、これもタカ様の為を思ってですのでご容赦を。この方は見込みが有ります。決して悪い事にはなりません』

『わかった。任そう』


「わたくし、タカ様の第一眷属ケイと申します。キセラ様、タカ様の弟子になるには色々な決まりを守っていただく必要があります」

「何なりと聞こウ」

「では、わたくしと共に」

「フム」


 ケイとキセラの二人は控室の方へ向かった。


「では、闘技会優勝者に勝った。偉大なる勝者! 多属性異世界人! 木戸氏にヒーローインタビューを」





「ここなら、邪魔は入るまイ。話を聞こう眷属どノ」


 ケイとキセラの二人はタカのために用意された機密性の高い控室に入り、ケイは入念に周りを探知する。

 周りに誰もいない事と、探知波がない事をしっかりと確認して安全を確認した。


 そしてタカのそばにはまだガウが張り付いているのでケイも安心して話を始める。


「はい、闘技会初日を見ていただいてもお分かりのように、タカ様はこの世界において狙われています。その為、あなたがタカ様の命を狙う暗殺者では無い事を証明していただく事と、秘密の厳守を誓っていただきます」


 ケイは普通の者であれば委縮しては話せなくなるほどの圧力をかけながらも淡々と話していく。


「そして秘密の中にはタカ様の正体と精神の不安定さも含まれ、最悪とんでもない危険が降り注ぐ場合もあります。そうですね、少しお話しいたしますとタカ様は普通の人ではありませんよ。その危険性も承知の上でタカ様のこちらでの活動時の警護をお願いできるでしょうか? わたくしたちは異界人故こちらの事情や事象に疎いのです。あなたの様なこちらに慣れた大人の助けが必要なのです」


 普通に考えれば絶対得心出来ない厳しい条件をケイは隠さずに告げた。


「ソレガシは武人ダ。剣を交えればその者の本質も分かる。木戸氏の性質はさほど心配はしていなイ。ソレガシにはどうしても強くなってやりたい事があル。その為にはそのほかの全てを差し出せる覚悟が出来ていル。そのやりたい事が終わればたとえ奴隷になれと言われても構わなイ。分かっタ、誓うし必ず守ろウ。身の潔白はどうやっテ?」


「防壁を全て取り払っていただいて、探知させてください」

「分かっタ」


「良いのですか? 何をされるか分かりませんよ?」

「今更その位のリスク、恐れなイ。それに企む者はそんな確認をしない事が分かるほどには生きている時間も長イ」


 そう言って、彼女は素の心をケイにさらす。

 ケイはその強大な魔力を駆使しキセラの全てを遠慮なく探知した。


「はい、分かりました、もういいですよ。秘密は転移した先に在り、そこで危険についても話しましょう」

「ウム」


「では、帰るときに一緒に行きましょう。また声を掛けます」

「心遣い痛み入ル。宿の解約などをしてこよウ」





「そうですね、俺達異界人なのにこんなに歓迎していただいて。すごくうれしかったです。皆~また来るからねー。素敵な時間ありがとー」


「きゃータカ様ぁー!」

「タカ様がこっち見たー!」

「わたすを見たんだすー!」

「こっちも見てー!」


「多属性異界人木戸氏でした~。インタビューありがとうございました」


 はっはっは、アイドルみたいで気持ちい。

 俺は観客席に向かって手を振る。


『タカ様ああいった連中は雰囲気で言ってるだけなので、余り本気にされない方が』

『分かってるって』


「おっ、あの子可愛い」

『タカ様~……、でどの子ですか?』


『はっはは、いいじゃないか。こう言った行事は雰囲気に合わせて楽しんだもの勝ちだよ。本気になどしてないさ』

『なるほど、周りに合わせてテンションアップですか。興味深いですわね。水を差してすみませんでした』

『いいよ、でもそうだろ』


『……いえ、わたくしには少しレベルが高いようです』

『そうか~? 楽しまなくっちゃ、つまらないよ?』


『わたくし、タカ様と出会ってからずっと楽しいです。時々ハラハラするのも入れてです』

『なら良かった』


 そっか~、ハラハラしてるんだね。

 申し訳ない。


『タカ様報告よろしいですか』

『ああ、いいよ』

『キセラ様はすべての防護を解いてもらっての探知結果、魔獣への復讐心はあるものの心根の真っ直ぐな方でしたので、ダンジョンへご案内してもよいかと思います』

『分かった。連れていこう』


『後はこの国の事情ですが、ガウと二人で調べた結果をこちらに書いておきました』

『ご苦労様、大変だっただろう』

『いいえ、色々見て回れて楽しかったです』

『そうか、ならいいが』


 ふむ、何人かまだ怪しい人物が内にいるんだな。

 なんだ、この邪神教団って? 名前だけで怪しさいっぱいだな。


「これをもって、闘技会を終了とする」


 ハムが高らかに宣言すると大会は終了した。


「タカ、お疲れだったな。我が国は必ずこの恩に報いるだろう」

「えっと、ハム、これを見てくれ。ケイとガウが探知して回った結果だ」

「ほう、あの二人が探知して回ってくれたのか、それは、ありがたい。見せていただこう」


 読み進めていくうちにハムの眉間にしわが強く寄り顔色が暗い緑色に変わっていく。


「こっこれは、本当なのか?」

「本当かどうかは分からんが、嘘は書いてないよ。裏はそっちで取ってくれ」

「早急に、慎重に対処させてもらう。しかし、ここまでとは、闇の力は恐ろしいの」


「そうだ、ハム。俺を調べたいんだろ? いいよ、調べても」

「うれしい申し入れだがそれは次の機会へ取っておくよ。タカまた遊びに来てくれ。次に来るときには、何の不安も無い国にしておく」

「じゃあ、またね」

「ああまた会おう」


 ヒュンッとタカは転移していった。


「(誰ぞおるか?)」


 ハムド・マジック―ルⅢ世の多忙な日々は続く。

次回更新は金曜日になります、よろしくお願いいたします。

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