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0129.食事会

 凄く豪華そうでは有るが、少し味が薄くて物足らない感じの料理をいただきながら歓談は進む。


「わっはっはっは、そう言えば、タカがやったらしき事件解決の情報が入ってきておるぞ。本人からも聞いてみたいものじゃが、良いかの?」


 ハムはどや顔を見せると微笑んだ。

 ハムくらいのイケメンがどや顔をしても自然に見えるから不思議だ。


「えっと、どんな話が伝わっているんですか?」

「そうじゃの、アンスラルドでの偽聖水事件とか、劣悪魔の祭り襲撃事件、あとは、マク市スタンピード鎮圧かの」


 偽聖水事件の事まで分かるのか!


「ええっ、全部じゃないか!」


 あれって完全に裏方に徹してたと思うのに! 

 どうしてバレたのだろうか?


 いやシンディ達は異界人の介入を協会に報告しただろうからその辺りからか? 


「そうか、全部か、我が国の諜報員は優秀じゃのう。まあ、ボード王国付近には、タカが居るだろうから、しっかり情報を集めるように指示は出したがの。はっはっは」


「(そうか、タカはあの祭りでやられたんだったな)」

「(そうなましな。でもそのおかげでマク市は救われたなしに)」


 とシンディとマリーが話の邪魔をしないように小声で話しているのが俺には聞える。


「タカ様モーラも聞きたいです」


 金髪で大きな目がクルリとして可愛い。

 モーラ姫もその可愛い目を爛々と光らせた。


 髪の毛が茶色な以外ほぼハムのコピーと言っていいマーロウ王子は、多少むっとしながらも、食事に集中している。

 モリー王妃はにこにこと話を聞いていた。


 肌の色は出会う魔人族皆緑である。

 魔人族の特徴なんだろうな。


「そうですね、まずは、聖水事件の顛末を」


 俺はある程度面白おかしく、それでいて詳細に語る。


「と言う訳で、劣悪魔との戦いになったのです」

「すごいですわ。聖女様を救う勇者の物語のようですわ」


 とモーラ姫が目をキラキラとさせると。


「ふん、そんな魔力で劣悪魔と戦えるものか! この詐欺師が! いったいどうやって皆を騙くらかしたんだ?」

「兄様いったい何を?」


 モーラ姫とモリー王妃は驚きの表情をうかべハムは厳しい視線を一瞬王子に向ける。


「王子、我ら蒼天の剣も騙されている。と言いたいのですか?」


 シンディ―もさすがに気になったのか少し声を荒げた。


「いや、俺はそうは思っていない。ただ勇者協会の最近の行動がいろいろと怪しいと思っているよ。蒼天の剣のお二方にも、心当たりはないかな? くっくく」


 しかし、人類最強の蒼天の剣を前にマーロウ王子は全くひるむ様子が無く、それどころか蔑みの視線で挑発的に応えた。


「マーロウ、何を言っている? おかしいぞお前! そして言葉も過ぎるぞ! 謝れ!」

「おかしいのは親父ですがね。おおっと、それは俺としたことが、シンディさん、マリーさんすまないね」


 マーロウ王子はおちゃらけた感じで言い全く誠意が見えない。


 唖然としていたシンディさんとマリーさんの顔がグッと険しくなる。

 なんだこいつは! 喧嘩売ってるのか? 


「王子様は俺の実力が怪しいとお考えで?」

「まあ、ありていに言ってしまえばそうだ。今度この国で闘技会がある。あそこではセキュリティがしっかりしているので、小細工で実力をごまかすのは不可能だが、なんなら出てみるか? 劣悪魔を倒したと言う実力に自信が有るならだがな!」


 安い挑発だな。


「マーロウもう止めないか! すまんなタカ、こんなはずではなかったのだが。マーロウの言う事など気にしなくてもいいんだ」


 だがマーロウ王子は全く耳を貸す様子が無い。


「大会には元協会の腕利きがたくさん出るぞ。怖いならさっさと尻を撒くって逃げ出すんだな」


 ここまで言われると、さすがの俺もむっとくるな。


 まあ、闘技会か。

 俺の実力もどの程度の物なのか気にはなる。

 目立ちそうだし、出てみるのも面白いかもな。


「それは、どんな大会なんだ?」

「おっ、出る気なのか? このお調子者が! 自分の力が分かっていないのか? まあ、ちゃーんと治癒能力が有る聖巫女が何人か待機していて殺傷力の有る魔法は禁止で剣は木刀だが、それでも毎回何人か死者がでる大会だ。お前のような奴は出ない方がいいぞ。くっくく」


「まあ、俺を簡単には殺せないと思うし、ここはハムの信用の為に出てやろうじゃないか」

「くわっはっは、バカな奴だ。じゃあ、登録しておいてやろう。逃げたら笑ってやるよ。そして、臆病者だと新聞に掲載してやる」


 そこまで言うとマーロウ王子は部屋を出ていってしまった。


「すまない、何と言って謝っていいか、いつもはあんな感じでは無いのだが、本当にすまない。タカ、闘技会など出なくていいんだ。新聞に載せるなど吾輩がさせはしない」


「いやいいですよ、あそこまで言われて俺も引けません。俺あの頃よりかなり強くなったんですよ任せてください」


「いやあ、でも、ああなんでこんなことに! 吾輩はただ、助けてもらったお礼がしたくて呼んだだけなのに。ついでにちょっと、研究したかっただけなのに。父親の恩人にあんなことを言う子になっていたなんて」


 ハムは頭を抱えてしまった。

 おいっ本音が漏れているぞ。


 研究って、ハムはハムなんだな。

 まあ、非人道的で無ければ暇なとき研究してもらってもいいけど。


 王妃も姫も、余りにびっくりして何も言えないって顔だった。


「で、その大会っていつあるんですか?」

「一週間後だ。しかも二日もあるぞ、タカは学校が有るんじゃないのか?」


「学校なら休みますよ。なに二日くらいなら平気です。俺の強さを見せてあげますよ。期待してください。しかし、もう歓談って感じじゃなくなりましたね、話の続きは大会の後で。では、今晩は帰ります。それじゃあ」


 俺はシンディ達を連れて家へと転移した。






「まさか、この王宮から直接転移するとはな。凄いぞタカ。研究したいな。しかし、ここから転移するほどの実力者が分からんとは。マーロウ、さぼりまくっていたな。有無を言わせない家庭教師を付けてやるぞ。覚悟しろよ」


「私でもあふれ出る、隠された強さが分かったのに。兄様分からなかったの?」

「すみません。あなた、私甘やかしすぎたのかもしれません」

「ふむ、それは無いと思うがな。吾輩も部屋に戻る」


「(タカ様か、強くてカッコいいわね。物腰は柔らかいし優良物件だわ)」


 小さな声で目を細めながら姫はつぶやいた。





 ハムは部屋に戻りながらつぶやく。


「誰か、甘言で誑かしたのやもしれんな。(魔法による洗脳ならば魔法を解けばいい、だが教育による洗脳は簡単ではない)」


 ハムはパンと手を叩き。


「(誰ぞおるか)」


 小声で呼ぶ。すると、天井からスッと音もなく二人降りてきて跪く。


「(陛下、お呼びでしょうか)」

「(マーロウの様子がおかしい。誰かに何かされたのかもしれん。マーロウに近づく変な影が無いか監視しろ。それと家庭教師の身辺を思想からもう一度詳しくあらえ。特に入れ替わりなど無いか気を付ける事。行けっ)」

「(御意)」


 そして彼らは音もなく天井へ消えた。

次回更新は明日になります、よろしくお願いいたします。

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